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「釣果アップの勘所」第7回のテーマは早春に深場をねらうディープタイラバのツボ。日本を代表する釣魚であるマダイをねらう釣り方はさまざまあるが、ゲーム性の高さでシーズン問わず人気が高いタイラバ。乗っ込み前、まだまだ活性が高くないマダイのヒットレンジは狭くひじょうにシビア。そんなディープで限られたポイントからマダイのアタリを高確率に引き出すために必要なのが「どれだけ長い時間、ヒットレンジでタイラバをアピールできるか」ということ。的確なヘッドの重量選択とリトリーブスピードの関係を知ることが重要だ。
ヒットレンジはボトムから中層まで
着底後リールのハンドル10巻きまでが勝負
たとえば和歌山県の白浜沖などでは、マダイが産卵のために浅場に接岸する直前、早春3月ごろに水深100m前後の深場をねらうタイラバ、いわゆる「ディープタイラバ」を楽しむことができる。まだ水温も低い時期なのでヒットレンジも中層以下、ボトム付近の狭い範囲でしかアタリが出ないことが多い。タイラバ着底後、底を切ってからリールのハンドル10巻きまでが勝負ということがよくある。もちろん、もっと浅いレンジでアタリが出ることもなくはないが、いかに底付近のヒットレンジに長時間、タイラバを通せるかがカギである。
ご存じのようにタイラバはリールを巻き続け、常時動かし続けてマダイを食わせる釣りなので、底付近の狭いヒットレンジ内でタイラバを長時間リトリーブするには潮流や風などで船が流され、タイラバをできるだけ斜めにスライドさせる必要がある。とくに春は、潮流も風もなく船が動かず真下に落としたタイラバが「真っ直ぐ上がってくるようなときは期待薄」といわれるのはこのためだ。
ボトム付近の超斜め引きには
標準より重いヘッドを使おう
そのためヘッド(オモリ部分)は「底が取れる最低限の重量」とよくいわれる。当然、重いヘッドよりも軽いヘッドの方がリトリーブコースが斜めになりマダイにアピールしやすいのは間違いない。しかし白浜沖などのディープで潮流もかなり速いポイントだと、ラインが真横に近い「超斜め引き」になる場合はこの限りではないのだ。
リトリーブ中のライン角度が真横に近い状況で、ギリギリ底が取れる重量のヘッドだとリトリーブ中の浮き上がりが早く、思いのほかヒットレンジを早く通過してしまう。とくにボトムから少し上のディープレンジでしかアタリが出ないような状況でライン角度が真横近くになるときは、ややオーバースペックの重いヘッドを使うほうがヒットレンジでのアピールタイムを稼ぐことができるのだ。
船が勢いよく流されるときは
スローなリーリングで!
船自体が勢いよく流されている状態ではリトリーブスピードもゆっくり目がよいだろう。リールを巻かなくてもタイラバは海中をずんずんスライドするから、リールを早く巻きすぎると底近くの狭いヒットレンジをあっという間に通過してしまう。それだけマダイにアピールできる時間が短くなるのだ。
逆に水温も上がりマダイが底層から上層まで幅広く活動するシーズンは、ヒットレンジを広く探るという意味でも、この限りではない。
早春のディープタイラバだけでなくヒットレンジの見極めができてからは、そのレンジをより長くキープできる重量のヘッドとリトリーブスピードの組み合わせを考えて釣りをするのが釣果アップの勘所。初心者ならアタリが出た同船者のヘッド重量やリールの巻き具合を参考にするのが上達の近道だ。
※次回はフカセでねらう磯のイサギ(イサキ)釣りについて解説する予定です