INDEX
「もう、面白い話なかったよなぁ……」などと記憶をたどること十数分。「ああ、こんなことも、あんなことも……」と脳みその隅を突けばまたまた出ました、ただし「珍事件」には違いないが、どちらかといえば痛い目にあったり、ヒヤッ! ドキッ! としたときのお話。もうない! たぶんない! これで打ち止め!? 洗いざらいぶっちゃけます!
満点着地!? 空飛ぶバリコ事件
小学生のころ、播磨灘に面した兵庫県播磨町は本荘(神鋼)ケーソンでのお話。耳にすることがなくなって久しいが、秋になると10cm前後のバリコ、すなわちアイゴの幼魚が大群で回遊、ウキ釣りで盛んにねらえたシーズンが何年かあった。4mぐらいまでのノベザオにヘラウキ、小さいアジバリを結んだ仕掛にエサは地元で本荘貝と呼ばれるバカガイの貝柱。これをハサミで細かくカットしハリ先にチョンと掛ける。ウキ下矢引ぐらいで防波堤際スレスレに仕掛を入れると、なじんだウキがスッと消しこまれる。
キュンキュンキュンキュン! 小さいけれど、さすがはアイゴの子! 執拗な引きは親ゆずりだ。しかし所詮は軽量級。海面を切るとピョンと防波堤の上に簡単に飛び上がってくる。「アイゴのヒレには毒がある」という知識はもちろんあったので、自分で釣った魚には気を付けていたのだが……。
油断していた。同行の父親が釣っているすぐ後ろでエサ交換。これが失敗。偶然、父親が抜き上げたバリコが飛んできて、僕の手の甲に見事に着地。それも背ビレから。「ぎゃー、痛い! 後ろ確認してよ!」「すまん、すまん!」釣り歴50年以上でアイゴに刺されたのは、この1回きりだ。
真夏の凶器!恐怖のウツボ事件
盛夏のある日、鹿児島の磯の上。同行の先輩は底物仕掛でイシダイをねらっていた。しかしアタリを送ってくれるのはウツボだけ。エサが何だったか記憶にないが、そのエサに食らい付いたウツボはハリを外そうとグルングルン! そのたびに仕掛をぐちゃぐちゃにして上がってくる。
そのなかに1尾のトラウツボ(だったと思う)がいた。偶然うまくハリが外れたので、これをカメラに収めようと先輩がレンズをその強面に向けた瞬間! 先輩の磯ブーツにがぶり! 「うわっ、やられた!」「だ、大丈夫ですか?」「うん、足は無事だけど……」という先輩のブーツを鋭い歯が貫通。5mm厚のネオプレンにぽっかり穴が空いたのだった。ああ、オソロシイ!
最強トップウォータールアー?夏はシイラにご用心事件
ある夏、和歌山の磯の上。何をねらっていたのか自分でも記憶がないのだが、目の前の海面いたるところに大型のシイラがウロウロしていたことだけは鮮明に覚えている。シイラにエサを食われると引き上げるのがやっかいなので奴らを避けて仕掛を入れる。これはマキエ投入点をずらすことで何とかなる。問題は仕掛回収時だ。
フカセ釣りなので赤や黄色のウキが付いている。これが実に美味そうに見えるらしい。海面を滑るように移動するウキ。まるでトップウォータールアー。シイラがウキを猛追する。「ぎゃー! やめてくれ!」と、食われないよう必死でリールを巻いた。ふ~助かった。
またまた和歌山だが別の磯。この日は半夜釣り。明るい時間帯はまたしてもシイラがウロウロ。「まあ、日が暮れればシイラはどこかへ行くだろう。シイラが夜行性とは聞いてないもんね!」ということで、いよいよ日没。電気ウキを灯し釣り開始。
暗い海面に赤い灯が揺らぐ。「うん、いい感じ! イサギ釣れるかなあ?」と期待に胸を膨らませウキを見つめていると……。ウキの灯が一瞬で視界から消える。「よし、食ったか?」しかし、どうも様子が変だ。仕掛は海中に引き込まれず海面を右へ左へ。その瞬間、ポンと外れた。あれっ?
エサがそのままなのを疑問に思いつつ、すかさず打ち返す。またもやウキが消える。今度はハッキリ見えた。大きな魚がウキを飲み込む瞬間を! そうシイラだ! 「ぎゃー! やめてくれ!」と、また叫んでしまった。夏は昼も夜もシイラにご用心というお話。
ということで「学校で話したくなるお魚雑学」ひとまず最終回! 興味深いテーマ、面白いネタがひらめくまで、ごきげんよう!