NEW PRODUCT TALK 濁りに強い秘密兵器
小アジ専科 濁り潮ストロング

みなさんはサビキ仕掛を使うとき、どんな基準で選ぶだろうか?
サビキは撒いているエサに馴染ませることが基本であり、エサに似た色や動きを追求することで魚を騙しやすくなる。だがしかし、釣りはなかなかに奥が深いものでそれだけが正解ではない。時として思ってもいない色やタイプに食いがかたよることがある。一体どんなタイプを使えばいいのだろうか?
まず手掛かりとして水色を見てほしい。水が澄んでいるなら今まで通りエサに近いナチュラルなタイプを選択すればいいだろう。では、濁っているときは?

今回は今までにない全く新しい発想が生んだ新作をご紹介しよう。

未知の領域!?
真逆の発想が生んだサビキのニューカラー

小アジ専科 濁り潮ストロング
小アジ専科 濁り潮ストロング

濁りの条件に対応するべく、ハヤブサのサビキ「小アジ専科」シリーズに新しいカラーが追加されるようだ。その名も小アジ専科 濁り潮ストロング。今までにないカラーだけに開発に至るにはどんなエピソードがあったのだろうか。
早速、商品開発課・田中氏に聞いてみた。

派手なカラーで強力アピール

今回の商品「小アジ専科 濁り潮ストロング」ですが、どういう商品なんですか?

「名前の通り濁り潮に強いカラーです。
荒天後の濁りはもちろんですが、都市部の慢性的な濁りなども合わせて濁った状況にひじょうに強いサビキなんです」
と田中さん。

つまりストロングというのは物理的に仕掛が頑丈ということではなく、アピールがストロング。特長は目立つ色なのだ。

台紙付き濁り潮ストロング

個々のマテリアルの特長

まず、このサビキの特長は派手でアピール色ということはわかった。しかし、擬餌バリにはいろいろなマテリアル(素材)が巻き付けられている。果たしてどんなマテリアルで構成されているのだろうか。

 田中さん:「では、順番に説明しましょう」

サビキ手持ち

■オーロラサバ皮ゴールド
「柔らかな動きのサバ皮にオーロラ加工をして、さらにゴールドに仕上げました。
これについては、数年前海外でゴールド皮のサビキを発売したんですけど、ひじょうによく釣れると好評で、国内に逆輸入のような形でゴールドを採用したんです。
元々ゴールドはルアーフィッシングにおいても濁りの中で視認性が高く効く色といわれ、信頼のある色ですから」

■ブライトン蛍光イエロー
「ブライトンとは扁平で反射するヒラヒラのマテリアルですが、蛍光イエローは今回初めて採用したカラーです。アジングでも蛍光イエローのワームは都市部の濁った海で実績があるように、普段から濁りのあるエリアで効果が高いんです」

■夜光イエロー留
「留(とめ)とはハリのチモト部分の玉になっている部分です。夜光でしかもイエローのカラーは、濁りの中はもちろんローライトの時間帯や夜、深場でもアピールします」

ハリも目立つ!反射光で誘う胴打鈎

サビキ単体置き

マテリアルはわかったが他にも特長はあるのだろうか。続けて聞いてみた。

「そうですね…、擬餌以外の特長はハリですかね。ハリは胴打の金鈎(きんばり)なんですが、横から叩いて平たくすることで、光をよく反射するようになります。折って巻いてあるサバ皮シートが水を受けて開くので、水中では光るハリがよく見えて反射光が生きてくるといった具合です。トータルで濁りに強い仕様にしています」と田中さん。

なるほど、全てが目立つ仕様になっているのだ。

濁り潮ストロング開発秘話

漁港

海外からのフィードバックが生んだニューカラー

ちなみに海外でゴールド皮のサビキが好評という話が出たが、そもそもサビキは海外でもポピュラーな釣りなのだろうか? 田中さんにそのあたりの事情も聞いてみた。

船釣り

「そうですね、サビキ釣りは人気です。堤防のような所でもやりますが、どっちかっていうと船からが多いようですよ」

船でサビキ釣り? 日本では堤防の方が盛んな気がしますが、海外ではどのように使われているんですか?

「多くの場合、日本のようにマキエで魚を寄せる釣りではないんです。船の場合ハリも大きめですね。基本的にはサビキの下はカゴではなくオモリだけです。マキエがないのでサビキ単体の力が要求されるんですよ」

つまり日本のサビキ釣りのようにマキエに同調するのではなく、サビキのアピール力で食わせるルアー的な使い方なのだ。だからサビキ単体で魚に気付かせる派手な色が必要ということになる。

釣果手のひら

 
 

「ゴールド皮のサビキを実際に日本で試すと、とくにマキエなしで試したときにこれが釣れるんですよ。大阪湾のような濁った海域でのテストでは抜群によく釣れましたね。濁った中でのこの擬餌のアピール力は相当強いと感じました。
そこで、海外仕様の擬餌に蛍光ブライトンなどさらに濁りに強い要素を加えていったんです」

なるほど、今までエサに似せるという発想をメインに作られていたサビキだが、エサに似ても似つかない目立つ色だというポイントを特化させ、濁りの条件で抜群の釣果をだすに至ったというわけだ。

さらに田中さん曰く、
「今まで、リアル系のリアルアミエビ、リアルシラスといったエサに似せたモチーフを名前にした商品と、ピンクスキン、蓄光スキン、ケイムラスキンのような、マテリアルの特長を名前にした商品がありました。でも今回は、濁りというシチュエーションを切り口とした商品なんです」。

こうした今までにない切り口で、アピール重視のサビキ仕掛に辿り着いたということなのだ。

悩んだのはネーミング!?
伝えたいのは濁り潮での強さ

「では開発で苦労した点はありますか?」そんな次なる素朴な質問に対し、「んー、ありません」と笑って答える田中さん。思わぬ答えにズッコケそうになったのだが、その意外なところに苦労が潜んでいた。

釣れたアジ手のひら

「ははっ、苦労がないわけではないですよ。
開発よりむしろ、この擬餌の強さをどうお客さんにわかりやすく伝えるか…というのに悩みましたね。今までのマテリアルによる名前の付け方だと「オーロラサバ皮ゴールド蛍光ブライトン」みたいな名前になってしまう。リアルに何かを模しているわけでもない。わかりやすくするためにどんな名前を付けるべきか……」

確かに海外で求められるタイプの商品を、逆輸入的に日本の市場に合わせて再設計したわけなので、今までになかった色はお客さんにとって馴染みがなく、ピンとこない。モノ作りよりも名前の付け方に苦労したというのだ。

「よく目立って濁り潮に強いという特長はわかっていたんですが、それを名前にするという考えは今までありませんでした。しかし、いや待てよ、今までの名前の付け方じゃなくこういうシチュエーションで使ってほしいという言い方はどこもしてないなと…。そんな経緯です。
せっかくいいものを作って使っていただきたいと思っているのに、どうやってお客さんに価値を見いだしてもらうか。その商品の特性をどれだけストレートに伝えられるかというところで悩みました」と田中さん。

 
 

バケツのアジ

最後に、この商品に込めた思いで締めくくっていただこう。

「釣りに行って水が濁っていたら、もしくは常に濁りがある釣り場に行くときは、ぜひとも持って行って使っていただきたいです」と田中さんは語る。

大阪湾のテストでも抜群の釣果をだしている田中さんの自信作。この「小アジ専科 濁り潮ストロング」を持って行けば、濁りのせいで食いが悪い…なんて厳しいときに、きっと助けてくれることだろう。