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私たちの生活において身近な生き物である魚。とくに釣りが趣味の人は、魚の種類にも詳しいですよね。ただ、漢字で名前が書かれているとよく知っている魚でも読めないことも……。書くときも、ついついカタカナやひらがなで表してしまうことが多く、実際「漢字で書いてみて」と言われたら悩んでしまうのではないでしょうか。
魚へん(魚偏)の漢字はおよそ200種類以上もあるといわれており、難読漢字もたくさん。そこで今回も、魚好きなら知っておきたい「冬が旬の魚たち」の漢字表記に注目してみました。魚の美味しい食べ方も合わせて紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
「たらふくたべる」の語源にもなった「タラ」の特徴とは?
冬の代表格といえば「タラ」。漢字で表すと「鱈」と書き、魚へんに「雪」を付けたかたちとなりますが、文字通り雪が降る冬が旬の魚です。漢字の由来は冬が旬なことや、身が雪のように白いことが理由として挙げられています。また、お腹が白いからとの説も。
タラにはマダラとスケトウダラという2種類があり、一般的に「タラ」といえばマダラのことを表しています。マダラはオホーツク海に吹雪が舞う、12月から2月ごろが最盛期。体調は1mにもなる大型の魚です。「たらふくたべる」の語源にもなっているように、お腹が膨らんでいるのが特徴です。
味は淡白でありながら旨味があり、冬の鍋料理には欠かせません。フワっとした食感が口いっぱいに広がるソテーもおすすめ。鮮魚として食す以外にも、干ダラや棒ダラなどまた違った味が楽しめます。
ちなみにスケトウダラは鮮度落ちが早いため、食卓に並ぶことがほとんどなく干物などに加工されることが多いそう。また「タラコ」や「明太子」はスケトウダラの卵が使われています。
漢字2文字で表される珍しい魚「アンコウ」
インパクトのある見た目が特徴の「アンコウ」も冬が旬の魚。魚へんの漢字は基本1文字の名前が多いなか、なんとアンコウは魚へん2文字で「鮟鱇」。名前の由来は諸説ありますが、海底の砂に潜ってのんびりとエサを待つ様子から「安康」と呼ばれており、それに魚へんがついたのではといわれています。
アンコウの旬は11月から3月。春の産卵にむけて栄養を蓄えるため、産卵期直前の1月から2月が最も美味しいとされています。
見た目のユニークさとは裏腹に江戸時代から珍味として重宝され、そのおいしさは格別。また、ほぼすべての部位に捨てるところがないというほど無駄のない魚です。アンコウを存分に楽しむならお鍋にするのが一番。それぞれの部位の美味しさを味わえます。意外な組み合わせとして、イタリアンとの相性も抜群だそう。
「アンコウ」をさばく独特の解体法とは!?
アンコウはぬめりが強く、ぶよぶよと身が柔らかいため、まな板の上でさばくのは至難の業。そのため、太く頑丈な手カギを口にかけてアンコウを吊るし、回転させながら皮や身を削ぎ落とす、「吊るし切り」といわれる独特の方法で解体されます。
また冬が旬の魚らしく、雪の上でさばく「雪中切り」という方法も。こちらは青森県に伝わる伝統的なさばき方で保冷効果があり、より鮮度が保たれるそうです。
「ウナギ」の漢字の由来は見た目から
意外な所では、「ウナギ」も冬が旬。土用の丑の日があるので、ウナギといえば夏のイメージが強いかもしれません。しかし、実は天然ウナギは10月から12月ごろに旬を迎えます。水温が8℃以下になる12月ごろから冬眠する習性を持っているウナギ。冬眠に備えて栄養を蓄えるため、冬が一番脂がのって美味しいそうです。
ただ、天然のウナギはかなり貴重で、一般にはなかなか出回りづらいのが実情。天然ウナギで有名な四万十川や浜名湖などの産地を訪ねるか、高級料理店で食すことができます。
ウナギは漢字で表すと「鰻」。これは「曼」が細長いものや長く伸びることを表す漢字のため、魚へんと合わせて「鰻」と表記されたといわれています。ウナギの名前は万葉集にも登場しており、当時は「武奈伎(ムナギ)」と呼ばれていたそう。日本ではかなり古くから食されていたことが分かりますね。
ウナギの食べ方の定番は、蒲焼きや白焼きではないでしょうか。だし巻き卵でウナギの蒲焼きを巻いた「う巻き」や、名古屋市周辺ではご飯の上に刻んだウナギの蒲焼きをのせた「ひつまぶし」も人気です。
魚自身の持つさまざまな特徴が反映されている「魚へん」の漢字。漢字の由来や意味を知っておくと、魚を食べるときもさらに深く堪能できそうです。
※本文の漢字の成り立ちや名前の由来は諸説あるうちの一部です。ご了承ください