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みなさんこんにちは、つりばか3号です。
今回はタイラバの常識を覆す釣法として「ずるラバ」を紹介したいと思います。この釣法は巻き上げるのが常識であるタイラバにおいて、底を「ズルズル」引きずることにより釣る釣法です。
もちろん、いつでもどこでも通用する方法ではありませんが、ある一定の条件を満たせばひじょうに効果が高い釣法で、その条件下では普通に巻くより確実に釣れます。覚えておいて損はないと思いますので、みなさんもぜひ試して、知らなければ釣れなかったタイを釣ってみてください。
タイラバは着底後すぐ巻くのが常識
まずは通常のタイラバの常識についておさらいしたいと思います。タイラバは進化した漁具であり、ルアーといってもよいと思います。つまり「擬似餌=偽物」なわけです。タイが何を思ってタイラバにバイトするのかは諸説ありますが、エサだと思っているというのが一番しっくりきます。
タイラバは無機物ですから動いていなければ石と同じで、タイがエサだとは思わないはずです。つまり、タイラバは動いていてこそタイを誘ってバイトに持ち込めるわけで、その動かすために巻かないといけないということです。
タイラバの常識としてよくいわれるのが、この動きが止まったら見切られるということです。タイラバをフォールさせているとき、巻いているときは動いているからタイを誘い続けることができるけれども、着底した瞬間は動きが止まってしまい、偽物と見破られるからとにかく着底後は早く巻き始めることが大切だ! ということです。
この常識は至極まともであり、ほとんどの場合で間違いではないと思います。しかしよくよく考えると、ある条件では当てはまらず、むしろ「巻かない方がタイを誘えるのではないか?」ということがあるのです。
「ずるラバ」とは?
ずるラバは文字通り、タイラバを巻かず「海底をズルズル引きずる」釣りです。ずるラバが有効になるのは、タイがボトムに執着していて、あまり浮き上がりたくない状況のときです。この「浮き上がりたくない」という状況を見極めるのは難しいところですが、以下の2つの理由が考えられます。
- ・エサが底にしかいない
- ・潮が速くて泳ぎたくない
この理由が本当かどうか定かではありませんが、キーワードとしては分かりやすいと思います。
エサが底にしかいない、たとえばカニやナマコ、貝などを捕食しているときには有効だと考えられます。合わせて、潮が速い状況もずるラバに有効です。
潮が速い目安として、1~1.5kt(ノット)以上になるとタイは底に張り付く傾向があります。これは魚群探知機で魚を映しているとよく分かるのですが、潮が緩いときは浮き上がって魚が映っているにも関わらず、同じポイントを映しても、潮が速いと魚が映らなくなることが多いのです。しかし、どこかに行ってしまったわけではなく、タイラバを落とすと反応して釣れるのです。
潮に逆らって泳ぐには体力を使うため、できるだけ泳がなくてすむように、底に張り付いてやり過ごしているのではないかと思われます。
いずれにせよ、このような状況が予測される条件下では、タイラバを着底させてからすぐに巻くのではなく、底を引きずってバイトを誘う方法が有効になる、つまり「ずるラバ」の出番となるわけです。
ずるラバが有効になる条件
ずるラバは底を引きずる釣りです。つまり、根掛かりがある場所ではいくらタイラバがあっても足りません…。高松沖のタイラバポイントには砂地のポイントが多くあります。ずるラバが活躍するのは、まさにこの砂地! 1つ目の条件は砂地のポイントであることです。
そして、もう1つの条件は潮が速く流れることです。潮が緩い状態で底にタイラバがあっても、タイラバがほとんど動かないためタイを誘うことができません。潮が速い状態であれば、巻かずに底にタイラバをおいていても潮に流されて船が移動するため、必然的に引っ張られて底を引きずることになります。
タイラバ釣りは、釣り人目線では船から真下にタイラバを落としている釣りですが(スパンカー流しの場合)、船は潮に流されているため常に場所が移動しています。この移動を利用して、ボトムレンジのみを釣る釣りが「ずるラバ」ということ。イメージとしてはドテラ流しの方が分かりやすいかも知れません。
船が風で流され、船でタイラバを引っ張ることになるドテラ流しでは、リールを巻いていなくてもタイラバが動いています。これを底でやればずるラバになるのです。
※厳密にはドテラ流しとスパンカー流しではタイラバを動かす水流に違いがありますが、ここではイメージをつかんでもらえれば大丈夫です
このように、高松沖でずるラバをするには、底が根掛かりしない砂地(あるいは泥底)で、潮がよく流れていることが条件となります。
ずるラバが有効な季節と地形
アフタースポーンの5月
高松沖でずるラバが有効になる季節は、いわゆるアフタースポーン(産卵後)となる5月~6月です。
4月中旬から産卵(5月の下旬ごろまで続くのですが)に入ったタイは活発にエサを追います。いわゆるノッコミといわれるシーズンで、この時期はベイトフィッシュであるイカナゴも積極的に追っています。つまり、ボトムのエサだけではく、中層まで泳ぎ上がって捕食行動をしているのです。
これが産卵後になると体力回復のためあまり動き回らず、食べやすいエサを捕食し始めます。中層のエサを追い回して捕食する個体が減り、カニやエビ、貝類、ナマコやヒトデ、ゴカイなどの底性生物を主体で捕食するようになるのです。このようなエサは底にいるため、底を攻めるずるラバが有効になってきます。
サンドウェーブ地形のトップ
もう1つのずるラバが有効になる要素は海底地形です。高松沖には砂でできたハンプ(丘のように盛り上がった海底地形)が各所にあり、潮がよく流れるハンプの周縁には、砂地の海底が波のようになっている「サンドウェーブ」という地形が形成されています。これは、潮流により砂が運ばれ、陸上の地形なら砂丘のようになったものです。
