慣れない子どもと堤防釣り
どんな道具?どんな釣り方?そしてどう過ごす?

子どもと堤防釣り_text-photo_岳原雅浩

わが家の釣りはこんな感じ
年長さん(5歳)、釣り2回目の場合

さて先日、子どもを連れて秋のハイシーズンを満喫するため、旬のアジ釣りに出かけてみました。
当日は釣り場の混雑を避けるために少し早目に出発(日の出を見せたかったので、実は意図的に早目にしたのもあるのですが)。車窓から見える沈むお月様と昇る朝日、涼しく爽やかな朝にワクワクしながらのスタートです。

早朝から開いている釣具屋さんに立ち寄り、エサ(半解凍されているアミエビ)を購入。朝焼けに照らされた漁港に到着しました。早朝ということもあり、まだまだ釣り人もまばらです。ゆっくりと釣り座(ポイント)を選び、のんびりと準備を始めました。
その間、子どもが手伝いをしたいようであればさせ、朝食のクリームパンも食べさせます。優雅に慌てず、のんびりと…といった具合です。エサや仕掛を準備しながら、ついでに当日の釣りやルールについても伝えました。

08_ IMG_1098_2020 朝焼けの釣り場

準備が整ったら、いざ実釣開始です!
最初は仕掛を落としてあげて、竿を渡していましたが、やはりすぐに自分でやりたがりました(笑)。リールから出たライン(道糸)を人差し指に掛け、ベールを起こし、仕掛を落とす。底に着いたら大きくシャクって(竿を煽る・持ち上げる)止める。そして巻き上げ、エサカゴにエサを入れる……。今回は釣り2回目でしたので、リールの使い方や釣り方を復習しながら、一連の動作を自分でさせてみました。
仕掛を上げるときに上手く仕掛を摘まめず、ハリを怖がったのでお手伝いします。無理は禁物です。実際にすぐ釣れなくても、最初はエサを撒いて魚を寄せるだけなので、慌てる必要はありません。魚を寄せている間に釣り方を練習したり、仕掛を止める時間を一緒に数えたりできるので、いきなり釣れてバタバタするよりはイイかも。

09_ IMG_1101_2020 タックル
10_参考仕掛図
当日わが子に使わせたのは、ひじょうに短い穴釣り用の竿と短い仕掛。身体の小さな子どもには、長竿と全長が長くハリ数の多い仕掛は使いづらいようです。足下で魚が釣れるサビキ釣りには、こんなタックルでも十分!!
11_ IMG_1109_2020 マハタ幼魚

そうこうしていると、ものの10分程度で今日の1尾目(マハタ幼魚5cm)をGET! 小さくても子どもには嬉しい1尾です。
残念ながら魚に触ることができなかったので、代わりに水汲みバケツに入れてあげ、よーく観察。「綺麗なヨコ縞やなぁ」なんて興味津々のわが子と2人、喜びに浸ったのでした(何が釣れても1尾目は嬉しいものです)。このとき、よくわからない魚の場合は不用意に触らず、魚つかみで掴むようにしましょう。
釣りを再開して続けていると、程なくして上手くアジの群れが足下に回ってくる時合に突入。一投一釣で釣れて大興奮です!! 魚が掛かるたびにすぐに巻き上げるので(※)、鈴なりとはなりませんでしたが、それでも連で掛かることもしばしば。初めての釣りのときは、アジ3尾という結果に終わった子どもからすると、ウハウハの大爆釣です。あっという間に水汲みバケツの中はアジでいっぱいになりました!

