From HEAT the WEB DIRECTOR 約65%が信じてるって本当?
釣りにまつわる「ゲンかつぎ」や「ジンクス」 社内調査!
【後編】

ゲンかつぎジンクス_text-photo岳原雅浩

クーラーはわかるけど、
梅干し? タヌキ? は釣りと関係があるの?

かなりの割合で多かったのが、「クーラーボックス」「梅干し」「タヌキ」がキーワードの「ゲンかつぎ」や「ジンクス」。クーラーボックスは何となく想像できるものの、梅干しやタヌキはいったいどんな因果関係があるのか? それぞれ紹介してみよう。

 

クーラーボックスのサイズに悩む

9_クーラーボックス

「大きなクーラーボックスを持っていくと釣れない」「小さなクーラーボックスを持っていくと釣れる」。前編でも挙げさせていただいたが、この話は多かった。欲を出さないという意味では、先に挙げた「受け身型ラッキータイプ」と似ているが、クーラーボックスに関しては、準備段階で意図的に行っている行為だ。

ある人(Cさん)のエピソードだが、大きな魚が釣れると期待して、準備を入念にしたときほど釣れず、逆にほどほどに準備をしたときに限って、予期せぬ好釣果に恵まれる。結果、準備不足を後悔することが多いそうだ。
そんなCさん、どの程度のサイズのクーラーボックスを持っていくかが悩ましいところだそう。これまでは、大は小を兼ねるの原則から、大きめのものを必死になって釣り場まで持参していたそうだが、結局必要ないことが多い。惨めな思いをするのが嫌で、今では面倒でも2つ持っていくそうだ。
大きなクーラーボックスは、常に車に置いておき、小さなクーラーボックスだけを釣り場に持っていく。そうすれば、万一の大物にも対応できると踏んだのだ。しかし、それを始めてから悲しいことに、大きなクーラーボックスが活躍することはなく、今のところ車で眠ったままだそうだ(笑)。せっかく奮発して買った保冷力の高いクーラーボックスなので、いつか活躍する日が来てほしい。と願っていた・・・。

お弁当にはつきものの梅干しがなぜ?

10_梅干し弁当・おにぎり

「釣り場に梅干しを持っていかない」「梅干し入りおにぎりを食べると釣れない(ボウズになる)というジンクスの話がひじょうに多かった。なかには、「釣行時の梅干しはNG!」と、同行のアングラーや撮影スタッフにも梅干しを食べさせないプロアングラーもいるそうだ。
梅干しは、お弁当の腐敗を遅らせてくれたり、疲れた身体に効くクエン酸が含まれている食べ物だが、なぜ釣りではよしとされないのだろうか? 調べてみると、これにはいろいろな説があるようだ。

例えば、お弁当の腐敗を遅らせてくれる抗菌作用もその一つで、食あたりを防ぐことから「アタラない=魚からの魚信がない」、すなわち「釣れない」を連想するという語呂に由来する説だ。食あたりを起こすよりは、魚が釣れない方がましだと思ってしまうのは私だけだろうか・・・。

10-1_梅の花

そしてまた別の説としては、福岡の太宰府に左遷され、学問の神としてあがめられる「菅原道真(すがわらのみちざね)説」も有名な話。道真が京の都を去るときに、恨みをうたった東風(こち)吹かば 匂ひをこせよ の花 主なしとて 春な忘れそ」に由来するそうで、歌の中に出てくる「東風」といえば漁師たちの間で魚が釣れない、不漁のしるし。日本付近で東風が吹くのは、西側に低気圧がある状態。その低気圧が偏西風にのって次第に近づくことで海が荒れる予兆を示している。(※天気のお話はコチラもご参考下さい) その「東風」ともう一つ歌の中に出てくる「梅の花=梅」が人々に伝わるなかで混ざり合い、「梅干し=釣れない」となったという説だ。

他にもまだまだ説があるようで、ちなみにバナナなんかも、西洋では船乗りには不吉な食材だそう。ご興味があれば一度調べてみてはいかがだろうか?

タヌキは可哀想なキャラクターか?

11_タヌキ

「釣りの道中にタヌキを見かけると釣れない(ボウズの確率が高い)というジンクスも、かなり見られた。実はタヌキ以外に「イタチ」「鹿」「サル」などの話もあり、どうやら四足で歩く哺乳類全般のようだ。

タコはボウズやゼロをイメージさせるものとして、野球でも使われるが、タヌキにはそのようなイメージを私は聞いたことがなく、語呂あわせでもなさそうな気がする…。調べてみても実際の云われや説は分からなかった。(ご存知の方はぜひご一報を!)

11-1_黒猫

あくまでも個人的な推測で恐縮だが、よく黒猫が前を横切ったときに、人や文化によって「不吉」としたり、「幸福」なしるしと言ったりする。そういった予兆を表すキャラクターとして、タヌキも利用されているのではないだろうか? 釣れるか釣れないかは、後からの結果であるが、思うように釣れなかったときの言い訳や貧果を押し付ける対象として「そういえば行きがけにタヌキを見たからなぁ…」となったのではないだろうか? 真実のほどは分からないが、釣れなかったときには、自分のウデ前のせいではなく、他に釣れなかったことの理由を求めたくなるのは、釣り人の心理であるように感じる(笑)。

 

といったわけで、「ゲンかつぎ」と「ジンクス」について、今回社内アンケートをもとに書かせていただいた。いかがだっただろうか。人それぞれにさまざまで、しかもユニークなモノをたくさん知ることができ、個人的には楽しい調査となった。

当然ではあるが、やはり釣り人は釣りたい気持ちが強い。その釣りたい気持ちを実現するための「ゲンかつぎ」。そして、釣りたい気持ちとは裏腹に、結果が伴わなかったときの「ジンクス」。要は、ある意味「願掛け」や「神だのみ」に近いものとして、みなさん実践しているようだ。自然相手という不確かさゆえに、必ずしも科学的、論理的に答えを導き出すことが難しいのが釣り。最後は気合と根性と運も、結果を左右するのが現実だ。シックスセンスを信じて、時には運を天に任せて、のんびりと釣りを楽しむのもいいのではないだろうか。

12_釣り場風景