サンドウェーブ地形は文字通り波のような海底であり、潮流に対して直交方向に伸びる砂の丘が、高さ数m~20mぐらいのさまざまな規模で連なっています。潮に沿って流れる船からみると、サンドウェーブでは駆け上がりと駆け下がりを交互に繰り返す状態になり、通常のタイラバでも地形変化があるたびにタイに出会うチャンスがある好ポイントとなっています。
ずるラバはこのようなサンドウェーブ地形でひじょうに有効です。タイの着き場所は潮の速さによってどんどん変わるのですが、潮がかなり速くなると、サンドウェーブの丘の裏側(瀬裏)に着くようになります。この位置は潮が直接あたらないためずっと泳ぎ続ける必要がなく、なおかつ、上流から流れてきたエサが巻き上げられ捕食しやすいため、タイに都合のよい条件となります。
この瀬裏にいるタイを効率よく攻めることができるのがずるラバです。ズルズルと底を引きずるタイラバは船とともに流れてきて、瀬の頂点から転がり落ちるように瀬裏にフォールします。タイはこの瞬間、流れてきたエサと勘違いしてバイトするのです。
ずるラバで気をつけること
このように一定の条件下で有効で、釣果を上げることができるずるラバですが、幾つか特有の注意点もあります。
底質に注意
繰り返しになりますが、底質が岩やゴロタ石のような場所では根掛かりが多発してずるラバは成立しません。遊漁船であれば船長さんに底質を確認しましょう。
タイラバのウエイトはワンランク重く
底を確実に取るため、水深に対してワンランク重めのタイラバを使用するのがコツです。
私の場合、30mぐらいまでの水深で巻くタイラバなら45gをメインに使用することが多いですが、ずるラバをするときには60gを使用。潮が速ければ80gを使用する場合もあります。高松沖ではサンドウェーブ地形は水深35mぐらいまでなので、60~80gがメインになると思います。
フッキングが難しい
フッキングに関しては私も試行錯誤しています。とにかくバイトがあっても掛からないことが多いのです。これは巻いている通常のタイラバが、巻くことにより常にラインにテンションがかかっており、フッキングパワーが発生しているのに対し、ずるラバでは巻いていないためフッキングパワーが発生しておらず、フッキングが難しいといったことが考えられます。バイトがあったら素早く巻く、ロッドでアワせるなど、工夫をしてみてください。
オマツリに注意
ボトムを引きずるということは、水深以上のラインを出すことになるため、ラインが鉛直にならずに斜めとなります。目安としては水深+10mのラインを出すぐらいが高松沖ではやりやすいですが、遊漁船などでこのようにラインを出してしまうと、オマツリしてしまう可能性が高まります。
潮下のポジションであれば、通常よりラインを出してもオマツリしないはずです。なので、ずるラバをしようと考える場合には、潮の流れる方向と船の中での自分のポジションをしっかり把握し、オマツリしない状況を確認してからするようにしましょう。
「ちょっとずるラバ」で釣果アップ
先のずるラバで注意の項目でも書いたのですが、遊漁船で実践するにはちょっとハードルが高い釣りになります。しっかりずるラバするには、潮の流れる方向と自分の船でのポジションの関係の把握といったように、タイラバ釣りに慣れていないと難しい判断が必要になります。そこで、ちょっと試してみると有効な場合がある方法が、「ちょっとずるラバ」です。
やり方としては着底後すぐに巻き始めず、クラッチを戻して5秒ぐらい待ってから巻き始めるというものです。イメージとしては着底したタイラバが少しだけ底をズルズル並行移動し、そこから上がり始める、という感じです。これだとラインは斜めになりませんし、普通にタイラバしている状況とほとんど変わらないため手軽です。
「潮が速い」「底質が砂や泥」「エサがエビやカニ」といった条件が分かっていれば、試してみると意外と効果があったりします。
ということで、今回はちょっと変則的なタイラバとして「ずるラバ」をご紹介しました。遊漁船で実践するにはちょっとハードルが高いかもしれませんが、これからの季節に有効な方法ですので、船長さんと相談しながら試してみてください。
私のYouTubeチャンネルでは具体的にずるラバをやっている場面を紹介しています。使っているタイラバや実際の動作など、参考にしてもらえればと思います。
●ずるラバの例
#232【高松沖タイラバ】究極お手軽メソッド“ずるラバ”!
YouTube「【高松沖タイラバ】つりばか3号のフィッシングドキュメンタリー」
#246【高松タイラバ】シャローでも“ずるラバ”
YouTube「【高松沖タイラバ】つりばか3号のフィッシングドキュメンタリー」
#308【高松タイラバ】巻かずに転がせ!コロラバ!
YouTube「【高松沖タイラバ】つりばか3号のフィッシングドキュメンタリー」
●ちょっとずるラバの例
#310【高松タイラバ】常識を疑え!着底すぐ巻かないタイラバ!?
YouTube「【高松沖タイラバ】つりばか3号のフィッシングドキュメンタリー」
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レポーターREPORTER
瀬戸内海タイラバYouTuberの「つりばか3号」です。名前のとおり瀬戸内海にてマイボートのタイラバをしており、その様子を動画にしてYouTube配信しています。魚探を利用した釣りが得意で、魚探データから海図を作ったりしています。タイラバのノウハウや、魚探の使い方、海底地形と釣れるポイントの関係などについて発信したいと思います。
YouTube:【高松沖タイラバ】つりばか3号のフィッシングドキュメンタリー