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ようやく立春を迎えましたが、このころから海水温は年間で最も低い時期に入ります。メジナ(グレ・クロ)の産卵は2月から5月にかけて行われるため、ねらい目としてはベストシーズンに入ります。
ベストシーズンとなるほかの要因として、暖かい季節に比べてエサ取りが少ないこと、この時期、メジナの好物であるノリ類が比較的波の穏やかな内湾に多く見られること、なども挙げられます。
産卵を控えたメジナたちは潮通しがよくない陸に近いポイントに多く集まる傾向があり、その理由として、お腹が大きくなったメジナは潮の速い場所や大きなサラシが出る場所を好まないといったことがあります。そうしたことから、ほかの季節にはポイントとして見落としてしまうような小場所でも、好釣果に恵まれるチャンスが増えるのです。
今回は、そんな厳冬期のメジナをねらうためのポイントについてお伝えしましょう。
ポイントの見極め方。海苔に注目!
釣り場に到着したら、最初に波があたる場所に海苔類の付着があるか、どの程度付着しているかを観察してみましょう。漁港の防波堤であれば船揚げ場の斜面、小磯であれば日当たりのよいなだらかな波打ち際付近です。また、入り江になっている浅い場所でも海苔類が多く見られるようであれば、海底の溝や大岩、ゴロタ岩の際などはポイントになる可能性が高いと思われます。
マキエのオキアミは少なめに!
好シーズンということで思わぬ大型が潜んでいることが多いため、細すぎる仕掛は要注意です。そしてマキエについての留意点としては、オキアミは少なめに、よく砕いたものを使いましょう。アミエビ(赤アミ)と配合エサを主体としたものが好ましいでしょう。
水深が浅く、低水温の釣り場で大粒のオキアミを大量に投入してしまうと、その付近にいるメジナたちはすぐに飽食状態となり、時合が長続きしなくなるので注意が必要です。とくに入り江のような潮通しのよくないポイントでは、潮流で広範囲のメジナを集めるといったことは期待できませんからなおさらです。
低水温を意識したタナ選び
低水温期とあって普段よりも深い場所をねらうよう心がけましょう。沖からの潮がぶつかるような釣り場であれば磯際がねらい目となり、サラシや潮流がある場所であればマキエによってタナが浅くなるものの、厳冬期であることを念頭に置くことが大切です。
メジナのタナは好条件がそろうと、磯際でも浅ダナでもよく食ってきます。ところが、こうした状況下であってもマキエを投入し続けるとヒットエリアは次第に遠くなり、タナも深くなり、最終的には潮下のマキエが留まるような位置の一定のタナで食ってくるようになります。
低水温の場合はとくに、終始それに近い状況が想定されると考えられます。
道糸の号数はやや太め、立ちウキの使用がオススメ
前述の通りタナは一般的に深くなるわけですが、その場合、根掛かりが起こる可能性も高くなります。風が強いと道糸が細い方が操作性はよくなるものの、根掛かりが起きた際には道糸が細過ぎるとラインブレイクしてしまうことになります。そのような理由で、私は常にナイロンの3号よりも細いものは使用しないようにしています。
また、ウキに関してもあくまで個人的な意見ですが、マキエが留まるポジションでアタリがくるまで静かに待つことを考慮して、立ちウキ(彩ウキ®)が使いやすいと考えています。盛期の釣りよりも投入してからアタリが出るまで長時間待つことが多いため、全遊動やウキを沈めてねらう釣り方は、やや難しいというのがその理由です。
エサ取りの反応を見てタナを調整
エサ取りが少ない厳冬期とはいえ、エサ取りが全くいないわけではありません。サシエのオキアミが残ってくるようなときは少しずつタナを深くしていき、生命反応のあるタナ付近で釣りを続けます。
最初はフグなどのエサ取りだけかもしれませんが、たとえエサ取りの反応であったとしても、サシエのオキアミがかじられるようなタナが好ましいというわけです。逆に、根魚やベラのような海底付近に多く見られるようなゲストが食ってくるようであれば、タナはそれ以上深くせず、辛抱して本命のアタリを待つことが好ましいでしょう。
そしてマキエは一度に大量に投入せず、エサ取りがいるようであれば、投入前にヒシャク1~2杯を仕掛の投入位置よりも少し手前に入れておきます。エサ取りが少ないようであれば、仕掛を投入したのち、サシエがタナに到達する頃合いを見てヒシャク1杯のマキエをウキに被せるように投入します。
マキエを撒き過ぎない!
もしエサ取りが多い場合は…とっておきの秘策
水温が下がるほど、エサ取りも本命も同じタナに集まる傾向があります。しかしながら近年は温暖化の影響があり、厳冬期でもエサ取りが多く見られます。エサ取りがいるとマキエを多く投入したくなりますが、この季節はマキエを投入し過ぎないよう心掛けましょう。低水温下ではメジナも摂餌量が少なくなりますから、たくさん撒きすぎると時合は短くなってしまいます。
なかなか本命のアタリが出ないなか辛抱を強いられると、どうしてもサシエがエサ取りに食べられているのでは? という心配がつきまといます。こんなときはサシエに「オキアミブラック」を振りかけておくと、エサ持ち時間は格段に長くなり、確実にアタリを出すことにつながります。
エサ取り対策リキッドの「オキアミブラック」は、表層付近にいるエサ取りが、視覚によって明るい色彩のオキアミをねらってくるという習性を利用した特許商品です。
先日釣り場で「食いの渋いときにオキアミを黒くしてしまって本当に食ってくるのか?」という質問を受けたのですが、待ち時間が長くなるほど黒い色素が抜けて、深ダナの本命にアピールするため全く心配はありません。熱海の沖磯で、そんな会話の最中に40cmオーバーのメジナが食ってきました。
といったワケで、厳冬期のメジナをねらうためのポイントはいかがだったでしょうか?
最後に、季節風の強いときは風裏であっても風がおさまった途端、大波が来ることもありますから、安全第一で厳冬期のメジナ釣りを楽しんでくださいね。
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レポーターREPORTER
1960年生まれ、東京都出身
北里大学水産学部(現・海洋生命科学部)を卒業後、大手釣りエサメーカーに入社し研究開発担当として数多くの新製品を手掛けた経歴を持つ。
定年退職後の現在は、「フィッシング彩」代表としてメジナ、クロダイ用の立ちウキ「彩ウキ」を製造・販売するほか、釣り関係の新聞・月刊誌などの執筆、大学や高校での講師としても活躍。代表著書に「釣りエサのひみつ(つり人社)」がある。
趣味はもちろん釣りだが、写真撮影、魚の組織標本作成、釣りに関連したアニメーション作成など多方面にわたる。さまざまな活動を通じて、ハードルの高い釣りのとっつきにくさやその先入観を拭い、できるだけ手軽に楽しんでもらうキッカケづくりができればと考えている。