知っていれば快適!フィールド豆知識 No.25 沖堤へ!沖磯へ!
安全かつ快適に渡船を利用する手解き

長年釣りをしていると当たり前のことでも、釣りを始めて間もない人にとっては「目から鱗!」「そうだったのか!」という、ちょっとしたノウハウをお届けするのがこのコーナー。釣果に直接かかわることではないけれど、アナタの釣りが快適になるかもしれない!? ほんのちょっとの工夫とアイデア。
今回は沖堤や沖磯に案内してくれる渡船の安全かつ快適な正しい利用法。マナーとルールを守れば決してリスキーな釣りではない。

事前の出船確認を怠らず
早めに現場に到着する余裕が必要

いわゆる渡し船を釣りの世界では渡船(とせん)という。渡船が釣り人を案内するのは沖堤防(略して沖堤。関西では一文字、沖波止ともいう)やイカダカセ(養殖イカダなどに固定された小舟)、海上釣堀なども渡船を利用する場合は多いが、今回は沖堤と磯に限って話をすすめたい。

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沖堤へ案内する渡船。防波堤が潮通しのよい沖にあるので魚は大きく種類も多い
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磯釣りの渡船。大物が待っているパラダイス!

沖堤にしろ磯にしろ、渡船を利用する際のほとんどは事前の予約や出船確認が必要だ。渡船を利用しようと連絡なしに釣行しても、定員や天候の都合で乗船、出船できないことがある。

申し込みシステムは渡船店によりさまざまだが、前日までに電話予約、予約不要の場合も出船確認が必要だ。このときに出船時間、最終の回収時間も要確認しておくこと。

また、釣行前日(午後からなら当日の午前中)には予定日の出港可否を最終確認すること。確認を忘れて出かけ、いざ現場に着いてみると「本日出船取りやめ」ということも少なくない。直接電話するのが手っ取り早いが、業者によってはHPで当日の出船可否が掲載されている場合もある。また予約したものの釣り人側の都合で釣行できなくなった場合も、必ず連絡を入れるのがマナーだ。

乗船名簿に必ず記入
ライジャケ必着!滑りにくい履き物を

渡船店のゴーサインが出たら、現地入りは時間に余裕を持って。出船時間ギリギリはダメ! 他のお客さんに迷惑をかけてしまう。

渡船店に到着したら乗船名簿の記入。渡船料前払いの場合もある。ゆっくり準備して忘れ物のないように。出船時間前には渡船乗り場で待機しよう。

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渡船乗り場には早めに到着し余裕をもって準備、船の前で待機しよう

渡船を利用する際は磯だけでなく沖堤でもライフジャケット必着。持ち合わせがない場合、自宅に忘れた場合は渡船店でレンタルすることも可能だ。

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渡船内も釣り場でもライフジャケット必着! 無料レンタルできる渡船店も多い

いざ渡船に乗り込んだら通路など邪魔にならないよう荷物を整理整頓。自分のもの、グループ釣行なら全員のものをひとまとめにしておこう。また同船者で似たようなバッグやクーラーも多いので、必ず名前を書くか、目立つよう目印を付けておくとよい。

渡船航行中は波や風の向きで飛沫を被ることもある。濡れて困るものは少量なら船室へ持ち込もう。離島行きなどの長距離渡船の場合はロッドケースやタックルバッグなどは甲板下などにある格納スペースへ。

荷物は必要最低限に!
上陸時の荷物受け渡しに協力しよう

さあ釣り場に到着。沖堤などで多人数が同時に上陸する場合は、すべての荷物を持って素早く上陸するのが理想ではある。そのため荷物は必要最低限にしておくことも必要だ。

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荷物は必要最低限。素早く迅速に上陸するのが理想だが安全第一、無理は禁物

比較的荷物が多い磯釣りや沖堤でも、釣りモノによって荷物が多く重い物がある場合は、無理をせず何度かに分けて運ぶほうがよい。この場合は船上に残っている人がヘルプするのがマナーだ。

