「釣果アップの勘所」第5回は予定を変更してイカダなどからねらうカレイ釣りのツボ。カレイといえば投げ釣りというイメージだが、全国的に船やボートからねらうことは珍しくないし、波静かな内湾に浮かべられたイカダやカセ(固定された小舟)からの「かかり釣り」も古くから存在する。今回は「かかり釣り」に限定して釣果アップのコツを紹介しよう。
直下はマキエでカレイを寄せる
市販の専用ダンゴもあり
たとえば関西圏で冬場にイカダやカセからカレイの「かかり釣り」が盛んなのは三重県の志摩方面、兵庫県淡路島の福良湾、その対岸にある徳島県堂浦などだ。瀬戸内西部の広島湾あたりでもカレイがねらえる釣りイカダがあるようだ。また日本海側の福井県から京都府にまたがる若狭湾や石川県は能登半島の七尾湾なども過去に面白い釣りができた記憶がある。
釣り方でいえばイワイソメ(本虫、マムシ)、アオイソメ、イシゴカイなど虫エサの使用は全国共通で、その多くはチヌ釣りの延長のような軽い1本バリ仕掛でイカダ直下をねらうか、もしくは投げ釣り仕掛でイカダ周辺を広範囲にねらうかの2通りだ。短めの投げ釣り仕掛(いわゆるチョイ投げ仕掛)なら直下も遠方もねらうことができる。
三重県の志摩方面でかつて一般的だったのは1.8mほどのイカダ竿に小型両軸受けリール、道糸とハリスは通しでナイロン3号、中通しオモリ3号(ウキゴムをヨウジ止めしハリとのインターバルを保つ)というチヌ釣りそのままの1本バリ仕掛を直下の海底に下ろしてアタリを待つスタイルだ。
直下をねらう場合に重要なのはマキエ。志摩方面ではチヌねらいに使用するヌカダンゴに砕いたアケミ貝などを混ぜて使用していたように思う。釣り座直下のピンポイントねらいなのでカレイを集め、足止めしてねらうことで釣果を稼ぐ必要があるからだ。現在では海水でこねるだけのカレイ専用マキエが市販されているので、釣りを開始する前にテニスボール大で数個投入、釣りの途中もときおり投入してカレイを足止めしよう。
この釣り方はイカダやカセだけでなく一部の防波堤でも有効。足下が砂泥底でカレイが接岸することが条件だが、兵庫県姫路市のある防波堤でケーソン上に短竿を数本並べカレイをねらう人を見かけたことがある。ここでもマキエが強い味方になってくれるはずだ。
余談だが子どものころ、ある石積みの防波堤で石に付いていた貝類を砕いてマキエにしたら何とウキ釣りで木っ葉サイズだがカレイが数釣れたことがある。
タックル総動員!?
チョイ投げで沖一帯も探ろう
冬場のカレイ釣りは待ちの釣りだ。潮が動けばバタバタと連続してアタリが出ることもあるが、直下だけをねらうより沖一面にも仕掛を投げ入れることで釣果は確実にアップする。どんなロッドでもかまわない。シーバス用、ライトゲーム用、ボート用などスピニングタックル総動員で複数の仕掛を遠近広範囲に投入し、どこかにいるカレイの目の前にエサを届けてやろう。ただ投げっぱなしにはぜず、ときおり仕掛を動かしてエサを目立たせたり、エサの有無の確認で投げ返すことも忘れずに。
※もちろん、ほかの釣り人の迷惑にならないよう配慮も必要だ
防波堤からのチョイ投げの要領で数組のタックルを置き竿にしてアタリを待つのに、ハヤブサなら「コンパクトロッド かんたん投げ釣りセット 2本鈎2セット」などオールインワンのチョイ投げ仕掛が大いに役に立つ。赤や黄色の派手なオモリを海底で動かすことでカレイの気を引く効果も期待できる。
カレイの場合、ハリのサイズはキスとは違い大きめの10号以上がよい。たっぷりエサを付けカレイに丸のみされてもスッポ抜けないハリのサイズが必要だ。オモリの大きさは釣り場の水深や潮流によるが10号以内で充分だろう。
イカダのカレイ釣りは竿1本に集中する釣りではなく数本の竿を並べ、ゆったりアタリを待つ(順次各タックルの投げ返しは必要だが)釣り。湯沸かしなどを持ち込んでラーメンやホットコーヒーで暖を取りつつ、真冬の1日をのんびり楽しもう。
※次回はフカセ釣りでねらう波止の寒チヌ。タナ取りをメインに解説する予定です