釣りの対象魚である身近なお魚たちにも、一般的に誤解されていたり、あまり知られていない事項がいっぱい。まずは魚類の形態を正しく理解することから始めよう!
「どっちが背中で、どっちがお腹? それが問題だ!」
ヒラメやカレイ。どっちが背中で、どっちがお腹? 何々? 色が濃い方が背中で、白い方がお腹? というのは大きな間違い。例えばヒラメの場合、エラブタがある方を下にして色が濃い側を表にすると目や口は左側。カレイならその逆。いわゆる「左ヒラメ、右カレイ(ヌマガレイなど一部に当てはまらないものもいる)」ってやつ。そしてマダイやアジなど他の魚同様に上側が背中で下側がお腹なのだ。そう! ヒラメやカレイも料理してみるとすぐ分かる。お腹である下側だけに、ちゃんと内臓があるのだから。
実はヒラメやカレイもマダイなどと同じで、魚類ではポピュラーで背と腹側に伸びた平べったい体型、もっとも魚らしい「側扁型(そくへんけい)」のボディーを持ってはいるのだが、両側にある眼が移動して片側に集まった「異体類型」と呼ばれている。ちなみに似たようなフラットな体型のマゴチやネズッポ(メゴチ、ガッチョ)などは背中からグッと押しつぶされたように平たくなった「縦扁型」なのだ。ついでにカツオやマグロは「紡錘型」、フグなどは「球型」、エイなどは「円盤型」、ウナギやアナゴは、そのまま「ウナギ型」と魚類学では呼んでいる。
ではヒラメやカレイの色が濃い側、白い側は何と呼ぶのかというと、眼がふたつ並んだ色が濃い側を「有眼側(ゆうがんがわ)」、眼がなく色が白い方を「無眼側(むがんがわ)」という。覚えておこう。
「どれが背ビレ?胸ビレ?腹ビレ?尻ビレ?尾ビレ? さあ分かるかな?」
ご存じのとおり魚たちの身体には各所にヒレがある。背ビレや尾ビレは何となく分かっても、胸ビレ、腹ビレ、尻ビレを、ちゃんと理解できている人は多くないかもしれない。
まずは背ビレ。うん、背中側にあるヒレだ。これは簡単。続いて胸ビレはエラブタの後ろにあるヒレ。魚のボディーの両側にある。ちなみにヒラメ、カレイの胸ビレは有眼側、無眼側のどちらにもある。そう色が濃い方、白い方が背中とお腹でない証拠だ。じゃあ腹ビレは? 背中の反対側、お腹にあるヒレで左右一対になっている。
尻ビレと尾ビレ、これを勘違いしている人が案外多いかも。尻ビレは肛門の後方にあるヒレがそう。ヒラメやカレイなどは腹ビレのすぐ後から、まるで背ビレのようにボディー後方まで続いている。尾ビレはボディーの最後端。魚が泳ぐ場合に主な推力を得るヒレだ。
ちなみに魚類学では背ビレを背鰭(はいき)、胸ビレを胸鰭(きょうき)、腹ビレを腹鰭(ふっき)、尻ビレを臀鰭(でんき)、尾ビレを尾鰭(びき)という。
これら以外にサケ科魚類やアユなどは脂ビレ(脂鰭=しき)といって背ビレの後方に小さなヒレを持つ。サバやカツオ、マグロなどは背ビレと尻ビレの後方、尾ビレまでの尾柄部(びへいぶ)に小離鰭(しょうりき)という小さいヒレが多数ある。そうそうマルアジとマアジの見分けも、この小離鰭を見るのが簡単。上下一対の小離鰭があればマルアジ、なければマアジだ。