ルールやマナーを守り楽しむ
富山湾の美味しいホタルイカすくい!

みなさんもご存知のホタルイカ。最高に美味で、いろいろな料理にできます。富山湾ではこの時期、産卵や産卵後といったタイミングで定期的にホタルイカが港や砂浜などに接岸し、打ち上げられます。これを「(ホタルイカの)身投げ」といいます。3~5月くらいとされていますがその年により変わるようです。
そんなホタルイカを獲る「ホタルイカすくい」は、誰でもかんたんにできるため大変人気。シーズンには他県からも多く人が訪れます。とはいえ、短い期間に人が多く集まるため、最近はマナー問題やトラブルも増えているのが事実…。残念ながら、閉鎖する堤防や港も増えてきています。

といったわけで、最低限のマナーやルールを守りつつ、注意事項も交えて、楽しく美味しいホタルイカすくいの模様をお届けしましょう。

絶品ホタルイカを取りに富山湾へ

誰でもかんたんにできるホタルイカすくい

「ホタルイカすくい」は道具さえ用意すれば、誰でもかんたんに行うことができます。子どもや女性でもかんたんにできるため、人気が高いアクティビティです。ですが、産卵後のタイミングに合わせないといけないため、訪れても「どこにもホタルイカがいない…」なんてこともあります(笑)。
いれば、基本的に砂浜で獲るので、楽にすくうことができます。

01_ 砂浜

用意するもの

ホタルイカすくいは夜間の砂浜で、しかも海水につかりながら行いますので、以下のような道具が必要です。

  • ・ヘッドライトや懐中電灯(暗い海でホタルイカを探すのに必要です。)
  • ・予備電池や予備バッテリー(ヘッドライトや懐中電灯の備え)
  • ・網やタモ(ホタルイカをすくうために使います。100円均一グッズで十分)
  • ・ウェーダー(海の中に入るときに着る物で防水になっているため、濡れるのを防ぎます)
  • ・ハサミやワニグリップ(ホタルイカをつかむ際に使います。ハサミは浮いている釣り糸や絡まったゴミなどを切るのに使います)
  • ・ライフジャケット(自分の命を守るための必需品)
  • ・タオルなど
  • ・小型クーラーボックス(ホタルイカや飲み物など入れる)
02_ ホタルイカすくいの道具

新月の大潮前後2日間がねらい目

今では雑誌やWEBサイト、SNSなどでも情報を細かに調べることができます。私も過去の情報をいろいろと調べました。すると、新月の日(大潮)の前後2日間がよいとのこと。産卵のために浅瀬にやってきたホタルイカが多く打ちあがるそうです。
諸説ありますが、ホタルイカは月明りを目印に自分の位置を把握して、産卵後に深場に戻って行くそうです。そのため、月明りが少ない「新月」は自分の位置が把握できずに砂浜などに打ちあがるという話です。

なんと雨と風が!?

私が仲間とホタルイカすくいにチャレンジした日、日もすっかり暮れた夜にポイントの駐車場に到着しました。ところがこの日、残念なことに雨と風が…。平日だったこともあり、駐車場には私たちを含めて3台ほどしか車が停まっていませんでした。
しかし、雨は小雨で風は少しあるものの支障はなさそうです。ホタルイカすくいには少し時間が早かったので、私たちは車で仮眠をとることにしました。

03_ 雨

期待を胸に浜に出てみると…

事前に地元のCさんから、ホタルイカにベストな時間を教えてもらっていました。仮眠をとったあと予定の時間が近づいたので、ウェーダーに着替え、準備をして海に向かいました。ですが…、歩いても歩いてもホタルイカの姿が見えません。メンバーも首を左右に振っています…。以前目にした記事で、「雨の日はよくない」と読んだことを思い出しました。

エギングをする際なども雨はよくないので、やっぱりイカ類は雨の日の雨水などを嫌い、深場に落ちてしまうのでしょうか…。諦めずに探索を続けていきました。

見つけた!待望の美しいホタルイカ

待ちに待った1杯目

探し始めて随分と時間が経ったころでした。メンバーが「あっ、いた~!」と言うので見に行ってみると……いないのです(笑)。なんと見失ったとのこと。しかし諦めずに周りを見てみると…、「ん!?」茶色く細長い物体がユラユラしています。とっさに網ですくうと、5㎝位の立派なホタルイカでした~!

04_ ホタルイカ
ようやく見つけた待望の1杯目! 嬉しい~!

