神戸から2時間で行ける「癒し空間」!
日帰りで楽しむ渓流ルアーフィッシングの魅力

春先にシーズンインする「渓流釣り」。3月には多くの河川で解禁を迎えます。そんな河川のひとつ、兵庫県の南西部を流れる「揖保川水系」。この川の上流に「癒し空間」が広がっていることをご存知ですか? 今回は神戸から車で行ける、しかも日帰りで楽しめる「渓流ルアーフィッシング」を紹介します!
シーズンインに向けて準備を進めている方、今年から渓流ルアーフィッシングを始めてみたいという方、私の過去釣行ですが、解禁に向けてぜひご参考ください!

神戸から2時間!?目指すは揖保川水系「引原川」

01_ 宍粟市の山々
神戸周辺では見られない背の高い山々が連なっています。宍粟市は兵庫県内で2番目に大きな面積で、森林率9割とひじょうに森林資源に恵まれた土地だそうです

朝7時、目的地である揖保川水系「引原川」に向けて車を走らせます。ゆっくりめのスタートです。今回の釣行には先輩の菅原さんに同行していただきました!

中国自動車道を広島方面に1時間半。道中では釣り談議に花を咲かせ、あっという間に兵庫県宍粟市に到着。中国自動車道の山崎ICからは河川に沿って国道29号線を北上します。この河川こそが「揖保川」です。
渓流魚だけではなく夏にはアユが遡上、多くの生き物を育む一級河川です。国道を北上すること30分、揖保川の支流「引原川」が見えてきます。

道中の買い物や休憩を含めてもおよそ2時間で到着しました。背の高い山々が連なる山間を流れる引原川が今回の舞台です!

02_ 遊漁券を購入
道中、「蕾おとり店」で遊漁券を購入します。遊漁券は内水面漁業協同組合が発行する、いわば釣りのチケットです。河川によって料金は異なりますが、揖保川水系は渓流入漁料1日2600円です。レギュレーションを守って安全に楽しみましょう!

「本流は厳しいかも…」さらに支流の支流へ!!

目的地に到着したのは9時ごろ。陽も昇り、清々しい風が川上から吹いてきます。まずは持参したタックルの準備から始めます。
今回使用するロッドは5ft3inの渓流ルアーフィッシング専用ロッドと2000番のスピニングリールです。一方、菅原さんは流行りの「穴釣りロッド」でチャレンジです。超ショートロッドですが、専用ロッドでなくても十分楽しめそうです。

準備万端! 釣りスタート…と思いきや、目の前を流れる引原川を見ると若干の増水。濁りは入っていませんが釣りをするには厳しい状況。安全性も考慮しプラン変更です。急遽、引原川に注ぎ込む「赤西渓谷」で竿出すことにしました。「支流の支流」で釣りスタートです。

03_ 赤西渓谷の風景
赤い橋の向こうを流れるのが引原川。引原川は上流がダムになっており、ときおり水量調整のため、放水をしている様子。赤い橋の下を流れる川が「赤西渓谷」。上流はキャンプ場のため、道路も舗装されており、比較的エントリーしやすい。急遽「支流の支流」へプラン変更…果たして釣れるでしょうか?

「赤西渓谷」は水量も程よく、遡行もしやすそうです。渓流釣りは川の下流から入渓し、釣りをしながら上流に上っていく「釣り上がり」が原則のため、入渓のしやすさやを見極めることができれば、安全に楽しめると思います!
車を停めたエリアから入渓して数10m歩くと、本格的な渓流に入りました。木々がオーバーハングし、その木々の隙間から注ぐ木漏れ日が幻想的な雰囲気を演出してくれていました。あとは釣るだけです!

04_ オーバーハングした木々
ふと顔を上げると木々の間から青空が見え、木漏れ日が降り注いでいます。雰囲気は最高です。オーバーハングした木々のおかげで鳥などの天敵から身を守られるうえ、枝葉から落ちてくる陸生昆虫をエサにできるので、渓流魚の生息場所として最適といえます

コレは癒される!飛び出す渓流の宝石たち

釣り上がりながら、ポイントにルアーを投げ込んでいきます。キャスティングして、着水後ロッドアクションを加えながらのリトリーブを繰り返します。渓流魚は警戒心がひじょうに強いので、釣り人は細心の注意を払う必要があります。身体の重心を低くしたり、岩陰に隠れたりなど、いかに警戒心を与えずルアーに反応させられるか…、魚との真剣勝負が始まりました。

05_ アプローチ
渓流魚の警戒心はひじょうに強く、一度ルアーを見切られるとなかなか反応しません…。ポイントに近づきすぎず、ソ~っとねらいます

菅原さんと交代しながらキャスティングし、ポイントを潰していきます。
少し深みがあり岩に流れがぶつかる、流れの複雑なポイントに到着。菅原さんが投げるとルアーの後を追う黒い影…魚が反応してチェイスしてきました。2投目、再び同じポイントにキャスティングしますが無反応。3投目、立ち位置を変えた菅原さん。キャスティングがバッチリ決まると、間もなく水中で銀色の魚体が輝き、ロッドが曲がりました! 釣れたのは綺麗なヒレピンアマゴ。菅原さんに満面の笑みがこぼれました!!

