富山湾の贅沢「アカムツ」をライトタックルで!
そして、クセのない脂と上品なお味に舌鼓!!

みなさんこんにちは。今回の主役は高級魚「アカムツ(ノドグロ)」です。
当然釣ったことがある方もいると思いますが、まだアカムツを釣ったことない方や、釣り行ったけど釣れなかった…なんて方に向けて、また、料理があまり得意じゃない方でも美味しくいただけるように、今回は釣りと料理の2本立てでお届けしたいと思います。

まずはアカムツを釣るための準備から

アカムツ(ノドグロ)といえば、ハードルが高いイメージの方も多いのではないでしょうか? しかし、富山のアカムツはねらう水深が浅いためライトタックルで挑戦でき、手軽な釣行が可能です。女性やお子さんなんかも高級魚アカムツを釣って、食卓を豪華にしちゃいましょう!

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アカムツ釣りの仕掛

日程を決めて乗船の予約を

アカムツ釣りは遊漁船に乗って釣りをします。土日・祝日はお客さんが多いため、競争率は高めですが、平日は比較的空いているので、平日に釣行可能な方は平日をオススメします。
まずは釣りに行く日程を決めましょう。

日程を決めたら船宿さんに連絡し、ねらいたい釣りモノは「アカムツ」で、希望の日付や時間なども電話で伝え、予約を入れましょう。

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今回、私がお世話になった船「富山 幸導丸」

釣行のための準備

【タックルの準備】
竿やリールなどの準備をしましょう。竿は柔らかめの竿やタイラバロッドでも可能です。
リールは小型の電動や両軸リールでも可。PEは1号~太くても2号です。ライン(道糸)はPEが傷ついていたりしたら交換しておきましょう。上げ下ろしのときに傷ついた箇所から切れて、仕掛一式が海の底なんてこともあります。

タックルに関して分からないことがあれば、予約の際いろいろと船長に聞いちゃいましょう。

【仕掛】
胴突仕掛の3本バリ2本バリを使用します。私は2本バリの方が手返しもよいことから、2本バリを使用しています。ハリスは4号、幹糸は6号といったところです。
オモリは100号なので軽く、腕や自分にかかる負担が少ないため1日中持っていてもとても操作がしやすく、アタリも明確に出ます。200号のオモリを使うアカムツ釣りとはまた違った新鮮さが味わえます。

2本バリを使用することで、エサ付けやほかの人と糸絡みをしたときに楽です。慣れていない方は3本バリだと少しやりにくい(操作)かもしれません。慣れないうちは2本バリをオススメします。

【エサ】
富山湾は基本ホタルイカのみで釣れます。サバの短冊やサケのハラモ、イソメなど、地域によりエサもさまざまですが、ホタルイカで十分です。もちろん、いろいろ試したい方は挑戦してみるのも楽しいかもしれません。

なぜホタルイカで十分かというと、富山湾はホタルイカで有名だから。アカムツももちろん美味しいホタルイカを捕食しているわけです。
今までの経験上ですが、ホタルイカとほかのエサの食いの違いは「9:1」といった感じです。ほかのエサも食いますが、明らかにホタルイカの方が食いがいいみたいです。

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富山湾のアカムツねらいで主となるエサはホタルイカ

【クーラーボックス】
釣った魚を美味しく持ち帰るための必需品です。氷を前もって入れておき、船に乗ったときに海水を入れ冷やしておきます(潮氷を作る)。こうすることで、釣ってすぐに魚を入れ冷やすことができます。
私は釣ったら血抜きや神経締めをしてすぐに入れますが、慣れていない方はそのまま入れても大丈夫です(氷締めになります)。釣り終わりにクーラーの水を減らして氷を追加するといいですよ(夏場はとくに)。

【日除けや雨具や着替え】
最近は大気の状態が不安定なときがあります。そんな急な雨や暑くて汗をかいたりした際のために、着替えやレインウェアがあると便利です。また、夏場は熱中症対策として、日除けグッズなどもあればいいと思います。

【シューズ】
履くものに関しては、夏場は滑らないサンダル(クロックスなど)や夏用のフィッシングシューズなどがオススメです。とくに船に決まりはないと思いますが、船を傷つけるスパイクシューズや不安定なヒールはダメですよ。

【食べ物や飲料水など】
とくに大事なのが飲料水です。こまめな水分補給を欠かさず、熱中症への備えをしておきましょう。海に出ると上からの日差しや海面からの照り返しがすごいため、甘く見ていると大惨事になる可能性もあります。熱中症対策は怠りなく!

