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長年釣りをしていると当たり前のことでも、釣りを始めて間もない人にとっては「目から鱗!」「そうだったのか!」という、ちょっとしたノウハウをお届けするのがこのコーナー。釣果に直接かかわることではないけれど、アナタの釣りが快適になるかもしれない!? ほんのちょっとの工夫とアイデア。
第3回はロッドの穂先を現場で折ってしまった場合の応急処置について。特に穂先が細い磯竿使用時によく起こるトラブルなので覚えておくとよいだろう。
折れた2本の竿を合体させて急場をしのいだことも!
ある日の磯。朝から順調にグレ(メジナ)やイサギ(イサキ)が遊んでくれて「今日は大漁間違いないね」などと鼻歌まじりで調子に乗っていたら、自分の不注意でトップガイドからすぐ下の穂先部分を折ってしまった。「まあ、いいや。まだ竿あるもんね」と予備竿に交換して釣り再開。しかし、悪いことは続くもので……。
「おっ、このグレでかいぞ!」と竿を立ててタメに入った瞬間、竿の胴の部分がバキッ!
と無惨にも破断。これは困った。この日は竿の持ち合わせは2本だけ。迎えの渡船まで、まだまだ時間がある。ただただ磯の上で時間を潰すしかないのか……と、途方に暮れかけていたとき「2本の竿を合体させれば!?」とひらめいた。磯竿など振出式ロッドならではの荒技!? だ。
胴から折れた竿の穂先を最初に穂先を折った竿に移植すればよいのだ。しかし2本の竿は同一メーカーだが号数は違う。長さも5mと5.3mで違う。穂先根元の直径が問題だが、2本の竿を並べてみると何となくいけそうだった。
まず折れていない方の穂先のトップガイドを外す。プライヤーで挟んでトップガイドのジョイント部分をライターで軽く炙る。これで瞬間接着剤が溶けてかんたんに穂先から抜くことができる。穂先に通してある他の遊動ガイドを慎重に抜き取ってから竿の尻栓を外してストリップになった穂先を抜く。そしてもう一方の竿に移植してみると……。「おおっ、ぴったりやん」で移植成功! 幸運にも釣りを続けることができたのだ。
慣れればかんたん!現場での修理手順
これは数少ないラッキーな例で、後にも先にもこれ1回きりの話だが、穂先の先端から少しだけの位置で折れてしまった場合なら現場での応急処置が可能だ。予備竿があるなら話は別だが、その竿でしか釣りができないのであれば以下の手順で試してみてほしい。ただし内部が空洞のチューブラー穂先の竿は不可。内部がカーボンで詰まったソリッド穂先限定だ。
[必要なもの]ハサミ、ナイフなどの刃物、プライヤー、ライター、瞬間接着剤
①折れた穂先のトップガイド部分をプライヤーで挟む。
②トップガイドの接続部分をライターで軽く炙る。
③瞬間接着剤が溶けるのでトップガイドに残った穂先部分がかんたんに抜ける。
トップガイドの中に穂先が残って取り除けない場合はライターで炙って、内部に残ったカーボンを燃やしてしまうとよい。
④トップガイドを接続するために、折れた穂先のささくれだった部分はカット、トップガイドの接続穴の径に合わせて先端をハサミやナイフで削る。
⑤少し削ってはトップガイドに合わせてみて、削りすぎないよう注意。根元まですっぽり入れ込むのは厳しいので半分程度入るようになればOK。トップガイドに削った穂先を差し込む(穂先にガイド合わせラインがある場合はガイドの向きに注意)。
⑥瞬間接着剤を隙間に流し込んで固まれば完成。
以上が手順。慣れれば(あまり慣れたくないけど?)数分で作業完了。ただし折れた位置が穂先の2番目のガイドにあまりにも近い場合は2番ガイドを抜いたほうがバランスがよい場合も。また2番ガイドを瞬間接着剤で固定しトップガイドの代わりにして釣りを続けることも可能。帰宅後、熱湯に浸せば接着剤は溶けるので取り外すことができる。