INDEX 【後編】
一眼レフカメラ顔負け!? いまのスマホって本当に優秀! 誰もが高画質の釣果写真を手軽に撮れる時代だからこそ覚えておいて損はない綺麗に釣果記録を残す方法。
教えるのは「決して写真家じゃありません!」という釣り場取材歴40年のベテラン記者(現HEATスタッフF)。前編では被写体である魚の状態やバックなど撮影環境についてお届けしたが、後編では、ごくかんたんな撮影技術の基本と魚のイメージアップについてノウハウを公開しよう。
魚を撮影する場合の基本の「キ」
写真撮影で基本になるのは被写体にしっかりピント(焦点)を合わせ、適正な露出で、そして手ブレしないことだろう。ピントが合っていないと、いわゆるピンボケになり、露出が合っていないと全体に暗かったり(露出アンダー)、真っ白け(露出オーバー)だったり、シャッターを切る際にカメラが動くと画像がブレ(いわゆる手ブレ=とくに暗い時間帯でシャッター速度が遅いと発生しやすい)てしまう。
現在のデジカメやスマホなら、すぐに画像がチェックできるので、以上のことに気を付けて納得いく写真を撮影してほしい。まずはピントをしっかり合わせること。露出はフルオートでかまわないが、光量が足りず画像が暗い場合はストロボ(フラッシュ)も活用。シャッターを切る際に手ブレを起こさないようカメラやスマホをしっかり保持することが大切だ。
心得その1【ピントは魚の目玉に合わせよう】
まずはピント合わせ。魚の写真を撮る際、基本的には魚の目玉にピントを合わせること。人物写真でも顔にピントが合っていないものはダメなのと同じで、口に掛かったルアーなどに重きを置く場合を除いて魚も顔(とくに目玉)がイノチだ。
魚の目にもルアーにも、しっかりピントを合わせるのなら目玉とルアーをレンズからほぼ同じ距離にすればよいが、写真としては平面的で面白みに欠ける…。
手前にルアー、奥に魚の目玉と奥行きを付ける場合は手前のルアーにピントを合わせる。マニュアルで絞り値を設定できる場合は、可能な限り絞り込んで撮影する。
絞りは「カメラ内に届く光量を調整する仕組み」で、絞るほどに光量が少なくなると同時にピントを合わせた面から後方にまでピントが合うようになる。このピントの合う範囲を被写界深度という。ただし絞るほどに光量が少なくなるのでシャッタースピードを遅くしないと適正露出にならない。したがって絞り込んだときは手ブレには要注意だ。
心得その2【太陽の方向に魚の頭を向ける】
日中、釣り上げた魚を地面や床に置き撮影する場合は太陽の方向を意識すること。魚の顔を太陽に向けるのが基本だ。魚の種類や太陽の角度にもよるが魚の尾ビレ側を太陽に向けると魚の顔が影になってしまう。目玉にピントを合わせるのと同様、魚の顔をしっかり見せることが大切だ。
心得その3【影に注意しよう】
瀬戸内海などに多い屋根付きの遊漁船の場合は屋根の影が魚の撮影を難しくする。できれば屋根がなく日陰の影響を受けない舳先(へさき:船首・ミヨシのこと)などに移動するのがベストだが、乗合船などで移動もままならない場合はやっかいだ。船が回転したり動いたときに日向になるのを待つ。ニコパチの場合、釣り手が暗くても主役の魚に日光が当たればヨシとしよう。
心得その4【日中でもストロボ(フラッシュ)を活用しよう】
前項で書いたように遊漁船の屋根の下で日光が期待できない場合はストロボ(フラッシュ)を活用するのも方法。このように日陰対策として、また逆光(被写体の背後から光が差す状態)対策として日中でもストロボを積極的に活用しよう。
防波堤などで撮影方向を自由に変えられる場合は、もちろん順光(被写体である魚の正面に光が当たる状態)になるように撮影するのがベストだが、足場が悪かったり遊漁船などで場所を移動できない場合は無理せずストロボ撮影。逆光でも魚、人物にストロボ光を当てることで被写体が真っ黒な写真にならずにすむ。
心得その5【グッと進んで1歩前!】
いわゆるニコパチ、釣り手に魚を持ってもらい撮影する場合、よく見かけるのが釣り手と魚の周囲に余分なスペースが広くできてしまう残念な写真。魚や人物がフレームアウトするのを危惧して? なのかもしれないが、それではせっかっくのメモリアルフィッシュが迫力不足! 魚を持たせた釣り手を立たせたら撮影者が1歩、2歩、3歩と可能な限り接近してフレーム一杯に被写体を納めよう。
とくにワカサギや小アジなど小魚の場合は、できるだけ寄って撮らないと、魚が小さいだけに存在感のない写真になってしまう。魚を顔の前にグッと突き出してもらって撮るのも効果的。前述の被写界深度の関係で光量、絞り値によっては人物がボケることも多いが、あくまで主役は魚と割り切ろう。
心得その6【撮影者の衣服の色にも注意】
タチウオなどボディーが反射する魚を撮影する際は注意が必要。撮影者の服装のカラーが見事? に魚体に写り込んでしまうのだ。これは日中でもストロボ撮影がほとんどの夜間でも同じで気を付ける必要がある。とくに赤など派手なカラーの服は要注意。タチウオ釣りで撮影を予定している場合は黒っぽい服、もしくは白っぽい服など地味なモノトーンの服装がおすすめだ。
心得その7【夜間は光をアレンジしよう】
夜釣りでケミカルライトや電気ウキなど発光体と一緒に魚を撮る場合はストロボ角度とライトの併用で画像をアレンジすることができる。
ストロボを強く発光させると魚は綺麗に写るがケミや電気ウキの発光部はストロボの強い光に負けてしまう。かといってストロボなしで撮影すると発光部は浮き出るものの肝心の魚が写らない。そこでヘッドライトなどの光を併用しストロボ光も弱めの設定(外付けストロボなら照射角度を被写体から少しずらす)で撮影すると「魚も発光体も!」という写真にできる。
魚だって生き生きと写りたい……
イメージアップのために!
魚を釣り上げたら元気がよいうちに撮影するのが必要なのは言うまでもない。また魚の体型やサイズによって見せ方を変えることでイメージアップすることができる。
心得その8【魚を生き生きと見せるには】
できるだけヒレ(背ビレ、尾ビレ)を立たせるのがコツ。ヒレをだらんと閉じているよりもピンと立てている方が、より生き生きと見える。
心得その9【魚の位置を考えよう】
釣り手に持ってもらった魚の前後位置やカメラの縦横でイメージが変化する。遠近法の関係で魚を前方に突き出せば当然、大きく見せることができる。また画像サイズの長辺に魚の全長をめいっぱい合わせると、魚を大きく見せることができる。魚を縦持ちするならカメラも縦に。魚を横持ちするならカメラも横にしよう。
心得その10【アングルに変化を付けよう】
魚の体型に合わせアングル(撮影角度)を変えるのも効果的。魚の置き方に工夫すれば面白い写真が撮れる。
心得その11【小さい魚は数で勝負】
キスやサヨリなど小型で細長い魚は手の平などに複数乗せて撮るのも面白い。1尾だけで撮ると存在感は薄いが何尾かまとめて複数で撮ればボリュームアップ。また魚の全身にこだわらず頭部のアップなどのフレーミングも利用しよう。
以上、ざっと思いつくままにまとめたが、これが最良ではないかもしれない。少しでも想い出に残る釣果撮影のお役に立てれば幸いだ。