磯釣りでは目指す磯の手前で自分の荷物を舳先(へさき)部分のホースヘッドにまとめておき、まずは身一つで上陸。荷物は同行の仲間や他の乗船客に協力を仰ぎ、手渡してもらうのが安全。

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荷物が多い磯釣りでは乗船者で一致協力! 荷物は手渡しリレーで

また、とくに磯上がり時は重いリュックなどを担いでいたため誤って足を滑らせ落水ということもあるので、磯釣りでは自分の上陸後に荷物を手渡してもらうほうが絶対安全だ。

磯がわりや釣り終了で磯から渡船に乗り込む場合も、一度に荷物を運ぼうとせず、1個1個手渡しで積み込むのが安全。複数で釣りをした場合は誰かが身ひとつで先に船に乗り込みすべての荷物を手渡しリレーしてから最後に残った人が身ひとつで船に乗り込む。

単独行の場合は先に乗船しているほかの釣り客に協力仰ごう。自分よりあとに別の磯で船に乗り込む人がいる場合は率先して舳先で荷物の受け渡しに協力しよう。それが磯釣りでのマナーだ。

比較的安全な押し付けでも
決して跨(また)いで渡らないこと

沖堤や磯に渡船が押し付け(船の動力を効かせて舳先を防波堤や磯にピタリと接岸)する場合でもそうだが、磯釣りの渡船では舳先を押し付けせず、磯際ぎりぎりで船を流しながらの状態で上陸しなければいけないこともある。そんなときは磯に飛び移るのが基本だ。決して跨(また)いではいけない。

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磯だけでなく沖堤へ上陸するときも決して跨(また)いでわたらないこと。タイミングよく飛び移ろう

波が穏やかならそれほど恐怖感はないが、ウネリが大きく舳先が大きく上下する場合もある。飛び移るタイミングとしては舳先が持ち上がる途中、頂点に達する直前に飛ぶこと。舳先が持ち上がる力を利用し高く遠くへ飛ぶことができる。

逆に舳先が下がるタイミングで飛ぶと自分のジャンプ力が打ち消され上陸地点に足が届かず、波打ち際に落下したり、海にドボン! ということもあるので危険

上陸開始は船長の合図があってから!
フライングは事故のもと

また好ポイントを確保しようと急いで飛び移るのは最も危険。上陸するのは沖堤でも磯でも船長の「どうぞ」という合図があってから。決して焦ってはいけない。

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上陸を焦ってはいけない。必ず船長のゴーサインが出てから!

これは釣り場から迎えの船に乗るときも同じ。舳先が持ち上がり始めたタイミングで磯から飛び移ること。舳先の上下動が頂点に達していたり、下がりだしているときに飛ぶと船が思いのほか後退し舳先に足が届かず落水ということもある。

沖堤でも磯でも、押し付けで安全だからと油断してはいけない。渡船からの上陸時も、帰路渡船に乗り込むときも、決して跨(また)がず、少しでもいいから飛び移る方がよい。

帰港して荷物を完全に下ろすまで
決して気を抜かないこと!

沖堤や磯から無事に乗船。帰港し下船する際も荷物を下ろし終えるまでは気を抜かないこと。渡船は次の釣り人回収に向かって離岸することもあるので安全第一で行動してほしい。

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無事帰港。すべての荷物を下ろすまで気を抜いてはいけない

ここまで書くと何やら渡船利用はオソロシイ!? というイメージを持たれる方もいると思うが、安全第一でルールとマナーを守って行動しさえすれば決してリスキーな釣りではない。

渡船が出船を見合わせるシケの日に徒歩で向かった地磯で波にさらわれたり、渡船代節約? のため危険な山道、崖を伝って磯へ出ようとし足を滑らせたり……と、無理をした方がかえってリスキーだ。

 

最後にくれぐれもライフジャケット必着、磯では磯用シューズなどが渡船利用の絶対条件。釣り場に上陸してもライフジャケットは決して脱がないでほしい。とにかく安全第一で存分に沖堤や沖磯での釣りを楽しもう!