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春のタイラバは、ノッコミシーズンらしい好釣果が期待できる一方で、日によっては魚の反応が渋く、思うように数を伸ばせない難しい展開になることも少なくありません。そんな状況のなかで釣果を分けるのは、特別なテクニックではなく、いかに基本を徹底できるかという点にあります。
当記事では、実際の福江沖での釣行をもとに、反応が渋い春のタイラバにおいて重要となる考え方や具体的な操作について、順を追って紹介していきます。
初マダイを目指して福江沖へ
4月上旬、自船にお客さんを乗せて福江沖へタイラバ釣行に出ました。今回一緒に釣りをしたお客さんは、これまでタイラバでマダイを釣った経験がなく、この日はまず1尾を手にしてもらいたいという思いで出船しました。

タイラバはシンプルに見える釣りですが、実際は意外と奥が深いものです。アタリが出たときに思わずアワセを入れてしまったり、巻き速度が安定しなかったりと、最初はつまずきやすいポイントも多いのです。
そんなワケで当日は、出船前から難しいことを詰め込むのではなく、「着底したら慌てず巻き始めること」「一定速度でスローに巻き続けること」「アタリがあってもすぐにアワセないこと」の3つを中心にレクチャーしてスタートしました。
反応は渋く、掛けても外れる難しい展開
この日は水深55~75mを中心に探っていきましたたが、1日を通して魚の反応は渋い状況でした。昼前までは小ダイが数尾にアオナ(アオハタ)が混じる程度で、船上の雰囲気も決してかんたんなものではありませんでした。
とくに難しかったのは、アタリが出てもフッキングした瞬間に外れやすかったこと。せっかく魚が口を使っても、そこで掛けにいき過ぎるとフッキングに至りません。そんな場面が何度もあり、渋い日にありがちな気難しさを感じました。
それでも探っていくなかで、深めのラインよりもやや浅い55~65m前後に反応がよく出るといった具合。広く漫然と船を流すのではなく、少しでも魚からの反応が得られたラインを丁寧に流し直すことが、この日の組み立てでは重要でした。

渋い日は基本が効く!
底取り・定番色・スロー巻きの鉄則
使用したタイラバの重さは150gと200g。潮の速さによって使い分けながら、そのときどきでしっかり底を取り続けられる重さを選びました。タイラバでは当たり前のことですが、渋い日ほどこの底取りの精度が釣果に直結します。
カラーは赤とオレンジを中心に使用。派手に変化を付けるよりも、まずは信頼できる定番色を軸に組み立てました。こういう日は、あれこれ変えたくなるものですが、基本を崩し過ぎない方が結果につながります。

巻き速度はスローが基本です。速く巻いて追わせるというより、一定のリズムでゆっくり見せ続けるイメージです。渋い状況では、速さの変化や余計なアクションよりも、この一定巻きの安定感が何よりも大切なのです。
アワセないことが結果につながった!
この日一番重要だったのは、やはりアワセのタイミングでした。アタリが出ると、どうしてもロッドを立てたくなります。まして初マダイをねらうお客さんなら、なおさらその気持ちは強くなります。

この日はその“ロッドを立てるアワセ”がとくに裏目に出やすい日でした。そこで「今はそのまま」「止めずに巻き続けてください」と声をかけながら、反射的にアワセず、そのまま巻き続ける意識を徹底してもらいました。いわゆる「巻きアワセ」のイメージです。
最初は少し難しそうに見えましたが、釣りを続けるうちに巻きのリズムも安定し、アタリへの対応も落ち着いてきました。タイラバは魚との勝負であると同時に、人の動きが整ってくるほど釣果が伸びやすい釣りだということを、改めて実感しました。
潮変わりで一気に好転!
終盤に訪れた時合い
大きな動きが出たのは、潮が効き始めて船が流されるスピードが速くなる直前でした。ここまで我慢の時間が長かった分、その変化はハッキリしていました。

13時過ぎには50cmオーバーのマダイがダブルヒット! さらに終了間際の14時には、60cmのマダイも飛び出しました。最後まで何が起こるか分からないのが、海の面白さでもあります。
終わってみれば、マダイは計6尾。ほかにアオナ3尾、アヤメカサゴ1尾という釣果でした。数だけ見れば派手な爆釣ではないかもしれませんが、渋い状況のなかで1尾ずつ積み重ねていった内容の濃い釣行だったと思います。海の上では青物やマグロのナブラも多く見られ、春の海らしい生命感も十分でした。

基本の徹底が釣果を分ける
タイラバは派手なアクションで魚を誘う釣りではありません。だからこそ、基本の積み重ねが釣果を大きく左右します。とくに春のように反応が渋い日ほど、その差はハッキリと表れます。
今回の釣行を通して、あらためて重要だと感じたポイントは以下の3つです。
- ●底取り精度と時合の見極め
適切な重さで底を正確に取り続けること、そして潮の変化をとらえることが釣果に直結 - ●一定速度で巻き続けるスロー巻き
余計な変化を付けず、一定のリズムで見せ続けることがバイトにつながる - ●アワせず巻き続ける“巻きアワセ”
アタリがあっても慌てず、巻きで乗せる意識がフッキング率を高める
今回のお客さんも、最初はアタリへの対応や巻きのリズムに戸惑いがありましたが、これらを意識することで徐々に形になっていきました。初めてマダイを手にしたい方にとって、タイラバは一見難しく感じますが、やるべきことを絞って丁寧に続ければ、しっかりチャンスは巡ってきます。

当日はかんたんな展開ではありませんでしたが、だからこそ1尾ごとの価値が際立つ釣行となりました。状況に応じて釣りを組み立てながら魚に近付いていく…。タイラバという釣りの奥行きを強く印象付けられる1日でした。
反応が渋い日でも、タイラバは基本を崩さずに続けることが大切です。重さを合わせて底をきちんと取り、一定速度でゆっくり巻き、アタリがあっても慌ててアワセないこと。初めてのマダイを目指す方ほど、その積み重ねが一番の近道になります。
春の福江沖、そして五島列島福江島周辺の海は、そんなタイラバの面白さを改めて教えてくれるフィールドだと実感しました。
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レポーターREPORTER

五島列島福江島を拠点に、船長として日々海に出ながら、タイラバやジギングを中心としたオフショアフィッシングを案内している。季節ごとに変わる海の状況や魚の動きを見ながら、お客さんと一緒に五島の海を楽しむのが何よりの楽しみ。現場で得た気付きや、その時季ならではの釣りの面白さを実釣ベースで発信している。
