知っていれば快適!フィールド豆知識 No.10食欲の秋がやって来た!
釣り上げた魚を美味しくいただくために
【第3回 ハマチやシオなど青物編】

長年釣りをしていると当たり前のことでも、釣りを始めて間もない人にとっては「目から鱗!」「そうだったのか!」という、ちょっとしたノウハウをお届けするのがこのコーナー。釣果に直接かかわることではないけれど、アナタの釣りが快適になるかもしれない!? ほんのちょっとの工夫とアイデア。
今回も引き続き、釣り上げた魚を美味しくいただくための締め方から持ち帰り方まであの手この手。第3回は秋が釣りごろのハマチやシオなど青物を、お造りで味わうための必要不可欠。秋の恵みを堪能しよう。

血抜きすることで身の臭みを減らし
腐敗を遅らせることができる

地域によって差はあるが、多くの青物が沿岸部に回遊する秋は船だけでなく防波堤などの陸っぱりからも手が届く楽しい季節。たとえば大阪湾岸では8月の終わりごろからブリの若魚であるツバスが回遊し始め、徐々にハマチ、メジロへと大きく育つ。時には90cmを超えるブリサイズも釣れるし、確率は低いがカンパチの若魚であるシオもヒットする豊壌の季節だ。

ハマチにしてもシオにしても若魚とはいっても全長40cmはある魚だから、せっかくの秋の恵みをぜひともお造りで味わいたい。そのためには釣り上げてからの的確な処理と鮮度を落とさず持ち帰ることが大切だ。

防波堤
秋は防波堤から青物がねらえる季節。写真は淡路島の南、沼島でのノマセ釣り。生きた小アジを泳がせてメジロからのアタリを待つ

 
まずは釣り上げたらすぐに、しっかり血抜きすること。小アジやキスなどの小魚は潮氷に放り込むだけで大丈夫だが、ツバス以上の大きさになると、ちゃんと血抜きしないと身に血が回り、せっかくのお造りが生臭くなってしまう。表層を回遊する青物は紫外線を防ぐために背中の色が青いことから「あおもの」と呼ばれるわけだが、意外や意外! その身はカツオやマグロと同じ赤身の魚に分類される「血の気の多い魚」なのだ。また血中の酵素により白身の魚より腐敗も早い。そのために青物は血抜きが欠かせないのだ。

一般的なのはナイフやピックなどを使いエラの付け根、尾ビレの付け根を切断してから海水を張った水くみバケツなどに、頭を下にしてしばらく入れる方法だろう。この状態ではまだ心臓が動いているので自然に血が抜ける。血の出が悪いようならバケツ内で魚体を揺する、もしくは魚体を曲げて血を押し出してもよい。

タオルなどで目隠しの青物
青物を釣り上げたらタオルなどで目隠しすると暴れにくい
エラの上下の付け根を切断
エラの上下の付け根を切断
エラブタからナイフを入れてエラの上下の付け根を切断
背骨を切断
尾ビレの付け根にナイフを入れて背骨を切断
バケツで血抜き
海水を張った水くみバケツなどにエラと尾ビレ付け根の背骨を切断した魚を頭を下にして入れザブザブと数回揺すってやると血が抜ける

 
さらに念を入れるならエラ、内臓を取り出してしまうとよい。帰宅してからの処理も楽だし、ルアーマンなら胃の内容物を確認しマッチ・ザ・ベイト! 何を食っているかチェックすることでルアーセレクトの目安にもなる。しっかり血抜きができたら氷が入ったクーラーボックスへ。ただしハマチなど青物だけでなくマダイなども氷を直接当てない方がよい。

内臓を取り出す
血抜きしてからエラや内臓を取り出してしまうと帰宅後の処理が楽
ビニールでくるむ
大きめのビニールなどでくるみ魚に氷を直接当てないようにしてクーラーボックスで持ち帰ろう

死後硬直から腐敗までの時間を遅らせ
旨み成分を最大限に引き出すのが「神経締め」

魚がお造りでいただけるのは死んで死後硬直が始まり、旨みの元になるATP(アデノリン三リン酸)と呼ばれる成分が旨みに変化しきって死後硬直が解けるまでの間なのだそう。この死後硬直が始まるまで、死後硬直が終了までの時間を長引かせることが「鮮度を保つ」ということなのだ。

また釣り上げた魚を陸上で暴れさせると、旨みの元のATPを大量に消耗してしまう。そこでタオルなどで目隠しし暴れにくくしてから刃物を入れるとよい。そして、このATPの消耗を完全にストップさせ死後硬直に至るまで、また死後硬直が終了、腐敗が始まるまでの時間を遅らせる……すなわち魚の旨み成分を最大限に生かしお造りでいただける時間をとことん長引かせるのが、背骨内の脊椎を破壊し神経伝達を遮断する近年話題の「神経締め」と呼ばれる方法だ。

尾ビレ付け根を切断
ワイヤを入れる
青物は尾ビレ付け根を切断し、背骨断面からワイヤを入れ神経締めにすることが多い

ただ、その日のうちに食べきれるだけの釣果で、身のコリコリ感を味わいたいなら、とくに神経締めの必要はないが、幸運にも多くの釣果に恵まれ、秋の恵みを存分に味わいたいなら神経締めがおすすめ。コリコリ感より旨み優先! 冷蔵庫で寝かせることで旨み成分を最大限に引き出すのが神経締めを活用した、いわゆる「熟成」という方法だ。

その日のうちに食べる魚は血抜きだけ、後日、じっくり旨みを味わうための魚には神経締め! と処置方法を変えるのもよいだろう。