※群れが回ってきたときは、1尾ハリ掛かりしたあと巻き上げをゆっくり、または止めてあげると、掛かったアジが勝手に暴れて、エサがエサカゴから撒かれます。そのおかげで他のアジもハリに慌てて食いつき、5~6尾が掛かる「鈴なり」となるのです。

12_ IMG_1115_2020 アジ釣果

とはいえ、途中潮止まり(魚が釣れにくい)もあったので、釣れない時間帯はのんびりお話をしたり、石ころを一緒に拾ったり、私の他の仕掛で釣ってみたりと上手く時間をつぶしました。そして、またアジが少し沖で釣れ出した際は、「キャストは私、巻き上げは子ども」といった具合に共同作業で一緒に釣るなど、早朝6時から9時まで十分に楽しめたのでした。
(実際はまだまだ釣れ続けていたので10時まで竿を出しましたが、子どもはもう十分満足。飽きていました…。目を離さずお話をしながら私が釣らせてもらうことに)

13_ IMG_1165_2020 水汲みバケツの中の魚
14_ IMG_1151_2020 ウマヅラハギ
15_ IMG_1147_2020 イシダイ
場所やタイミングがよかったのもありますが、半日ほどで十分満足の釣果! 魚種もほんとうに豊富で、何が釣れるか分からないところも楽しい。新たな魚が釣れるごとに会話も弾みました

そろそろ他の釣り人やファミリーで賑わってきた10時にわが家は納竿。道具の片づけと軽く堤防を海水で洗い流し、漁港を後にしました。そして、せっかくなので帰りにお土産屋さんに寄ったのですが、モチロン子どもは車中で爆睡(笑)。12時には自宅に戻ったという半日でした。

子どもは小さな出来事でも十分
いっぱい釣れなくても醍醐味は伝わる!

16_ IMG_0715 水汲みバケツの中の魚

恐らく子どもにとっては、「魚という普段見ない(動いている)生き物を見たい」「自分が釣ることで狩猟本能を満たしたい」「釣りという非日常やアウトドアを楽しみたい」といったところではないかと思われます。決して、「ガッツリ数を釣りたい!」「長時間釣りばっかりしたい!」わけではなさそうです。

実は私も釣らせたあげたい一心で、初めての釣りの前はかなりプレッシャーを感じ、下調べと準備をしまくったのです。しかし、釣れてみれば魚種・サイズに関係なく嬉しそうだったのでやや拍子抜け。ホッと胸をなでおろしたのでした。まして、サビキ釣りだからといってアジである必要もなく、シンプルに「魚が釣れた」ことが大事なんだなと気づかされました。
魚が釣れてしまえば、あとは自宅に戻り、魚をさばく過程と調理を見せてあげて、美味しくいただくだけ。子どもにとっては十分、釣りの醍醐味は伝わるようです。

「気負わず、手軽にシンプルに」
週末のひととき、取りあえず釣り体験をしに、親子で堤防サビキ釣りに出かけてみてはいかがですか?

17_ IMG_1177_2020 まな板の上のアジ
18_ IMG_1184_2020 アジのから揚げ
自ら釣った魚を調理して美味しく食べる。これこそがシンプルながら釣りの醍醐味!

 


堤防ファミリーフィッシング
勝手に(?)アイテム紹介

釣りに必須のリールや竿、ペンチ(プライヤー)やハサミ、クーラーボックスなどはさておき、堤防ファミリーフィッシングにあった方がよいアイテムや便利グッズを編集スタッフD目線でご紹介。

※基本的な釣り道具や釣り方については、「かんたん!初めての堤防サビキ釣り入門」をご参考ください

19_ライフジャケット

ライフジャケット
重要度:★★★★★
少々大袈裟に見えるかもしれませんが、子どもの安全のために大切なアイテム。(施設管理された浅い釣り堀などはケースバイケースですが)自然の中での釣りの際は着用しましょう。子どもの成長と身長を考慮して、サイズ調整幅があるものであれば、コストパフォーマンスもグッとよくなります。

20_帽子

帽子
重要度:★★★☆☆
日焼け・熱中症予防に必要なだけでなく、釣りバリやオモリから頭を守ってくれるアイテムとして、着用をおススメです。お洒落アイテムとしても子どもにかぶせるとカワイイ!

