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サクラマスジギングでは、使いやすさからセミロングタイプのジグが人気です。多くのアングラーが使用しており実績もあり、セミロングタイプが定番化しています。しかし一方で、ジグ選択の幅を狭くしているようにも感じられ、それと同時に、多くのアングラーが同タイプのジグを使用すればサクラマスはスレてしまい、ジグを見切ってしまうということも考えられます。
そこで、青物ねらいでは定番のロングジグをサクラマスジギングで2シーズン使用してみた経験と実績をもとに、サクラマスジギングにおけるロングジグの活用メリットと使用方法をご紹介します。
セミロングとロング、それぞれに一長一短ある
セミロングジグの特徴
ロングジグの活用方法をお伝えする前に、それぞれのジグの特徴を考えてみたいと思います。まずセミロングジグの特徴としては、
- (1)軽い力ですぐに横を向く
- (2)ジャーク後の跳びは長くない
- (3)水平フォールの時間が長い
- (4)フォールは比較的遅い
といった特徴があります。
セミロングジグはジャークでのアクションやフォール姿勢が安定していることから、いつでもバイトを得やすく使いやすい。ジャーク、フォールともにそつなく使える優等生的なジグとして、サクラマスに「見せて食わせる」ような使い方がメインとなります。しかしあえて言えば、コンパクトにまとまり過ぎているというか、飛び抜けてサクラマスを惹き付ける何かに欠けているとも言えるかもしれません。
そんなセミロングジグのアクションを図にしてみました。ジャークした際のジグの軌道です。
ロングジグの特徴
次にロングジグの特徴です。
- (1)ジャークした際の跳びが鋭く長い
- (2)ジャーク後の水平フォールはごく短い
- (3)水平姿勢からフォールに移行するタイミングが早い
- (4)フォールはまっすぐ、やや軌道を変化しながら落下する
セミロングジグと比較してロングジグは水平姿勢を維持する時間がごく短く、すぐにフォールに移行します。どちらかといえば、ジグのアクションを魚に見せてバイトを誘発するというよりも、跳びの鋭さやスピード、速いフォールスピードで魚に見切られずに興味を惹き続けてバイトに持ち込むことを得意としています。
こうしたセミロングとロングのそれぞれの特徴を踏まえると、セミロングジグは多様な魚種に使いやすく、とくに活性の低い魚や捕食スピードが遅い(または捕食が下手な)魚さえも対象にすることが可能です。スロー系ジギングの浸透とあいまって、ジギングの対象魚が飛躍的に増えたのもセミロングジグの人気の広がりの一因だと思われます。
サクラマスジギングでも、セミロングジグは使いやすさとさまざまな状況に合わせられる汎用性で人気があり、実績も大いにあります。しかし、「スピード」という点ではロングジグに到底敵いません。どんなシチュエーションでも無難に対応できる点はセミロングジグの最大のメリットではあるものの、ときとして、そのメリットが必ずしも効果を発揮するとは限らないのです。ロングジグの一点突破な性能が、飛び抜けた釣果をたたき出すこともあります。
ロングジグは跳びの鋭さ、速さ、軌道の変化とフラッシングなどで、動体視力のいい青物などに効果的なジグとして、これまでたくさんのアングラーに使用されてきました。しかし、「サクラマスジギング」での使用実績はセミロングジグと比較すれば低いものでした。その理由はサクラマスがブリなどの青物と比較して、捕食下手だと一般的に認識されているのが理由の一つかもしれません。
ロングジグはセミロングジグと比較するとスピードで魚を惹き付けるジグですので、魚がジグにバイトするタイミング(いわゆる食わせの間)は短いのが一般的です。これもサクラマスジギングでのセミロングジグ選択の理由になっていました。ところが、私もサクラマスの「スレ掛かり」の多さについてそのように考えていたのですが、2022年のサクラマスジギングシーズンにおけるロングジグでの釣果から、その考えが一変することになりました。
ロングジグの釣果から気が付いたこと
2022年のサクラマスジギングシーズンにおけるロングジグでの釣果から、サクラマスの捕食行動に対する自身の考え方が180度変わりました(私のブログもご参照ください)。
2022年のサクラマスジギング釣果40尾のうち、ロングジグでのキャッチ数はなんと34尾。そして、2023年は総キャッチ数45尾のうち20尾ほどをロングジグでキャッチしました。何気なく使用した2022年の初釣行を皮切りに2シーズン、ロングジグをジグローテーションに組み込んで実釣してみた結果です。