雨の日のホタルイカすくい

イカ類を釣る方は分かると思いますが、雨が続く日や雨の日は、イカが雨水を嫌い深場に落ちるといわれています。雨水が海に入り塩分濃度が低下するだけでなく、山などに振った雨は土砂を流し、川から海へと濁りが入ります。それらをイカが嫌うといった具合です。

この日は濁りは全くなかったのですが、雨が前日の朝から降っていたこともあり、海に雨水が多く入っていました。そのため、ホタルイカの接岸があまりなかったと思われます。雨の日はホタルイカが獲れないだけでなく、視界も悪く濡れると寒いこともあり、避けたほうが無難なようです。
それでも、もし雨の日に行く際は、雨具を忘れずに準備しておきましょう。

05_ 雨具(レインウェア)

2杯目をゲットしたものの、雨はまだまだ降り続く

広い砂浜を行ったり来たり、人も2~3人程度です。雨のためやや視界が悪く、すでに貸し切り状態となっていました(笑)。地元の常連さんも、来ては見てすぐ帰るスタイル…。こんなに粘っていたのは私たちだけかもしれません。
(激しくはないのですが)相変わらず雨は降り続け、時折りやや強くなったり弱くなったり、風も吹いたり止んだりを繰り返しています。ですが…私は楽しいので引き続き…。そして2杯目をゲットしました!

雨の日などはやはり、多少なりとも危険を伴うため注意しながらの作業となります。雨で視界が悪くなったときは、(スマホの)GPSなどを使い現在位置を把握するなどした方がよいでしょう。また、雷が鳴ったりすればすぐ海から上がり、そもそも天候が不安定で荒れるような予報であれば、諦めて違う日に改めて挑戦するようにしましょう。
安全あっての楽しみですから無理は禁物です。

06_ ホタルイカ2
ようやく2杯目!

ライトは明るい方が探しやすい!?

ところで、ヘッドライトのみでホタルイカを探していた私は、動画などの撮影に使うライトがあるのを思い出しました。早速点灯してみると、やっぱりヘッドライトと照明の二刀流はかなり明るい! その甲斐あってかライトに寄ってきたのか、3杯目をすぐに捕まえることができました。

07_ 照明

雨風の中でも無事にホタルイカに会うことができた

今回は雨風の中、3~4時間の短い時間でしたが、無事にホタルイカを4杯獲ることができました。
本当ならもっと凄い数のホタルイカを獲ることができるのでしょうが、悪条件にもかかわらず、ホタルイカに会えたことを感謝したいと思います。ホタルイカと会えたときの興奮と感動は、私にとっては一生ものだと感じました。手軽にイカがすくえる体験なんてそんなにないですからね。この貴重な体験を次回に活かして、次はもう少し数を伸ばせたらと思います。

08_ ホタルイカ3

ホタルイカすくいの注意事項

わずか4杯の貴重なホタルイカは、自宅に持ち帰り美味しくいただきました。苦労して獲ったこともあってか、それはそれは美味しく感じましたよ!

さて最後に、1番大事なホタルイカすくいに関するマナーや注意事項についてお伝えしたいと思います。

09_ ホタルイカ料理
  • ・自然環境を守るため、必要以上にホタルイカを獲り過ぎないようにしましょう
  • ・ホタルイカをすくう際、密集を避け安全な距離を保ちましょう
  • ・砂浜はいろんな場所(水深が深い・浅い)があるため、海に入る際に足下を確認しましょう
    (ライトで足下や少し先を照らし、網で深さを測って確かめるなど)
  • ・泥酔してのホタルイカすくいはひじょうに危険です。止めましょう
  • ・民家や人にライトを向けないようにしましょう
  • ・立入禁止の場所には入らないようにしましょう
    (漁港は漁師さんや漁協に迷惑が掛かる場合があるので、とくに注意が必要です)
  • ・駐車禁止の場所に車を停めないようにしましょう
  • ・夜間に車のエンジン音や大きな話し声、ペットの鳴き声などの騒音が出ないように配慮しましょう
  • ・駐車場に停めた車の中に貴重品を置いたままにしないようにしましょう
  • ・駐車場から砂浜までは距離があります。トイレは事前に済ませておきましょう
    ※駐車場によってトイレの有無が異なります。ご注意ください
  • ・地元の方、次に来られた方が気持ちよく利用できるよう、駐車場にゴミを残さないようにしましょう
    (ゴミは持ち帰る)
  • ・火の取り扱いなどは、市や町のルールに従いましょう
    (不明な場合は問い合わせをすることをオススメします)

身をもって体験した楽しい「ホタルイカすくい」。また機会があればチャレンジしたいと思います。
ただし、先の注意事項に書かせていただいた通り、みんなでマナーやルールを守り、釣り場や環境を守る。そして将来の子どもたちのために、よりよい環境を残していきたいものですね。
また、ホタルイカすくいは海に立ち込んで行いますので、「離岸流」にはくれぐれも気を付けましょう。

※離岸流とは、海岸の波打ち際から沖合に向かってできる流れのことです。詳細は下記リンクをご参考ください

レポーターREPORTER

荒木 清
プロフィール:荒木 清
小学校1年生のころから釣りを始め、フナ釣りやワカサギ釣り、渓流、堤防、ボート(船釣り)まで幅広く楽しんでいます。最近は、とくにアカムツ(ノドグロ)やブリジギングにハマっています。
ANGLERS:https://anglers.jp/users/431755