「釣果アップの勘所」第6回は防波堤や護岸から冬場にウキフカセでねらうチヌ釣りのツボ。夏場などの水温が高い時期とは違い、チヌの動きは緩慢で落ちてくるエサを求めて浅いタナまで食い上がってくることはほとんどない。ということで、ねらうのは底ベッタリということになるのだが、悩ましいのは底までの正確な深さをどのように知るかということ。今回は軽いフカセ仕掛でウキ下を底ピッタリに合わせる方法を中心に寒チヌのタナ合わせのコツを紹介しよう。
低水温期チヌの動きは緩慢
海底に依存し行動している
グレ(メジナ)釣りに代表されるように、エサを撒いて魚を浮かせ集めて浅いタナ(ウキ下)でねらうのがフカセ釣り(近年はウキフカセ釣りと呼ばれることも多い)の基本スタイルではあるのだが、冬場、とくに厳寒期にチヌ(クロダイ)を防波堤や護岸からねらう場合は大きく事情が異なる。
同じチヌでも水温が高い時期はフカセ釣りのタナも浅くてよいし、護岸際の落とし込み釣りでは海面からエサを落とし込んで浅ダナまで食い上がってくるチヌを捕らえる。しかし、水温が低い時期のチヌはほぼ海底づたいに行動していると考えられ、タナは思いのほか深い。
そこでフカセ釣りで寒チヌをねらう場合は、ウキ下を底までの水深にピタリと合わせる必要がある。海には干満があり水深は時間経過とともに変化するし海底には凹凸がある。初めての釣り場なら、ほぼ水深は未知数。やみくもにウキ止めの位置を調整しても時間がかかるばかりだし、潮の流れもあるので正確なウキ下を設定することは難しい。
ゴム管付きの中通しオモリを活用
底までの水深がかんたんに測れる
そこで利用するのが「底取りゴム」と呼ばれるアイテム。こちらはヘラブナ釣り用として市販されていることが多いが、上下にゴム管が付いた中通しオモリでも充分代用が利く。
ゴム管部分にフカセ仕掛のハリを掛けポイントに投入。ウキ止めの位置が浅すぎる(ハリからウキまでが短すぎる)とウキが深く沈んでしまうし、逆にウキ止めの位置が深すぎる(ハリからウキ止めまでが長すぎる)と、いつまでたってもウキはポカンと浮いたまま。たとえば非自立式の棒ウキだとウキが海面にペタンと寝たままの状態になる。いずれにいてもウキの浮力を上回る重さのオモリを使わないと意味がない。
このように海底までの深さが分かれば底取り用のオモリを外し、ハリにエサを刺してそのウキ下で釣りを開始すればよい。しかし、先にもふれたように海には干満があるので時間経過で水深は変化するから、ウキ下があっていないと思ったら底取りオモリに再登場願い、正確なウキ下を測り直すこと。
流れや水深変化に強い寒期の秘策
「ハワセ釣り」を覚えよう
相手は自然なので、寒期といえど底から浮かせたエサを食ってくるチヌもゼロではない。しかし逆に、ウキ下の長さを底までの水深よりも長くし、ハリス部分の何割かを底に這わせたほうがよく釣れる場合がある(ハリスを底に這わせないと釣れないということもあるらしい)。これは「ハワセ釣り」と呼ばれ、低水温期のチヌ釣りに多用される手法になっている。
とくに流れがある場合など「ハワセ釣り」は水深の変化や流れによる仕掛の浮き上がりに対し有効だ。タナ取りをした位置よりも仕掛が流れていく先が深くなっている場合や、速い流れで仕掛が斜めになることが想定される場合、水深以上の深い(長い)ウキ下にしておくことで、ハリに刺したエサが海底から浮き上がってしまうのを防いでくれる。
また非自立式の長い棒ウキでハワセ釣りをした場合、常時ウキは寝た状態(これを寝ウキという)だが、チヌがハリに刺したエサを口にした際に、ウキが頭を持ち上げたり震えたり……。このように寝ウキを使うと微妙なアタリを察知しやすい場合があるので、とくにアタリが小さい激渋の寒チヌ釣りには有効だ。
※次回は早春のディープタイラバ。ヘッド重量とリトリーブ角度、ヒットレンジの関係について解説する予定です