サクラマスは青物と比較すれば捕食下手だと思っていましたが、ロングジグでセミロングジグよりも多くの釣果を出せたことを考えれば、どうも「サクラマス=捕食下手」という考え方は矛盾が多いと思えたのです。バイトタイミングが少ないロングジグでも釣れるということは、決してサクラマスが「捕食下手ではない」ということを証明しているように感じました。
そこで考えたのが、サクラマスは捕食下手ではなく、「スレ掛かり」が多くなるようなサクラマスの捕食行動(=バイトの仕方)からくる結果ではないかという気付きです。
サクラマスが海に降海するのは、体を大きくしてより多くの子孫を残すためです。そのため貪欲にベイトを追います。ご存知のように、サクラマスは体の成長が早く体高は高くなりますが、頭部の成長は遅れてしまいます。そのため大型のサクラマスは「板マス」と呼ばれるほど体高が高くなるものの、頭部は小さく捕食には不向きなままです。
(あくまで私の想像ですが…)このデメリットを克服するために、サクラマスには遊泳力の高さや小回りの効く素早さが備わっていて、ベイトを蹴散らし、その動きが鈍くなったところを捕食するといった方法を見出したのではないかと考えを改めました。そのために「スレ掛かりが多くなる」といったバイトになってしまうのだと考えると、合点がいくのでした。
こう考えると、(捕食下手な)サクラマスが捕食しやすいと思って使用していたセミロングジグの選択は、結果的にジグチョイスの幅を自身で狭めていた可能性があるのではないかと気付かされました。
ロングジグの活用方法
サクラマスジギングでのロングジグの使用には、その特徴である「スピード」を最大限活かしたメソッドが効果的です。
ジャーク時は大きくジグを操作して、鋭く速く横を向かせて長く滑空させます。そうすることでジグを一瞬、サクラマスの視界から遠ざけることが可能です。このときのフラッシングと海中を切り裂く波動は、フィッシュイーターの本能を強く刺激するハズ。光と波動(振動)は広範囲のサクラマスを引き寄せ、捕食スイッチを入れる効果が期待でき、低活性の魚に対して強くアピールします。目の前から素早く逃走するジグに対して、サクラマスはさらに興奮して追尾してくるでしょう。
ロングジグのメリットは、ジャーク後の水平フォールがごく短く、すぐに直線的にフォールすることで魚に見切られないという点も挙げられます。フォールスピードも速いので、サクラマスは捕食のタイミングをつかめずに焦らされることとなります。
ロングジグのヒットチャンスはジャーク後の長い水平グライド(滑空)から、ハイスピードなフォールへ移行するまでの短い時間に集中します。サクラマスがジグにアタックできるのはこのタイミングしかないのです。だからこそ魚にジグを見切られることなく使い続けることが可能なのです。
セミロングジグは「見せて食わせる」使い方ですが、ロングジグは「気配だけで見せずに誘う」ことでバイトに持ち込むような使い方が効果的といえます。低活性な場面はもちろん、シーズンを通して有効だと思われますが、とくに大型のサクラマスには効果的です。使い方のコツはジャークスピードとフォールをしっかり入れること。ロングジグでサクラマスをねらう際は、青物ねらいの場合よりもゆったりとしたジャークテンポでねらうことがキモです。
サクラマスのロングジグへの反応は強く激しいことが多いです。明らかにセミロングジグとは違った反応をします。サクラマスジギングでロングジグを活用すれば、釣りのパターンを広げることが可能になり、新しい発見があるはずです。
ぜひ、ロングジグを使いこなしてサクラマスをキャッチしてください。
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レポーターREPORTER
フライフィッシング、バス、シーバス、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、エギング、鮎釣りまで、さまざまなジャンルを釣りこなすマルチアングラー。現在はスーパーライトからヘビークラスまでジギング全般と、メタルスッテを中心としたイカ釣りに取り組む。
東北エリアの面白い釣りを発信することで、震災復興に繋げていきたいという熱い想いのもと活動中。
GOMEXUS社フィールドテスター /tamaTV社フィールドモニター /キーストン社フィールドサポーター などを務める。
ブログ:Anglershighごめのブログ