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第17回 真冬の船釣り、万全の寒さ対策で楽しもう!

01_冬の海

冬の寒さが訪れると、「うわー、寒―い、寒いのは苦手。釣りは春まで一休み」という方もいるかと思います。そういった方でも、寒い季節、お魚の鍋料理は大好きですよね?
私の場合、冬場の厳寒期でも釣りに行く一番の目的は、鍋料理の材料として新鮮で脂がのった高級魚をゲットするためと言っても過言ではありません。寒い中がんばって釣ってきた魚が入った温かいお鍋を、家族全員で囲めるのは釣り人の特権! 最高の贅沢です。温かいお鍋をつっついていると思わず笑みがこぼれ、家族の会話も弾みます。なにより、美味しい魚を釣ってくると家族の評価も上がり、「また、釣ってきてね」という流れになるのです。

そこで今回はそういった楽しみをみなさんに味わっていただくために、また、暖かい格好で寒い思いをすることなく安心して釣行していただけるように、釣行前に知っておいてほしい事項を紹介したいと思います。
知らないよりは知っている方がきっと安心。損はしない情報ですので、ぜひ少しの間お付き合いください。

船上の寒さ対策は2つ!

02_ 寒さを想起させるイメージ

今回は、冬場の船釣りを快適に過ごすためのポイントを以下の2つのキーワードに着目して紹介していきましょう。1月、2月はとくに寒くなりますが、そういった季節でも寒さを恐れることなく安心して釣行いただけると思います。

  • ●釣行前の準備
  • ●防寒アイテム

釣行前にできる準備

(1)釣行日などの選定

船宿の釣果欄や週間天気予報をまめにチェックして、可能な限り釣れそうな魚種を選択し、風も波もなるべく穏やかな日を選んで釣行しましょう。
また、風が多少あったとしても、風向きによって影響を受けにくいエリアを選ぶことも大切です。

(2)釣り座の選定

夏場はなるべく日が当たらない釣り座を選んでいた方も多いかと思いますが、冬場はその逆で、日が当たる釣り座を選ぶことをおすすめします。両者で体感温度の差は相当あると思いますよ。

03_日当たりのよい釣り座

(3)意外に役立つ「使い捨て手袋」

風や寒さは基本的には防寒ウェアで対策しますが、次のような物を事前に準備しておくと船上でさらに快適に過ごすことができます。

04_薄手の使い捨て手袋

フィッシンググローブは必須ですので後述の「防寒アイテム」の段で解説しますが、フィッシンググローブの下に薄手の使い捨て手袋を着用するのがおすすめです。
コマセを詰めたりオキアミの尻尾を切ったり、釣れた魚をつかんだりしたあとは、濡れた雑巾で手を拭くか海水で手を洗ったりすると思いますが、手や指を濡らすと瞬時に手先がかじかんでしまいます。そうなると、仕掛やハリを結んだりハリにエサをつけたりする作業に支障をきたしてしまい、手返しも遅くなってしまいます。そこで便利なのが薄手の使い捨て手袋というわけです。手を濡らさないことは、寒さ対策の重要ポイントなのです。

(4)お湯の活用「水筒」も忘れずに

船によっては湯沸かしポットを備えているケースがあります。お湯があれば、カップスープやカップ麺などを持参するだけで寒い船上でも温かい食事をとることができ、身体も芯から温まります。

※温かいコーヒーや緑茶でも、飲めば当然温まりますが、カフェイン含有量が多いので、トイレに行きたくなる可能性が高くなります。ご注意ください

もし、船に湯沸かしポットの備え付けがない場合は、保温性の高い水筒を持参しましょう。出船直前に船宿にある湯沸かしポットのお湯を入れ、船上に持って行くのがおすすめです。
船上で身体を芯から温めることができれば、たとえ寒さでヤル気を失いかけたとしても集中力を回復させることができます。きっと楽しく釣りを再開することができますよ。

05_水筒

防寒アイテムに気を配ろう!

06_光電子防寒ジャケット(YW0008)

防寒ウェアやアイテムでしっかり身を覆わないと、あまりの寒さでまったく釣りに集中できなくなってしまいます。ちょっとしたお出掛けや近所の散歩のとき以上に、防寒アイテムに気を配り万全な着こなしで乗船しましょう。では、順番に見ていきます。

※とくに厳寒期のポイント移動は、寒風のせいで体感温度が異常に下がり身体が冷えます。また、冷たい波しぶきをあびるとさらに冷えるので、ポイント移動時には防水タイプの防寒ウェアやレインウェアのフードを被るなど、身体を冷やさない気遣いが重要です

(1)帽子

帽子は夏場と異なり、ファッション性よりも防寒性重視で選びましょう。
おすすめはニット帽(ワッチキャップ)、目出し帽、耳当て付ワークキャップです。いずれも耳をカバーできることが重要なポイント。船上での寒さや冷たい風のせいで、耳や頭まで痛くなってしまうのを防いでくれます。一度効果を実感してもらえれば、その重要性がより伝わるかと思いますので、ぜひ試してみてください。