【貴重品】
大事な財布や車のカギなどは落とさないように、そして急な雨に備えてジッパー付き保存袋や防水袋に入れておくと便利です。海水で財布や車のキーなどに付いている金属部分がさびる可能性があります。なるべく海水や雨に濡れないように袋に入れておくことをオススメします。

アカムツの釣り方

底(タナ)を把握しよう

アカムツ釣りで大事なのは、まず底をつかむことです。仕掛が今どこにあるのかを把握する目安にもなるため、オモリが着底した感触をつかむことが大切です。

そして、アカムツは青物みたいに回遊しない魚といわれており、あまり仕掛を上げすぎないことも大事です。私の経験上、濁り潮の場合は少し上の3~5m、澄み潮の場合は底~2・3mでヒットが多いため、その日の潮色や潮の流れ、天気などでいろいろ試しています。

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今回、撮影に協力してくれた常連のお客さんです。ナイスサイズのアカムツをGETして、最高の笑顔で喜んでいらっしゃいました

基本はゆっくりめのアクションで

アカムツは警戒心が強い魚なので、あまり激しいアクションや釣り方はかえって×。ゆっくりとした誘い上げや誘い下げをし、止めたときにアタルことがほとんどです。
ときには上げる途中やオモリを落とした際のリアクションバイトもあります。また、まれにシェイク(竿を上下にシャクル)のあとのポーズ(止め)で食ってきたりもしますが、このような釣り方を何度か試してアタリが出なければ、ゆっくりとしたアクションに戻すことをオススメします。

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そのほかよくある釣れ方で、初めの第1投で釣れることもあります。
オモリが底に着きタナまで上げる際にアタリが出たり、移動後の第1投でもアタリが出ることがよくあります。とくに移動して新しいポイントに着き仕掛を落としたのち、海底に着く5m手前でスプールを押さえ(糸の出を押さえ)、ゆっくりと底にフワフワと落とすアクションも効果的です。

ハリ&ハリスはこまめにチェック

アカムツは本来、何尾も釣れる魚ではないのですが、富山湾は数が上がるので有名で、ときには10尾オーバーなんて釣果もあります。そのためハリは重要です。
アカムツは歯が意外としっかりとしているため、よくあるのがハリの塗装が剥がれたり、(たまにですが)ハリ先が丸くなることもあります。ハリ先が丸くなったハリでは魚を逃す確率が高いので、チェックしておかなければなりません。初心者さんはハリを多めに用意しておくことをオススメします。

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また、富山湾はアカムツをねらっているとごくたまに、タチウオフグ、サワラなどに遊ばれる場合があります。そのため、ハリだけでなくハリスもこまめにチェックし、万全な体制でアカムツとの勝負ができるようにしておきましょう。少しでもハリやハリスに不安があるようなら、仕掛を即変えることをオススメします。
前述したようにアカムツの歯はしっかりしているので、ハリスを傷つけている可能性があります。先日、1kg~2kgを釣りましたが、連日の釣りでハリスが傷ついていたので交換し、次のアカムツに備えました。

アカムツはいろいろな料理を楽しめるスーパーフィッシュ

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1.2kgを手中に収めたメンバーのZさん。巻いてくるときの引き応えに「サバ2尾、掛かってしまった!?」と思っていたみたいです

絶品!アカムツとアラのカルパッチョ風

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アラの歯ごたえのある身とアカムツのむっちりとした身が「カルパッチョ」には合っていて、とても美味しいです。
オリーブオイルめんつゆをベースとしたタレ。ガーリックの風味とペッパーのパンチのきいた味は何とも言えない味わい。最高の逸品です!

