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透き通る碧い海と、広大なサンゴ礁。
私が住む沖縄の海はキレイなのはもちろん、釣り人にとってもさまざまな魚が釣れるパラダイスだ。だが、初めて沖縄の魚を手にした人や鮮魚コーナーを覗いた県外のアングラーが、ほぼ例外なく口をそろえて言う言葉がある。
「……魚、カラフルすぎません!?」
誤解を恐れずに言えば、「これ、本当に食べられるのか?」「食欲がちょっと湧かない……」と一瞬ためらってしまうような、ビビッドな原色系の魚たちが当たり前のように泳いでいる(見た目に反して? 実際のところ、けっこう美味い)。
では、なぜ沖縄の魚たちはこれほどまでに派手なのか?
今回はWEBやAIもフル活用してその進化の謎に迫りつつ、釣り人目線で「釣って楽しく、食べて極上」な沖縄の個性派ターゲットたちを紹介しよう。
なぜそんなにハデなのか?カラフルな色彩の秘密

青、赤、黄色……まるで絵の具をぶちまけたような魚たち。諸説あるが、要約すると大きく2つの進化の理由があるようだ。
●サンゴ礁と同化する「保護色」
色鮮やかなサンゴや海藻が繁茂する海中では、陸上で見るような地味なグレーや銀色よりも、鮮烈な原色や複雑なまだら模様の方が、天敵の目を欺きやすいという。
●仲間を見つけるための「サイン」
入り組んだサンゴ礁の海で、視界が効くからこそ「遠くからでも同種を見つけやすいように」特徴的な色に進化したともいわれている。
つまり彼らにとっては、過酷な自然界を生き抜くための超実戦的なカモフラージュ&コミュニケーション術なのだ。そうした背景を知れば、派手な色彩も納得できる…とはいえ、まだ口にするには勇気がいるだろうか(?)。
次からは、そんな固定観念を軽快に覆してくれる美味な魚たちを見ていくことにしよう。
見た目のインパクト最強!
青い魚【イラブチャー(標準和名:ツキノワブダイなど ブダイ類)】

最初にご紹介するのは「イラブチャー」。初めてこれを見たとき、「最初にコレを食べようと考えた昔の沖縄の人は、相当腹が減っていたのか? それとも、とてつもなく勇敢なチャレンジャーだったのか…」と本気で感心してしまった。何しろ全身が真っ青なのだ。「青=食欲減退色」というのが一般的な人間の感覚ではないだろうか。
フカセ釣りで味わう、強烈な引きと豪快なファイトが魅力
とはいえ、沖縄の海釣り(とくに堤防や磯からのフカセ釣り)において、イラブチャーは人気のターゲットである。サンゴ礁が広がる沖縄の浅場はとにかく根掛かりが頻発する。そのため、仕掛を自然にフカせて潮に漂わせる釣りが発達しているのだが、そこで強烈なパワーで竿を満月のように絞り込んでくれるのが彼らだ。
ちなみに「イラブチャー」とは、沖縄におけるブダイ科の総称である。種類も多く、クジャクのようにオスは鮮やかでド派手な青緑色、メスはなぜか茶褐色や落ち着いたツートンカラーと、雌雄でまったく体色が異なる点も興味深い。

気になる食味は?
刺身で口に運ぶと臭みなどは微塵もなく、適度なモチモチ感と上品な甘みがあってひじょうに美味い。沖縄定番の「酢味噌和え」で食べるのも格別だし、皮付きのままマース煮(塩煮)や煮付けにしても実に滋味深い(じみぶかい)出汁が出る。


沖縄三大高級魚の筆頭!
赤い魚 その1【アカジン(標準和名:スジアラ)】

沖縄で「赤」といえば、単に“おめでたい色”というだけにとどまらない。現地名の「アカジン」は、「赤くてゼニ(沖縄方言で“ジン”)になる魚」が語源とされている。つまり、「獲れば即座に高値で売れる=それだけ飛び切り美味い!」ということだ。
沖縄の海を代表する「沖縄三大高級魚」の筆頭格として君臨しているアカジンは、船釣りでも人気のターゲットで、良型が釣れればヒーローになれる。
その極めて高い価値ゆえに資源保護の対象にもなっており、沖縄県では「全長40cm未満は再放流(リリース)」のルールが定められている。釣り場で見事キャッチした際も、規定サイズ未満の個体は優しく海へ返してやりたいところだ。