07_ ニット帽
08_ 鳥打帽

(2)ネックウォーマー

防寒ウェアの首回りが裏起毛になっている場合や、タートルネックのシャツやセーターを着用している場合は必須ではありませんが、ネックウォーマーは首元からの冷たい外気の侵入を防いでくれますので、ぜひ活用しましょう。

09_ ネックウォーマー

(3)グローブ

指先がカット(3本指カット)されたクロロプレン製のフィッシンググローブがおすすめです。
夏場に使用しているフィッシンググローブがファッション性重視であったり、滑り止め機能のみの薄手のものの場合、防風防寒の役に立ちません。夏用よりは厚めで操作性がある程度担保された、保温性の高いものを購入しましょう。

前述した薄手の使い捨て手袋と併用すれば、組合せとしては最高です。また、アウターのポケットに使い捨てカイロをしのばせておき、アタリを待つ間やポイント移動時に指先を温めるようにしておけば、さらによいでしょう。

10_ グローブ3本カット

(4)アンダーウェア

11_ハイ(タートル)ネック

冬場はアンダーウェアにも気をつかいましょう。保温性が高く吸汗速乾性能に優れた素材がおすすめです。長袖シャツと長タイツを着用しましょう。
長袖シャツはタートルネック(または襟元が高いもの)で少し袖の短いもの(※)がおすすめです。また、長袖シャツの上に薄手で少し丈が長めのダウンベストを着ていると背中から腰にかけても温かく、腰から外気が入りにくいのでおすすめです。

※袖が長いと海水の入ったバケツの中に手をいれた際に袖口が濡れる可能性が大です

(5)アウター(レインスーツ・防寒ウェア)

しっかりと下に着こんでいれば、基本、レインスーツでOKです。ただし、完全防水タイプのレインスーツでも撥水効果は落ちてくるので、たまには防水スプレーなどを使用して撥水性を保つように日ごろからメンテナンスしておきましょう。

12_撥水イメージ

レインスーツでなく防寒ウェアを着用する場合は、必ず防水性の高い防寒ウェアを選んでください。防水性のない防寒ウェアだと、濡れてしまうと身体の冷えにつながります。いくら天気がよくてもポイント移動時に波しぶきをかぶる可能性も高いので、うっかり防水性のないウェアで乗船してしまった場合は、ポイント移動時に必ずキャビンに入るようにしましょう。
また、いくらキャビンに退避してもポイント到着時には釣り座がびしょ濡れになっている可能性が大です。必ず乾いたタオルで釣り座を拭いてから、釣りを再開するように注意してください。お尻が濡れるとお腹まで冷えて最悪です…。

(6)足元

「厚手の靴下+靴下貼付けタイプの使い捨てカイロ+マリンブーツ」の組み合わせが安心です。カイロがない場合は、薄手の靴下の上に厚手の靴下というような重ね履きも効果があります。
とくに冬場は、1日の中で一番気温が低い朝方の出船直前や出船時に、船の床が凍っていることもあります。足は冷たい外気だけでなく、靴底からの冷えの危険にさらされているのです。対策が不十分で足先を冷やしてしまうと、ポイント到着前に寒さで戦意喪失……釣果にも影響が出かねません。

また、船上では足下のホースから海水が流れることもあるので、日中でも靴底からの寒さの影響は継続します。足先の冷えは関節や筋肉の動きも硬くし、足がつりやすい…なんてことにも。そういった意味でも足元の寒さ対策をおろそかにしてはいけません。

13_足元の防寒対策  
14_使い捨てカイロ1
15_使い捨てカイロ2

(冬場でもぽかぽか陽気の日はありますが)冬場の船上の寒さは半端ではありません。暖かい格好をしていて損はないのです。もし途中で暑くなれば1枚脱げばいいだけです。
私が何十年も船釣りを続けているなかで、レインスーツを着てこなかったり、薄着のために寒さで顔が白くなったり、唇が紫色になったりして結局釣りを続けられず、下船するまでキャビンにこもって「THE END」となってしまった方を何度も見てきました…。絶対に薄着での乗船だけはやめてくださいね。一方で、寒さ対策万全で終日釣りを楽しみ、高級魚をゲットして最高の笑顔をみせてくれる初心者の方も多くいます。

ぜひ、当記事を参考に、寒さを気にすることなく船釣りを楽しんでみてください。

レポーターREPORTER

三宅 雄彦
プロフィール:三宅 雄彦
船釣り歴30年。ウイリー仕掛や短いビシ仕掛でのコマセシャクリを得意としたベテランアングラー。初心者向け釣り教室での講師経験も豊富で、わが子2人を5歳で船釣りデビューさせたほどの教え上手。全日本釣り団体協議会公認フィッシング・マスター。