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常々、「多くの人に釣りに触れてもらう、釣りに興味を持ってもらうには、環境という間口を広げる必要があり難しい…」と考えている私、編集スタッフD。釣りを始めるにはたくさんの道具が必要で、かつお金もかかる。ついでに、どこに釣りに行けばいいのかも分からない…という三重苦。ところが、世の中には結構お手軽で便利な施設があるもので、気軽に魚や釣りに触れられる機会は、実は多い。ただ知られていないだけだったりする…。
そんな施設のなかでも、私が個人的に推す上位1、2を争うのが、兵庫県豊岡市にある『城崎マリンワールド』だ。なんせ、水族館なのでお魚のことを学べるのはモチロン、さまざまな生き物に触れる体験ができるうえ、アジ釣りまで楽しめちゃう! しかも釣ったアジは美味しく天ぷらで食べることができるからスゴイ!!
というわけで、今回は私イチオシ、城崎マリンワールドの「アジ釣り」体験を紹介!
城崎マリンワールドってどんなとこ?
兵庫県は豊岡市、目の前に雄大な景色が広がる山陰ジオパークの海岸沿いに建てられた「城崎マリンワールド」は、1934年に開館し海獣たちによるライブショーが多く開催される水族館。
シーランドスタジアムで開催されるイルカやアシカの元気いっぱいのショーだけでなく、ドルフィンタンクという屋内のライブステージではイルカの生態についても学べるほか、トドのダイビングやアザラシのロッククライミング、ペンギンの散歩、釣り人が大好きなブリの行動観察、メジナへのエサやりなど、本当に数多くの見どころと触れ合いが用意されている。
当然ながら、一般的な水族館のように多くの魚たちがテーマごとの水槽で泳いでいる姿も見られ、淡水・海水問わず優雅なその姿を堪能できる。水深12mもあるメイン水槽では、日和山海岸そのままを切り取ったような地形を再現し、魚たちとダイバーが戯れている姿も微笑ましい。
当水族館のコンセプトは「水族館以上を目指す、見て、さわって、発見できる体験型水族館」。「水族館らしくないことを積極的にやります」という取り組みがユニークで、誰もが水族館に抱いているイメージを払拭し、面白いこと、楽しいこと、素敵なことをたくさん提供するという、意欲的な姿勢が魅力だ。
そんな施設内に、アジ専門の釣り堀がある!?
水族館らしくないことを積極的にやるという取り組みの一つが、まさに「アジ釣り」。
水族館で魚釣りという、一見逆行しているとも思えるサービスだが、当施設のなかでは大変人気のよう。建前論は抜きにして、われわれ日本人が慣れ親しんだ食材でもある魚。食卓に並んだ切り身や料理の状態ではなく、生きた姿として知り、釣り上げ、手間をかけて調理し、美味しくいただく。子どもへの食育にもよいのでは? と感じる体験を手軽にできるのがオモシロイ。
トドやアザラシ、ペンギンたちのいる施設「Tube(チューブ)」から、イルカやアシカのショーが観られるシーランドスタジアムへと向かう途中の海岸沿いに、アジ釣り専門の釣り堀「Fishing」がある。
7~8つほどあるプール(恐らく水面下はつながっている)に、ところ狭しと大小のアジが群れており、釣り場には日よけの屋根も設置されている。受付では、竿、仕掛、エサがセットになったタックルを650円でレンタルでき、釣り方も親切に教えていただけるので安心。(竿や仕掛の持ち込みは不可) 誰でも気軽にアジ釣りにトライできる。
トライ!アジ釣り体験の手順
というわけで、早速アジ釣り体験の手順を見ていこう!
(1) 受付しよう
ファミリーで賑わう釣り場の入り口にある受付。釣りをする旨を伝え、650円×人数分を支払うとタックルを貸し出してくれる。レンタル竿(のべ竿)には、釣り糸とウキ、オモリ、釣りバリがセットされており、エサのオキアミを刺せば、すぐに釣りができる状態だ。
係の方にアジ釣りのコツと注意点を教わったら、釣れた魚を入れるバケツを持って、いざ釣り場へ!