気になる食味は?
高水温期の沖縄の魚は比較的脂が乗りにくいといわれるが、このアカジンは別格だ。ハタ科特有の力強い旨味に加え、上質な脂をたっぷりと蓄えている。
刺身の濃厚な味わいは言わずもがなだが、ゼラチン質を豊富に含んだ皮やアラからは極上の出汁が出る。個人的には「煮付け」が最高の調理法だと感じている。

ちょこっと寄り道「ハタ、いろいろ」
沖釣りでアカジンをねらっていると、外見がよく似た赤いハタ「ジセーミーバイ(アザハタ)」がヒットすることがある。アカジンに比べてややズングリムックリとした体型だが、人によっては「アカジンより美味い!」と太鼓判を押す隠れた実力派だ。

また、市場を覗くと、ヒレが鮮やかな黄色で黒褐色のトラ模様が入ったハタを見かけた。これは2m級の巨大魚へと育つ「アーラミーバイ(タマカイ)」の若魚で、成長するにつれて体色がドス黒く変化していくらしく、市場を歩くだけでも魚たちの多様性と成長の妙に好奇心をくすぐられる。

深海のルビー!
赤い魚 その2【アカマチ(標準和名:ハマダイ)】

続いて紹介する赤い魚も、沖縄三大高級魚の一角を担う「アカマチ」だ。水深100~150mの深海に生息する魚で、すらりと伸びた優美な尾ビレと、深海から引き揚げられた直後のルビーのような鮮紅色が息をのむほど美しい。
深海をねらう釣りゆえ、潮流の読みや的確なタナ取りが極めてシビアであり、ビギナーとベテランの間で釣果に歴然とした差が出やすいテクニカルなターゲットでもある。

刺身、焼き、煮付け、揚げ物……何をどう料理しても文句なしに美味い、まさに万能の魚だ。とくに皮と身の境目に上質な甘みを含んだ脂が凝縮されているため、皮目に熱湯をかけて素早く氷水で締める「湯霜造り(焼き霜造り)」の刺身は、一度味わえば病みつきになる。

出会えたら超ラッキー!?
幻の高級魚【マクブ(標準和名:シロクラベラ)】

最後に紹介するのは、沖縄三大高級魚の最後の1ピースである「マクブ」だ。沖縄では「魚の王様」とも称されるベラ科の魚である。
サンゴ礁の岩礁帯を好み、カニやウニなどの硬い殻を強靭なアゴと歯で噛み砕いて捕食するため、フッキングした瞬間の突っ込みは強烈無比。打ち込み(ぶっこみ)釣り師にとって、生涯一度は手中に収めたい憧れの大型ターゲットだ。
一般的なスーパーの鮮魚売り場に並ぶことはなく、漁港直営の競り場や専門の魚市場に「運よく揚がっていれば並ぶ」というレベルの希少価値を誇る。
その身はベラ科のイメージを覆すほど緻密で、噛み締めるほどに力強く、上品な甘みが口中に広がるそうだ。私自身は、お値段が高過ぎて口にしたことがない高嶺の花だが、もし現地の市場や料理店で見かける幸運に恵まれたなら、迷わず食してみることを強くおすすめしたい。
沖縄を訪れたなら……
魚の「色」と「味」のギャップを味わい尽くせ!
目の覚めるようなコバルトブルー、鮮烈なレッド、眩しいイエロー……。本土のフィールドとは趣を異にする沖縄の魚たちは、海面を割って姿を現したときの視覚的な興奮も、そして、口に入れた瞬間の「こんなに美味いのか!」という心地よい裏切りも、すべてが鮮烈だ。



遠征や旅路で沖縄の地に降り立つ機会があれば、ぜひタックルを手に、美ら海(ちゅらうみ)のターゲットたちと対峙してみてほしい。
そして釣りのあとは、魚の持ち込みOKの居酒屋で、色鮮やかな魚料理に舌鼓を打つ……。これこそが、沖縄フィッシングトリップの醍醐味といえるだろう。
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レポーターREPORTER

バイク雑誌→釣り雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライター&編集者に。個人的な趣味としてもバイク&釣りを楽しんでいるが、完全にヘタの横好きで費用対効果がひじょうに悪いのが悩みドコロ…。
