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釣り人ならば「パンコイ」という言葉を聞いたことはあるだろう。そう、食パンでコイを釣るという、ベーシックかつお手軽な釣りだ。コイは基本的に雑食で、食べられそうなものは手当たり次第に口にする傾向があり、当然ながら食パンだってガンガン食う。そんなコイの食性を利用した釣り方…というか“遊び方”が、パンコイなワケだ。
そのコイと双璧をなすほどの雑食性を持つと噂されるのが「テラピア」だ。1960年代に当時の食糧問題を解決すべく、貴重なたんぱく源として日本に持ち込まれたという経緯があるという。かつては回転寿司などで「イズミダイ」という名前で提供されていたようだが、現在は食用として出回ることはほぼなくなったようだ(東南アジア圏では食用として養殖されている)。

そんなテラピア、ネットや動画サイトで調べる限りでは「コイよりかんたんにパンで釣れる!」らしいので、軽い気持ちで「パンでテラピア=パンテラ」にチャレンジしてみることに。ん…パンテラ、どこかで聞いたことがある響き…。そう、スーパーカー世代の50歳超のオジサンたちなら誰もが懐かしいと感じる、あの「デ・トマソ・パンテーラ」だ!

ということで、オジサンたちにも親近感を持ってもらうためにも、パンテラは「パンテーラ」と呼ぶことにして(釣り業界で定着してくれると嬉しい…)、その模様をお届けしたい。
知ってる?沖縄3大パンメーカー
その人気パンをエサとして調達!
で、まずはエサとなるパンの調達なのだが、私が住んでいる沖縄県は独自のパン文化が進んでいるようで、沖縄でしか流通していないパンがほとんど。そんな沖縄パンを製造する“沖縄3大パンメーカー”から一品ずつチョイスして、計3種類のパンを用意したのでサクッと紹介しよう。
ぐしけんパンの定番「なかよしパン」

まずは「ぐしけんパン」の定番中の定番で、沖縄県民で知らない人はいないだろう菓子パンの王様「なかよしパン」だ。
写真を見てもらうと分かると思うが、驚くべきはその大きさ。比較としてルアーケースの代名詞でもあるメイホウのVS-3020と並べてみたが、ほぼ倍近い大きさである。今回はプレーンテイストをチョイスしたのだが、ほかにもピーナツ、ダブルクリーム、プレミアムなど味の種類も豊富だ(ハーフサイズもあり)。




オキコパンのロングセラー「ファミリーサンド」

次は「オキコパン」の朝食定番「ファミリーサンド」。
1972年の創業開始以来から作られているロングセラーで、一番のポイントはほかの食材を挟むことを前提に最初から切れ目が入っていること、そして、既にマーガリンが塗られていることだ。それゆえに時短で朝食の準備ができるという、育ち盛りの子どもたちを持つ沖縄の親御さんにはウレシイ逸品なのである。




“個性派”第一パンの「焦がしバター風味のデニッシュブレッド」

最後は「第一パン」だが、東京にある「第一屋製パン」とは関連がなく、沖縄発祥のパンメーカーである。シェアは前述のぐしけんパン、オキコパンと比べると少ないようだが、個性的な菓子パン類はとても魅力的だ。
そんななかで選んだのが「焦がしバター風味のデニッシュブレッド」で、テラピアに食われる前に味見してみたが私的には一番のお気に入りだ。


いよいよ実釣編!
ロング&パワフルなタックルとウキ釣り仕掛で挑む
さてさて、ここまでパンの話ばかりで釣りの「つ」の字も出てこなかったが…、ここからは実釣編だ。
まずはタックルだが、柵越しに竿を出すと同時に岸沿いに生える木々やボサなどを避ける必要があるため、少々長めのロッドが必要となる。そこで今回は、エイテックが展開するテレスコロッドブランド「TRGR(トラギア)」の“TRGR TIPTOP S906H”を使用した。
こちらは、9ftのレングスに45gルアーをキャストできるスペックを持つ、ショアジギングにも対応できるパワフルロッドだが、仕舞寸法が53cmとコンパクトに納まるのが魅力の1本だ。

仕掛に関しては、まずはウキ釣り仕掛で試してみることにした。フィールドの状況や魚からの反応で臨機応変に替えてみるつもりだ。某動画サイトでは「テラピアは用心深いので、ウキを付けると警戒して寄ってこない」というような内容も見かけたが、果たして…。

水辺をのぞき込めばテラピアがウジャウジャ…だったはずなのだが!?
ということで実釣開始。前述したようにテラピアが用心深いのは確かで、人の気配を感じるとそれまで群れでウジャウジャいたのが蜘蛛の子を散らすようにあっという間にいなくなってしまう。それだけにソロリソロリと岸際に近付いてのぞき込んでみると……アレ? いることはいるけど…こんな少なかったっけ? 前はもっと気持ち悪いくらいにウジャウジャいたハズなんだが…。

