お盆を過ぎてもまだまだ熱く、残暑厳しい9月も日中の釣りは遠慮したい……という人には、海面を渡る海風が涼しい船上でのナイトゲームはいかが? そして、同じ釣るなら食べて美味しいやつに限る! ということでオススメなのがケンサキイカ釣り。一昔前ならスッテを何本も取り付けた胴突仕掛に電動タックルという大がかりなものだったが、近年はゲーム性豊かなライトタックでの、いわゆる「イカメタル」という釣り方が人気。なかでもオモリグと呼ばれるオモリ1個と餌木1個だけの釣りならエギングなどのスピニングタックルを効率よく流用することができるのだ。
ターゲットと遊漁船
メインは美味しいケンサキイカ!
乗合船・仕立船はお好み次第で
釣りをしなくても、たいていの人がご存じのケンサキイカがメインターゲットだ。若狭などの日本海側で白イカ、和歌山などの太平洋側で赤イカと呼ばれるこの筒イカは、とにかく食味抜群! コリコリと歯ごたえがある身に甘みもたっぷり。刺身はもちろん煮ても焼いても揚げても美味しい。釣れるサイズは地域と時期にもよるが胴の長さで10cm程度の小型から20~30cmが平均。大きいものではパラソル級と呼ばれる40cm、50cmにもなる。
ルアー感覚でねらえる近年流行のイカメタル、メタルスッテゲームなどと呼ばれる釣り方ができる遊漁船は各地にずいぶん多くなった。見知らぬ釣り人と乗り合わせるリーズナブルな乗合船、気のあった仲間数人で1隻をチャーターし気兼ねなく楽しめる仕立船とお好み次第で。いずれにしても早めに予約を入れておくことが肝要だ。止むに止まれぬ理由でキャンセルをする場合は早めの連絡を。ドタキャン、すっぽかしは御法度だ。
タックルとリグ
エギングロッドにスピニングリール
オモリ1個+餌木の「オモリグ」で
イカメタルゲームの流行で近年は各社から専用のタックルが多く発売されるようになった。主力は6.5fぐらいのベイトタックルだが7f台のスピニングタックルも増えつつある。簡単な使い分けとしては水深があるボトム付近をねらう場合はパワーがあるベイトリールで。集魚灯に照らされてイカが釣れるタナが浅く表層近くになってきたら手返しがよくリグを投げやすいスピニングリールという感じ。ラインはともにPE0.6号ぐらいが標準。この先にフロロカーボンリーダー3号を結ぶ。
リグの種類としてはメタルスッテ1個だけの「ひとつスッテ」、下部にメタルスッテ、上部に餌木を付ける「ドロッパー式」、そして下部に餌木、上部にオモリを付ける「オモリグ」が主なところ。
専用タックルではなくエギングロッドとスピニングリールで釣る場合、効率よく釣りができるのは軽めの「オモリグ」だ。30号のオモリで数十mものディープレンジを狙う場合はベイトタックルが有利だが、水深30mより上のレンジで15号ぐらいまでのオモリを使うならスピニングタックルがキャストしやすく広範囲を探れて便利。オモリは巻き上げ時の抵抗が小さい細長い円筒形のホゴオモリと呼ばれるもの。下部にセットする餌木は2.5号が標準だ。「ドロッパー式」でも軽いリグで浅いレンジを釣る場合はスピニングタックルでOKだ。「オモリグ」のリーダーの長さ、オモリから餌木までは1mでよい。
オモリグの釣り方
巻きジャクリ3回直後のポーズで
餌木をナチュラルフォールさせるのが基本
下部にセットされた餌木が頭から斜めにフォールしケンサキイカにアピールするのが「オモリグ」の強みだ。下にメタルスッテ、上に餌木が付くドロッパー式のように垂直フォールでの誘い効果はない。基本的にはリグを狙いのレンジまで沈めたら巻きジャクリ3回でポーズ、徐々にハリスが潮になじむのを待ち餌木をナチュラルフォールさせる。つまり誘い上げ&ポーズが「オモリグ」の誘いの基本だ。巻きジャクリ3回というのは1回、2回の巻きで動くのはオモリ部分だけ。水深にもよるがリーダーの長さ、糸フケを考慮すると3回目のシャクリで初めて餌木に力が伝わるからだ。
スピニングタックルを効率よく使うコツは、レンジが20mまでと浅い場合、少し沖へキャストしリグをカーブフォールさせること。特に「オモリグ」の場合はイカにアピールしやすいのだ。釣り始めのディープレンジではベイトタックル有利なのはいうまでもないが、徐々に集魚灯の効果が出てイカのレンジが浅くなってからは、さっと投げてサクッと掛けられる、手返しがよいスピニングタックルがどハマリするのだ。
釣り上げたケンサキイカが足下のイケスに何杯かたまったら傘袋などに1杯ずつ入れてクーラーへ。氷の上に新聞紙などを置き、直接氷を当てないことが美味しく食べるコツ。さあ夜遊びに出かけよう!