21_サングラス

サングラス
重要度:★☆☆☆☆
「子どもにサングラスなんて…」と思われるかもしれませんが、私はおススメ。最近の紫外線の強さはあなどれません。さらに、釣りバリや竿の先からも目を保護してくれますよ。100円ショップやアパレルショップにある、100~1,000円のUVカット機能付きのもので十分オシャレ!

22_タオル

タオル
重要度:★★★☆☆
タオルは何枚あっても困りません。汚れた手を拭く、魚をつかむ、汗を拭く、口を拭く…などなど。

23_消臭・除菌シート

消臭・除菌シート
重要度:★★☆☆☆
こちらもタオル同様便利です。子どもはエサや魚を触った手でいろいろなところを触ります(笑)。道具や車が汚れるだけであればいいのですが、食べ物を口にする際には気を遣いますね。

 

24_吸い込みバケツ

吸い込みバケツ
重要度:★★★☆☆
サビキ釣りにはとっても便利なアイテム。エサのアミエビをバケツに入れ、海水と混ぜておけば、エサがバケツの中心に集まります。エサが集まったところにエサカゴを「チャポンチャポン」と入れればエサが入るので、直接エサを触る必要がなく手返しも早い。おススメです。

水汲みバケツ(透明)・観察水槽
重要度:★☆☆☆☆
釣り道具としての水汲みバケツは、堤防釣りでは必須アイテム。しかし、それ以外のアイテムとして「透明の容器」があると、釣ったお魚を観察するのに便利です。ひたすら作業のように釣り上げるより、少しのんびりとお魚を観察しながら、親子でコミュニケーションを取ってみては?

25_水汲みバケツ(透明)
25_観察水槽

魚つかみ(フィッシュグリップ)
重要度:★★☆☆☆
魚が苦手、触れない子どももこれがあれば平気! BBQのトングのようなものもあれば、魚の口をつかむタイプもあります。直接魚に触ることなく、また釣りバリが刺さる危険も回避できるので、あると便利です。

26_魚つかみ
26_フィッシュグリップ

 

27_ジッパー付き保存袋

ジッパー付き保存袋
重要度:★★☆☆☆
釣れたお魚をクーラーボックスに直接入れず、ジッパー付き保存袋に入れておけば、お掃除が楽!! また、濡れた釣り道具や汚れものも小分けにするなど、使い方は工夫次第。サイズ違いを多く持っておけば便利です。

28_ゴミ袋

ゴミ袋
重要度:★★☆☆☆
釣り場で出たゴミは(施設のゴミ箱がある場合は別ですが)必ず持ち帰りましょう! 「飛ぶ鳥あとを濁さず」の精神です。ゴミ袋はクーラーボックスやイスなど、重さのあるモノに結び付けるか、カラビナなどがあると便利です。

 

29_折り畳みイス

折り畳みイス
重要度:★☆☆☆☆
単に立ちっぱなしだとシンドイので座る場所として当然便利。クーラーボックスの上に座るのもアリです。しかしおススメは、子どもの定位置として指定しておく意味で便利なんです。「釣りに飽きたらここに座って…云々」なんて、ルールを決めておけばウロウロせずに安心です。

30_魚取り網(虫取り網)

魚取り網(虫取り網)
重要度:★☆☆☆☆
水汲みバケツに入れた魚をすくう、持ち帰らない魚をリリースする、釣りに飽きたら磯遊びで使うなど、まぁまぁ便利です。直径20cm程度の小ぶりのものが使い勝手よく、重宝しました。

 

いろいろと、私の独断と偏見でおススメアイテムを紹介させていただきました。これ以外にも釣りの行き帰りの車中や、釣りに飽きてしまった子どもの暇つぶしアイテムや普段慣れ親しんだアイテムなどもあると助かります。ただし、釣り場でボール遊びは危険かつ迷惑をかけてしまうのでNG。
くれぐれも安全第一で、楽しい時間を過ごしてくださいね。