知っていれば安心!釣魚豆知識ノンストップ!高速回遊魚。サバ科の魚たち
簡単な見分け方と地方名

釣り上げたあとも尾ビレをビリビリビリビリ、激しく震動するように振り続けるサバ科の魚たち……。サバもカツオもサワラもマグロも高速で泳いでいないと酸欠で死んでしまうのだ。他の魚のように口とエラブタをパクパク、ポンプのように動かすことはせず、口とエラブタを開けたまま泳ぎ、海水を強制的に送り込むことで呼吸をするのだ。だから釣り上げられても必死で尾ビレを振り続ける。泳ぎ続けないと死んでしまうサバ科の魚たちは、疲れて立ち止まるわけにはいかない。つまり持久力が必要なので筋肉により多くの酸素を送り込まないといけないため、血液中の赤血球が非常に多い。身に血合いの部分が多いのはこのためだ。

サバ科体型特徴

サバ科の魚たちの共通した特徴は紡錘型、流線型と呼ばれる高速遊泳に適応した体型をしていること。ウロコも退化している。また第2背鰭(はいき・せびれ)と臀鰭(でんき・しりびれ)の後方、簡単にいうと尾ビレの付け根の上下に多くの小離鰭が並んでいること。ここでは沿岸部の身近な対象魚であるサバ類、カツオ類、サワラ類の簡単な見分け方と、各地の呼び名を整理して紹介しよう。

マサバとゴマサバ

青魚が苦手な人には申し訳ないが、塩焼きに煮付け、しめ鯖と、どんなふうに料理にしても美味しいサバは日本の食卓には欠かせない魚だ(なかなか口にできないが鮮度がよいものは刺身! 想像しただけでヨダレが出てくる)。日本近海にいるサバは2種、マサバとゴマサバだ。一般的にマサバのほうが美味しいと評価は高いが、夏場のゴマサバもなかなかの美味。関西では初夏に大阪湾、播磨灘あたりに入ってくる40cm以上のゴマサバは抜群に味がよいだけでなく引き味も強烈で最高と、ルアーやサビキでねらう釣り人も多い。

マサバゴマサバ比較

この2種の見分けは、ご存じの通り魚名にもなっているゴマサバの体側にあるゴマのような小さい暗色斑。マサバにはこれがない。ただ個体によっては暗色斑が不明瞭なゴマサバもいるし、幼魚や若魚など小型のうちは特に不明瞭で見分けが困難な場合がある。ともに寄生虫のアニサキス、ヒスタミンアレルギーを起こす可能性があるので生食は注意、自己責任で。

マサバの地方名 ゴマサバの地方名
サバ(各地)、ヒラサバ(関西)、ホンサバ(各地)、
モサバ(広島)、ソコサバ(島根)、ヒラス(長崎)、
タックリ(鹿児島)など各地に呼称があるが、
全国的にサバ、マサバで通じる。
マルサバ(関西)、ホシグロ(新潟)、ゴマ(千葉)、
ホシサバ(島根)、コモンサバ(島根)、
ドンサバ(福岡)など。

カツオ・スマ・ヒラソウダ・マルソウダ・ハガツオ

タタキに刺身……カツオも美味しい魚だ。本ガツオというのは標準和名カツオのこと。ソーダガツオ、ソウダガツオなどと呼ばれるのはヒラソウダとマルソウダで、この2種は混称される場合が多い。さらにややこしくしているのがスマガツオ、ソマガツオという呼称。これはヒラソウダを指していることが多い。地方によっては本来の標準和名スマとは違うことが多々あるのだ。本来のスマは腹部に黒い斑点があることでヤイトガツオという名前もポピュラー。個人的な見解で申し訳ないが、これまでの経験で刺身の味を比較すると、最も美味しいと思うのがスマで身はピンクで脂の乗りが最高。続いてカツオ、ヒラソウダの順になる。ハガツオも非常に美味しいと評判だが食べた経験が少ないので実のところよく分からない。マルソウダは生食しない(恐ろしくてできない)ので対象外。

カツオ類の見分け方は、まず体側の模様。腹側に数本の縦線(魚類学では頭を上にして縦横をいう)があればカツオ、背中に縦線があればハガツオ、背中がまだら模様ならヒラソウダかマルソウダで、この2種の見分けは背中の黒い部分と鰓蓋(えらぶた)の黒斑が離れていたらヒラソウダ、つながっているのはマルソウダだ。

カツオ スマ ヒラソウダ マルソウダ ハガツオ比較
カツオの地方名 ホンガツオの地方名 マガツオの地方名 カツの地方名 スジガツオの地方名
ホンガツオ(各地)
マガツオ(各地)
カツ(東北)
スジガツオ
(和歌山・高知)
などだが
全国的にカツオで通じる。
ヤイト・ヤイトガツオ(西日本)
モンスマ(徳島)
ホシガツオ(高知)
キュウテン(八丈島)
スマガツオ(東京)など。
ソウダガツオ
ソーダガツオ
メジカ(各地)
スマガツオ
(和歌山・徳島)
ソマガツオ(和歌山)
ホンスマ(和歌山)
ソマ(三重・和歌山)
など。
ソウダガツオ
ソーダガツオ
メジカ(各地)
マンダラ(神奈川)
ロウソク(三重)など。
キツネ・キツネガツオ(徳島・和歌山・京都など各地)
シマガツオ(山形)
シジガツオ(京都)
トウケン(沼津)など。

サワラとヨコシマサワラ

サワラは北海道~九州の日本各地に分布し、特に瀬戸内海に多い。一方のヨコシマサワラはサワラにくらべて外洋性強く南方系で、高知から南日本沿岸、琉球列島に多いので関西の釣り人にはなじみが薄いが、サワラ属もサバ科の魚と認識をしていただくために紹介しておく。見分け方は簡単で体側の模様が斑点状ならサワラ、体側下部を中心に横縞があるならヨコシマサワラだ。よく似た種にカマスサワラがいるが、カマスサワラは横縞が腹側から背側にまで顕著なので区別できる。釣り人はオキサワラ、オキザワラという名前でヨコシマサワラとカマスサワラを混称していることが多い。

サワラ ヨコシマサワラ比較
サワラの地方名 ヨコシマサワラの地方名
サゴシ・サゴチ(幼魚や若魚。各地)、
ヤナギ(瀬戸内海)、カマチ(壱岐)など。
イノサワラ(奄美大島)、イノーサーラ、
ヒラサーラ(沖縄)など。釣り人はオキサワラ、
オキザワラと呼んでカマスサワラと混称している。