あっれ~…イメージではテラピアがウジャウジャいて、1投目からヒットして、30分ほどで4~5尾釣ってフィニッシュ! …みたいに考えていたんだが。何でこんなにいないんだろう? 大雨とかで流れちゃった?
ポイントを探してウロウロしていると、何やら「!?」な物を発見。コレ…魚のウロコだ。
4~5m四方くらいの芝生の上に散らばっているので、相当な魚の数の分のウロコだと思われる。もしかして、テラピアのウロコ? しかもウロコを取るくらいだから、食用として取られている? だからテラピアの姿が見当たらない!? 真相は不明だが、ちょっとブルッた光景に出くわしてしまった。

「パンテーラ」一直線のはずが…
まさかの結末は「パンコイ」に!?
さて、気を取り直して水面に目を向けると、プレコではない魚たちが数尾泳ぎ回っている。テラピアっぽい…といえばソレっぽくもあるが、コイっぽくも見える。魚種を肉眼で確認したいので、パンを「撒きエサ」にして魚を水面までおびき出すことに。
すると…お、パンを目当てにワラワラと魚たちが寄ってきた! そして1尾目がパンをパクリ! あれは……コイだった。続いて2尾目もパクリと食ってきたが…テラピア? よく分からない。
ただ、少なくともパンをついばむ魚がいるということで、ここで仕掛を投入してみることにした。

パンを水面に浮かせるため、仕掛のガン玉は取り外してウキとハリだけにし、そこにエサとしてパンをちぎって丸めずにフワッと付ける。それを撒きエサしたパン群の中に紛れ込ませて、バイトがあったらサイトでアワセるという作戦だ。
ウキがない方が警戒されにくいのは確かだが、パンとハリだけでは仕掛が軽すぎて投げられない。そこで、ウキには“飛ばしウキ”としての役割を持たせた。
この釣り方を何度か繰り返していると、ついに私の仕掛へバイトが訪れた! サイトでアワセを入れるので、バイトの瞬間は正直「…アレ!? (テラピアじゃない?)」とも思ったのだが、釣り人の性とでも言うべきか…反射的にアワセを入れてしまった。
そう、勘のよい読者の方々ならもうお分かりだろう、パンテーラではなく、結果は「パンコイ」になってしまったのであった…。


かつての好ポイントは変わり果てた姿に…しかし、生命感はある!
コイを掛けてしまったせいか、それまで周辺にいた魚たちも散り散りとなり、その後は浮いた撒きエサにも反応がなくなってしまった。そこで、別のポイントへ移動することに。
向かったのは、かつてルアーでテラピアがよく釣れていた場所だ。久し振りなので今どうなっているかは分からなかったが…悪い予感は的中。水がほとんどないうえに、テラピアの姿も見当たらなかった。

そこで、ドンツキのポイントは諦め、少しでも水深がある場所を探してみることにした。水が濁っているので魚影らしきものは全く見えないが、とりあえずパンを落としてみる。今度は水中をねらうため、丸く固めてみた。
最初はハリを隠すように大きめに丸めてみると、アタリがビンビン! ただ、魚自体が小さいのか、ウキは沈むもののフッキングまでには至らない。ならばとフッキングしやすいように、パンを小さめに丸めてみたのだが、今度は全く食ってこなくなった…。


仕方なく大きめに丸めてバイトを得ながらパンの消費を待ち、ハリ先が出る(と思われるタイミング)まで辛抱強く待つ作戦に変更。もちろん、ひと口でパクっといけないくらいの大きさの魚に突かれているということは分かっている。ただ、釣れないよりはマシだ。何とか「パンテーラ」を達成しなければならない!
これは本当に「パンテーラ達成!」と喜んでいいのか?
微妙な結末…
で、釣れた。確かに釣れた。しかし…ビッグベイトにも満たない、どちらかと言えばギル型ワームの大きめサイズくらいの魚が釣れた。
とはいえフッキングはバッチリ決まったようで、上アゴを完璧に貫いていた(サイズが小さいだけに書いていて情けなくもあり、かわいそうでもある)。

というわけで、「パンテーラ」へのチャレンジ自体は一応成功……と言えなくもないが、正直なところこれでは説得力に欠け、自分自身も全く納得していない。
いつの日か、「これがパンテーラだ~ッ!!」と胸を張って言えるような釣果をお見せしたいものだ。そして、テラピア釣りがもっと盛り上がってくれることを、心から願っている。
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レポーターREPORTER

バイク雑誌→釣り雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライター&編集者に。個人的な趣味としてもバイク&釣りを楽しんでいるが、完全にヘタの横好きで費用対効果がひじょうに悪いのが悩みドコロ…。
