エピソード.2 ガス欠寸前編
これまたある遠征取材での出来事。思えば一人で取材対応をしていた頃は、夜中にひたすらハンドルを握り締めアクセルを踏み込んで、黙々と現場を目指して走っていた。最近では後輩くんが頑張ってくれるお陰で随分と楽をさせていただいているなぁ、と感慨深いのだが、今回のお話は後輩くんの運転に頼る以前のお話。
高速道路を走って順調に目的地まで向かう道中。何を話していたかは忘れてしまったが、まあまあ和やかに車内は会話で盛り上がっていた。すると突然、運転手が「いつの間にか(ガソリンの)エンプティランプが点いてますわ~」とひと言。「え~っ!!」と皆で仰天。
心配性の私は、いつも事前にガソリンの量を確かめ、必ず事前に給油をするのだが、それは人それぞれ。コップに半分入っている水を見て「もう半分しかない・・・」と思うか、「まだ半分あるっ」と思うか、とらえ方の違いだけだ。この運転手の場合、恐らく「まだ半分あるっ」ととらえていただけのことだろう。しかし、会話が弾みすぎて気付かなかったとは「うっかりさん」なお方・・・。慌ててみんなでナビとスマホを駆使して一番近くのガソリンスタンドを探すが、距離はかなりある。急いで高速を降り、ソフトなアクセルワークによるエコ運転で、何とか無事にガソリンスタンドに到着することができたのだった。
たいしたエピソードでもなく、よくある話かもしれないが、車内が盛り上がりすぎるというのも考えもの(?) 注意力が散漫になり、ひょっとすると重大事故にも繋がるかもしれないので、「何事もほどほどに」という教訓かも。
エピソード.3 人生相談・その他もろもろ・・・編
ある夜釣り取材でのお話。明るい日中に比べると、夜の暗闇は人の心を開放し、感情を高めてくれるのだろうか。
長年ことあるごとに取材でご一緒してくれる若きカメラマンがいるのだが、たまたま取材が夜ということとランガン(=ラン&ガン)釣行であったため、現場の駐車スペースを考慮し、私の車に乗ってもらったことがあった。いつもは各々の車で移動するのだが、この日珍しく一緒に移動することになったため、普段の取材では話せないことや、お仕事への情熱など、お互いにゆっくりと語り合うことができたのだった。ランガンを繰り返すたびに車内での会話も盛り上がる。その内、なんだか話しは人生相談のような話に。
まだ若い彼は、かつて私自身がそうであったように、仕事へのこだわりや遣り甲斐、将来理想とする仕事とのかかわり方と、実際に今自分が置かれた環境という現実のギャップに悩んでいた。そして同時に、このままでは今後恐らく迎えるであろう「結婚適齢期」に、今はそれほどではないものの、多少なりとも不安と寂しさが募るということで、人生相談&恋愛相談のような話を受けるかたちとなった。
それほど人生経験が豊富でも、何か特別な知識・資格を習得しているわけでもない私。しかし、そこは少なからず人生の先輩として、できる限り一所懸命に彼の言葉に耳を傾け、参考になるのではないかと思う考え方やモノの見方を親身に伝えたのだった。
こうして何だか二人の距離がグッと近づいた夜。釣行で釣果を得ただけでなく、目には見えない友情や絆も得ることができた気がする、思い出深い夜となった・・・。
その他にも車内の会話という訳ではないがエピソードは少々。例えば、取材後に助手席で仮眠を取らせてもらい、後輩くんに運転をお願いし爆睡。ふと目が覚めたら、なぜか本来通るべきルートではなく、とんでもない遠回りのルートを走っていてビックリしたこと。(当然お叱りをさせていただいた後、私が運転を交代) また、遠征で4時間半ほどの道中、車内のDVDで子供のころよく観た懐かしのロボットアニメを視聴。大人になってから改めて観るアニメの内容が、実はかなり大人向けで面白かったこと。(毎回ツアーの楽しみとなっている) などなど、毎回必ず何かあるわけではないが思い起こせばあるものだ。
釣りといえば、「釣れた」「釣れなかった」といった釣果だけが記憶に残りがちだ。しかし、車や電車、はたまた飛行機などで移動することは多く、ちょっとした小旅行と言えなくもない。そうとらえると、その行き帰りも楽しめたほうがより満足感は増すだろう。さらに食や宿、人との出会いまでを含めると、それはまさに「旅(トリップ)」だ。釣り人の数だけエピソードは膨らみ、酒の肴としてのネタは尽きない。
という訳で、これからはぜひとも釣りだけでなく、その前後である道中も楽しみ、思い出深い旅の記憶としてとどめてはいかがだろうか・・・。くれぐれもご安全に!
※本文は都合により脚色を交えております。ご了承下さい。