(2) 場所を確保して釣り準備
釣り場内は基本的にどこでも自由に釣りができる。魚が多いところや入り口付近にお客さんが集まりがちだが、できるだけ空いたスペースを選ぶのをおススメしたい。釣り未経験の方や子どもさんが多いので、混み合っていると竿の取り回しが難しい。できるだけ周囲と距離をとって、釣りやすい場所を選んだ方がのんびりできる。
場所を決めたら、エサとバケツを足元に置いて、エサ付けの準備をしよう。エサはオキアミを1匹丸ごと刺すよりは、小さくちぎってハリ先にチョンっと刺した方が魚も食いつきやすい。
(3) さあ釣ってみよう!
エサをハリに刺せたら釣り開始。竿を軽く振って、水面に仕掛を落としていく。ウキがついているので、竿先を下げてしっかりと水中に落とし込んでもよいし、魚はたくさん見えているので、竿をたてて水面を狙ってもいい。比較的水面近くの方が小型の食べごろサイズが釣れやすいかもしれない。
少し型のよいアジを狙うには、深いところや足元の影になったところを狙うといいのだが、気を付けてほしいのは仕掛が切れたら終了という点。無理に魚と引っ張りあいしたり、乱暴に魚を釣り上げたり、糸を握って釣れた魚を持ち上げたりすると、釣り糸が細く切れやすいので要注意だ。
いずれにしても、アタリ(ウキが水中に沈んだり、釣り糸が引っ張られたりといった魚の反応)が出たら軽く竿をたててみる。魚が掛かっていたら慌てずやり取りし寄せてくればいい。魚が掛かっていなかったら、一度エサをチェックして再度トライ。この繰り返しだ。
(4) 釣れたらそっとハリを外そう
エサがなくなるか、仕掛が切れるまで楽しめるアジ釣り。アジがハリに掛かったら、寄せてきた後そっと慎重に足元に上げ、魚がおとなしくなるまで落ち着いて待とう。その間、竿も置いてしまった方が糸に負担がかからずにイイかも。
釣りバリはカエシのついていないハリなので、口から外すのもカンタン。魚を軽く押さえてハリだけつまみ、手首を返すようにして抜けばOKだ。魚が傷まないうちにバケツに魚を移してどんどん釣っていこう!
「アジバー」で釣りたてを美味しくいただきます!
釣りを堪能したら、隣にあるオシャレな「アジバー」で釣りたてを味わえる。1匹50円で調理してもらえるので、バケツごと持ち込んで後は待つだけ。係の方が手早く3枚におろし、天ぷらにしてくれるのだが、その手さばきが実にお見事! あっという間にアジをさばき、衣をつけてアツアツの油のなかに投入するまでの一連の流れは、見ていても面白い!! 自宅でああはいかず、「えっちらおっちら」時間をかけて魚をさばく私には大変勉強になる。
ほどなくしてできあがったアジの天ぷらは、予想通り外はサクサク、中はフワフワで最高! ついさっきまで隣のプールで泳いでいただけあって新鮮そのもの。料理というよりはスナック菓子に近い感覚で炭酸飲料にも合う! 次から次に口に運んでしまい、すぐにお腹がいっぱいになってしまうほどだ。
ちなみに、アジの天ぷら以外にも、ドリンク他のメニューがあるのでしっかり食事ができるアジバー。万一アジを釣り過ぎても、発泡スチロールの箱と保冷材のセットを販売してくれているので、自宅にアジを新鮮なまま持ち帰ることもできる。しっかりした釣り堀施設として、サービス満点だ。
といった具合で、釣りまで楽しめてしまう「城崎マリンワールド」。水族館という非日常空間のなかに、釣り堀というアミューズメント要素がイイ意味で違和感を生み出し、新鮮な刺激を与えてくれるのが楽しい!! 子ども連れにはゼッタイにおススメだ!
もちろん世間には他にも、魚のつかみ捕りができる観光施設やキャンプ場、居酒屋や飲食店内にある釣り堀、釣れた魚をさばいてくれたり料理を提供してくれる釣り施設や宿泊施設など、サービスの充実した施設は数多い。釣りに触れるとっかかりとして、最初から道具をそろえなくても体験できる、これら施設やサービスを利用してみるのはいかがだろうか? 家族や友人とのお出かけにぜひご参考いただきたい。
城崎マリンワールド
住所:〒669-6192 兵庫県豊岡市瀬戸1090番地
HP:http://marineworld.hiyoriyama.co.jp/
※本文は個人の見解によるものです。ご了承下さい。