06_ アマゴ釣果
実は今回が初めての渓流ルアーフィッシングという菅原さん。「コレは癒される!」と大喜びでした。素早く立ち位置を変えて釣り上げたのは綺麗なヒレピンアマゴ、釣れたあとは優しくリリースしました

入渓して間もないポイントで釣れたため、期待感が膨らむ2人。上流に向かってどんどん足を進め、めぼしいポイントを見つけてはキャスティングを繰り返していきます。
ときおり立ち止まり、新鮮な空気を吸ってリラックスします。川のせせらぎ、木々のざわめき…まさに渓流は天然の「癒し空間」。渓流魚との真剣勝負で緊張した時間が続いていましたが、一旦「休戦」です。

07_ 渓流風景
渓流はまさに癒し空間。こういうロケーションのなかで楽しめるのも渓流ルアーフィッシングの魅力の1つです。コーヒーなんかを沸かして、ティ―タイムを楽しむのもいいかもしれませんね!

菅原さんのヒレピンアマゴを目にし休憩したあとは、「今度は自分の番だ!」と意気込む私。目を付けたのは、水深の浅い瀬尻の開けたポイントです。

まずは上流に向かってキャストします。ルアーが流される前に素早くロッドを立て、流れの中でルアーを転がすイメージでロッドアクションをしてみました。瀬尻にはエサが集まりやすく、魚の着き場としては最高のポイントです。50mmのシンキングミノーを思い通りに動かすと……、1投目から答えが出ました!
勢いよく下から突き上げるようにアタックしてきたのはコンディションのよい良型アマゴ。「やっと釣れた!」と、ようやく私も喜びを爆発させることができたのでした。

08_ 綺麗なアマゴ
アマゴはパーマーク(黒色の楕円)と朱色の斑点が特徴的。「渓流の宝石」と呼ばれるゆえんです。自然が生み出すこの不規則な模様は見惚れてしまうほど美しいのです

 

このあとも休み休み釣り上がり、2人で8尾ほど釣ってストップフィッシングです。サイズは20cmほどまででしたが、結果的に赤西渓谷にエントリーして正解でした!

今回のように現地に行ってみないと河川の状況が分からないときもあります。あらかじめ釣行予定エリアの河川情報を把握しておくことは大切ですが、遊漁券を購入した際にスタッフの方や漁業協同組合の方に聞いてみるのもよいと思います。
14時ごろ、片付けを済ませ帰路に。ロケーションのよい河川での魚との真剣勝負…、そして癒しの時間…。日帰り渓流ルアーフィッシング大成功です!!

 

神戸から2時間で楽しめる、日帰り渓流ルアーフィッシングの紹介をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。渓流ルアーフィッシングはタックルもそろえやすく、カンタンに始められる釣りの1つです。また、市街地から数時間でエントリーでき、日帰りで十分に楽しめます!

09_ アマゴ釣果
初めての渓流ルアーフィッシングで早くもコツをつかんだ!? 満足気な菅原さん。「魚も釣れてめちゃくちゃ楽しかった!!」と喜んでいました

兵庫県は、北は日本海、南は瀬戸内海・太平洋に面しており、多くの河川が海に流入しています。
豊かな山々を水源とし綺麗な水の流れる渓流は、中国山地の美しい景観を生み出し、渓流魚を含めた多くの生き物を育んでいます。おかげで今回のような釣りを満喫することができるのです。
みなさんの身の回りにも綺麗な水が流れていませんか? もしかするとその河川にも「癒し空間」が広がっているかもしれませんよ。

 

レポーターREPORTER

鷲見 大地
プロフィール:鷲見 大地
1998年岐阜県生まれ /兵庫県在住
「海なし県」育ちということもあり河川で釣りを覚え、渓流ルアーフィッシングや鮎の友釣りをメインに釣りを楽しむ。釣具メーカー・ハヤブサに勤務し、最近は堤防・磯釣り・船釣り、SWルアーフィッシングなどに触れながら、日々勉強中。