王道の炙り

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アカムツといえば「炙り」です。炙った際に皮から出る黄金の脂が食欲をそそります。キンキンに冷やした氷水にアカムツの身をサッとくぐらせ、キッチンペーパーで水気をとると、キッチンペーパーに黄金の脂が付いてしまうほど…。最初はアカムツの旨味を感じてほしいので、塩で食べてほしいですね。私は塩でいただいたあと、ワサビ塩、醬油ワサビ、ゴマ油と塩などでいただくことが多いです。
身自体はモチモチした感じで、炙った皮が香ばしい逸品。喉を通る際、スッと溶けてなくなる感じです。

男料理アラ汁

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身は少ないですが、美味しい部分がいっぱい詰まった「アラ汁」。茗荷(みょうが)と大葉の香りが食欲をより増してくれます。味噌、大葉、ミョウガとアカムツの爽やかな香りが蒸気と一緒に鼻に抜け、一口飲めば魚と昆布の旨味が詰まった汁が喉を喜ばせる1杯。何杯でもお代わりできそうな気分にさせるアカムツのアラ汁は美味です!

ご飯の友、塩焼き

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「塩焼き」は皮の表面に岩塩を適度に付け、オーブンで10分~15分焼き上げるだけ。皮がカリカリに、少し焦げ目がつき始めたころに大葉ミョウガを添えれば完成です。皮からは黄金の脂が…。皮が焼けた香ばしい香りと大葉のニオイが、食欲をそそります。
口の中に入れれば大葉の香りがまず鼻を抜け、次にサクっとした皮の歯応えと香ばしさが、そして、アカムツのクセのない脂と柔らかく岩塩の効いたホクホクの身が口いっぱいに広がります。口が白米を求めずにはいられません(笑)。単純ですが、実に美味しいスタンダードな料理です。

私のやり方ですが、焼く前にオーブンや魚焼き器を少し温めてから(5~10分置いてから)具材を入れ、焼くようにしています。中まで均等に早く火が通るので、「外側はサクッ、身はホクホク」に仕上げることができます。ぜひみなさんも一度試してみてくださいね。

ここで「ワンポイントアドバイス」を。
アカムツを焼いた際に出る脂は調味料としての役割にも使えます(あくまでも個人の感想)。たとえば、アカムツを食べたしょうゆ皿に、さっぱりしている白身のお刺身などを浸し食べると…。これまた不思議と旨味が増すのです。

私はアカムツの時期になると、そーめん、うどん、そばなどのめんつゆの中に、炙って出てきた脂をドボンッ。ミョウガや大葉、アサツキと一緒にいただいています。アカムツの脂がいい感じに風味とコクを出し、大葉のよい香りが鼻から抜ける旨さです。

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いかがだったでしょうか? 美味しいアカムツを釣りたくなりませんか? 最後に、アカムツが豊富に釣れる富山湾の環境について、お伝えしておきましょう。

なぜ、こんなにアカムツに恵まれているのかというと、それは全国で初めて県水産研究所がアカムツ(ノドグロ)の人工ふ化に成功し、富山湾に稚魚を放流しているからです。これは本当にすごいことなのです。アカムツは体が弱いため、環境などはとくに気を使わなければいけないのですが、相当な努力を重ねての結果だと思われます。1万尾以上を放流しているとのことで、今後が楽しみです。
とはいえ、アカムツは4年でやっと約20cm超えの個体になる成長スピードです。放流しているからといって、むやみな乱獲は避けなければいけませんね。 水産関係の方々、漁業関係の方々の努力のたまもので豊富に育つアカムツ。本当に感謝しかありません。


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レポーターREPORTER

荒木 清
プロフィール:荒木 清
小学校1年生のころから釣りを始め、フナ釣りやワカサギ釣り、渓流、堤防、ボート(船釣り)まで幅広く楽しんでいます。最近は、とくにアカムツ(ノドグロ)やブリジギングにハマっています。
ANGLERS:https://anglers.jp/users/431755