CLOSE UP "SPECIALIST" 茂手木 祥吾

ショップ店員でありトップトーナメンター

茂手木祥吾プロフィール

店員でもあり、第一線で戦うバスアングラーでもある茂手木さんですが、そのスタイルになるきっかけは何かあったんでしょうか?例えばショップ店員の仕事が先、またはバスアングラーとしてが先だったんですか?

バスアングラーとしてが先でしたね。トーナメントに出はじめた頃、これでやっていきたいなと思っていた頃に、丁度釣りに向かう朝、釣具店に貼ってあった求人のポスターを見たんです。それでその釣りの帰りに履歴書を持って行ったぐらいな感じです。

茂手木祥吾

ブラックバス釣りはいつ頃から始められたんですか?

バス釣り自体は小学生頃からでしょうか?うちは父も祖父も釣りをしていたので、物心ついた時から釣りはしていました。一度高校生ぐらいの頃にバス釣りから離れた時期もあったんですが、また二十歳を超えてから改めてスタートしました。

なるほど。ではそのタイミングから本格的にトーナメントへの参戦などもする様になったということでしょうか?

そうですね。

ちなみに、小学生の頃バス釣りを始められた時って、たくさんブラックバスは釣れたんでしょうか?(記者も同世代のため気になったのである)

いや~釣れなかったですね(笑)今ほど魚もいなくて、色んなところに行っても釣れなくて。中学校に上がり、自転車などで出かけたりする様になってから、そこそこ釣れる様になってきましたね。ただ東京に住んでいると、有名な場所や良いフィールドは遠かったので、なかなか近所で気軽に釣るのは難しかったです。

新しい釣り人のスタイル

釣具店の店員というところから、同時にトーナメンターとしても活躍するスタイルに、周りの反応はどうだったのでしょうか?

15年ぐらい前、当時は今ほどルアーフィッシングが普及しておらず、お店で扱うものも船釣りや渓流釣り等がメインでしたので、僕のスタイルを良しとして認めてくれる人も少なかったんですよ。それでも最初に釣具店にアルバイトで入った時も、トーナメントに出るので、もしも試合がある場合はその週末は働けない部分を理解してもらい、有難いことに社員にならないかという話をもらった時もその部分を理解してもらって、あくまでトーナメント中心のスタイルを貫かせてもらいました。

なるほど。すると先ずお店にはそのスタイルを受け入れてもらい、徐々に全体的に理解をされていったという形なんですね。

そうですね。一生懸命やっているうちに、雑誌やメディアにも出る様にもなり、段々と周りも認めていってくれました。そして時代も丁度ルアーがメインの流れにもなってきて、良いタイミングでした。そこから某メーカーさんで2年間働かせてもらって、そこでもトーナメントに参戦しながらのスタイルを貫き通し、ものづくりにもフィードバック出来るというメリットをうまく活用してもらっていたと思います。

ある意味、ワーキングアングラーというスタイルのパイオニアと言っても良いスタートだったんですね。

そう言われればそうかもしれません。そういう働き方がそれまでなかったものですから、なかなか最初は扱いも難しかったかもしれませんが、僕自身働きながら試合にも出るという部分は信念として強く持っていたので、貫き通させてもらった感じですね。

なるほど。しかし現在では再び店舗に立つこととなり、トップアングラーと直接話が出来るという点は、お店に来るお客さんにとっても素晴らしいことですね。

僕自身凄く楽しんでいます。色々なアングラーの方やお客さんと近くで話が出来て、色々な話が出来ると同時に試合にも望めるというのは、僕も楽しいですし、お客さんも楽しんでもらえているのかなと思いますね。今後もこういうスタイルでやれる人が増えたらいいなぁと思っています。

Hayabusaとの関係

バス

Hayabusaのフィールドスタッフとしても活躍されていますが、何かきっかけなどはあるんでしょうか?

まだ僕がトップクラスに入る前で、まだまだ知名度も低く、お店でも頭角を現していない様な時からずっと声を掛けてもらっていたんです。そしてトップクラスに上がるのと同時に改めて、契約を結び開発などにも携わらせていただく様になりました。

それとHayabusaさんは鈎が有名ですが、実はウェアも素晴らしいんですよ。僕自身、外やフィールドにいる時間が長いこともあり、機能性などにかなり拘るのですが、シビアな目線から見てもHayabusaさんのものは凄く良くて。なのでウェアに関しても、アドバイスさせてもらったりもしています。

釣り業界の架け橋

バスフィッシングを取り巻く環境を、業界、そしてトーナメンターとしての目線から見てきて、茂手木さんが思い描くこれからのバスフィッシングはどの様なものなんでしょうか?

たくさんの方がそれぞれの立場から動いてはいますが、まだ革命的なことは起きていないのが現状ですね。やはり元々日本の文化にはなかった釣りなので、日本の伝統的な釣りを守ってきた方々からすると難しいジャンルだとは思います。
僕はトーナメントというフィールドで釣りをしながらも、楽しむための釣りとしてのバスフィッシングも提案していきたいんです。なかなか都会に住んでいると、釣りに割く時間がなかったり、車や大きなクーラーがなかったり。さらに持って帰って魚を捌くのが難しい状況にいる方も多い。そんな中で、バスフィッシングはアウトドアのひとつとして楽しめると思うんです。その様な方向性をもっと提案して、女性や子供にも楽しんでもらえたらなと。

なるほど。今のショップで働くというポジションは、そういった部分の架け橋にもなりえるのかもしれませんね。

そうですね。船釣りやへらぶな釣りなど、他のジャンルにはそれが出来る素晴らしい人が、業界や店舗にもすでにたくさんいると思うので、バスフィッシングにおいてそんな事が出来る立場になれたら良いですね。
まだまだバスフィッシングが受け入れられていない面もありますが、今後確実にもっと発展していくジャンルだと思うので、なかなか難しいのかもしれませんが、僕の様なスタイルで業界で頑張りたいという人が増えてくれれば本当に嬉しいですし、応援したいですね。それが僕の目指す本当の意味でのインストラクターなのかなと思います。