船釣りのはじめ方 【根魚】引きの強さがたまらない!!
三陸発!「ボートロックフィッシュゲーム」のススメ

日頃、堤防そのほかのオカッパリをメインに釣りをするなかで、「沖に出ればもっと大物が…、もっとたくさん釣れるのになぁ」なんて思ったことはありませんか? 釣り人として「もっと釣りたい」欲が生まれるのは必然です。とはいえ、船に乗るには道具や釣り方、そもそも船の乗り方さえも分からず、少々ハードルが高いのも事実。そんなモヤモヤを抱えつつ次のステップアップを夢見るアングラーに向けて、経験豊富なHEATライター陣が優しく指南してくれる当「船釣りのはじめ方」企画。
第6回目の今回は、堀籠さんが変化にとんだ地形が特徴の三陸沿岸で楽しむ「ロックフィッシュゲーム」について、まず魚を釣ることを目標に解説してくれます。

リアス式海岸である三陸沿岸はロックフィッシュ(根魚)の生息に適しており、多くの魚たちの格好の棲み処。東北地方のロックフィッシュゲームの歴史は古く、多くのアングラーが楽しんでいます。
バスフィッシングからステップアップしてロックフィッシュゲームを始めるアングラーが多いなか、バス釣りと比較して、そのスケールの違いから魚を探せずになかなか釣果につながらないといったアングラーも見受けられるとのこと。そんな問題を解決すべく、ボートからのロックフィッシュゲームを丁寧に解説してくれていますよ。

三陸沿岸はロックフィッシュの宝庫

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ボートからのロックフィッシュゲームの面白さはさまざまあります。たとえばストラクチャー周りに着くロックフィッシュをねらって釣るのは、スナイパーとなってシューティングしていく感覚で、緊張感や釣り上げたときの達成感も高いものです。ショートディスタンスでの魚の強烈なファイト、金属的なバイトなど、視覚や肌で感じることでゲームの質が向上してエキサイティングな釣り体験ができるのがボートロックフィッシュゲーム(ボートロックゲーム)です。

対象魚

東北のロックフィッシュゲームの対象魚はアイナメをはじめ、クロソイ、マゾイ、キツネメバルなどのソイ類、メバルなどになります。

釣りシーズン

東北のロックフィッシュゲームのスタートは春以降からです。春から初夏にかけては、産卵から回復したアイナメが磯際で盛んにベイトを追い上げます。サマーロックシーズンの魚は体力があり、ファイトも強烈なのが特徴です。
その後、真夏の高水温期には魚の活性が一時的に下がりますが、秋以降(冬にかけて)はアイナメの産卵シーズンに入り磯際で釣れるようになります。このシーズンをウィンターロックシーズンなどと呼んでいます。

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生息域を広げているベッコウゾイ

魚自体は年中釣れますが、ボートロックゲームにおいては、比較的シャローエリアで釣りが成立する5月から7月、10月から翌年の1月いっぱいが楽しい釣りが期待できるシーズンです。
しかし近年は、年平均水温が高めに移行するようになり、本来のシーズナルパターンが変化しつつあります。

ボートロックゲームの準備

近年ではボートロックゲームはメジャーとなり、遊漁船の数も多くなっています。乗合いでも仕立てでもロックフィッシュゲームは楽しめますが、ポイントを共有しながら釣ることも多いので、友人など複数人での釣行がよいでしょう。

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今回、実釣でお世話になった「弁天丸」の村上船長

船の予約

釣行日が決まったら、お目当ての遊漁船に連絡します。その際は日時、釣りモノ、人数などをよく確認して連絡します。さらに遊漁船代集合時間、遊漁船の船着場駐車場なども一通り確認しておくようにしましょう。また、釣行前日の出船確認方法や確認する時間なども聞いておくとよいでしょう。
遊漁船の船長さんは養殖業や漁業と遊漁船業を兼業していることが多いので、夜は早目に就寝することが多いものです。迷惑にならない時間帯に電話するなどしてください。

タックル

当初はバスタックルの流用から始まったロックフィッシュゲームですが、現在では釣具メーカー各社からロックフィッシュ用と銘打ったタックルが販売されています。

【ロッド】

6~8ft前後のレングス。ロッドパワーはミディアムライト~ヘビークラス

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【リール】

ベイトリールであれば、ナイロン20lbを100m前後巻けるキャパシティのリール。スピニングリールであれば、2500~4000番程度のスピニングリール。

【ルアー】

ボートロックゲームのメインルアーはワームです。ハードルアーでの攻略も可能ですが、ロストの多さや攻略の幅を考えれば、やはりワームを使用した釣りがメインとなります。
ワーム種類、サイズ、カラーともにさまざまあります。また、フィッシュフォーミュラなど魚の好む味、香りをワームに配合した商品など実に多彩です。

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今回使用した「レイン」社のワームたち。レインズホッグなど

【シンカー・フック】

ワームを使用した釣りには別途、シンカーやフックが必要です。
シンカーはねらう水深によって使い分けることになります。基本的にボトムに確実にワームを送り込める重さが必要ですので、シンカーの重さはバリエーション豊富に用意しておく必要があります。10~40g程度まで用意しておけばよいでしょう。

ワームフックは使用するワームの大きさによって使い分けますので、サイズごとにいくつか用意しておくことが必要です。

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【ライン】

メインラインはPEライン1~1.5号程度を200mほどリールに巻いておけばよいでしょう。PEラインを使用する場合は先端にリーダーを接続するのが一般的です。

リーダーは結束強度が弱いPEラインの欠点を補い、安定したラインシステム強度を構築します。リーダーとPEラインとの結束は、十分な強度が出せるようにノット練習しておくことをオススメします。
リーダーは16lbラインを基準に12~20lbまで、メインラインの強度に合わせて使用します。

持っておくと便利なアイテム

  • ●偏光グラス
  • ●ペンチ
  • ●フィッシュホルダー(フィッシュグリップ)
  • ●救命胴衣

ボートロックゲームは視覚でポイントを判断することも多い釣りです。船上から海面をみて黒く見えるのが、海底にある沈み根だったり海藻の塊だったりするわけです。そうしたポイントはロックフィッシュの格好の棲み処となっていますので、ねらうべき1級ポイントです。
海面は太陽光の反射などで、そうした海底の変化が見難いことが多いものです。そこで活躍するのが「偏光グラス」です。無用な光の反射を抑えてグッと見やすくなります。また、眼のケガ防止にもなりますので、ぜひ装着しておくことをオススメします。

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釣り上げた魚からハリを外すときなどに活躍するのが「ペンチ」「フィッシュホルダー(フィッシュグリップ)」です。ソイ類やメバルなどの体表やヒレのトゲは思いのほか鋭く、ハリ外しの際によく刺さることがあります。刺されるとズキズキとよく痛みますので、まずは刺されないことが第一です。
また、こうした魚たちは歯も鋭く、安易にバス持ちなどするのは危険です。極力、魚体には触らずに処置した方がいいでしょう。リリース前提とするならなおさらのことです。

そして、言うまでもありませんが、万が一の場合に命を守る「救命胴衣」は必携です。ボートロックゲームではキャストを伴うなど上半身の動きが多いので、ショルダータイプよりも腰巻きタイプの方がよいかもしれません。海での釣りに対応した国土交通省の認定を受けた印(桜マーク)のあるしっかりしたものを着用してください。
もちろん多くの遊漁船では救命胴衣のレンタルも用意していますので、忘れたときなども慌てずに船長に相談しましょう。