前回から、釣りにおける状況を判断するうえで、天気図くらいは読めるようになろう! との主旨で、雲が発生し雨が降るメカニズムついて話をさせていただいた。今回はその続きだ。
天気図の見方
雨が降る仕組みは分かったものの、どうせなら天気図も読めたほうが良い。「そんなの気象予報士さんが解説してくれるじゃん!」という声が聞こえそうだが、せっかくなので・・・。
(1)天気図を見る前に「降水確率」って?
「今日のお天気は降水確率50%」と聞いて、みなさんは傘を持って出かけるだろうか? 「小雨だったら我慢できるけど、土砂降りだったら嫌だな~。」と、私は悩むほうだ。しかし、降水確率とは「1ミリ以上の雨が降る」確率だそうで、雨の量や強さ、降る時間などとは関係がないそうだ。
どういうことかというと単に確率の問題で、例えば、「1ミリ以上の雨が降る」という予報を100回出して、50回は降る可能性の場合が「降水確率50%」。70回は降る可能性がある場合が「降水確率70%」というわけだ。ということは、「降るか降らないか?」だけの話であり、「何時からどのくらい降るか?」は、降水確率以外の情報(例えば雨量)を気にしておかなければならない。
(2)天気図の見方
天気図は、理科で習った通りさまざまな記号、その名称やルールを覚えないと読み解くのが難しい。子供のころの記憶を呼び起こしながら、ここでは基本的な知識と日本付近の天気についてサラッと見ていこう。
天気図には「等圧線」という線が描かれている。地図の「等高線」が同じ標高をつないでいるのと同様に、同じ気圧を結んでいる。海上面0mでの気圧を表しており、線で表すことで場所によって頭上の大気の重さの違いがわかり、気圧が高いところが高気圧、低いところが低気圧と一目でわかるようになっているのだ。ちなみに1気圧は1013hPa(ヘクトパスカル)で、1kg重/cm2という重さ。どこからが低気圧で、どこからが高気圧というわけではなく、あくまで「周囲と比べて高いか低いか」を表している。とはいうものの、例えば「980hPa」という数値を見れば、「おぉ~結構威力の強い低気圧だなぁ」と理解しやすい。
また繰り返しになるが、空気は気圧の高いところから低いところに向かって押し出される。しかも、地球の自転の影響を受け、北半球では高気圧は「外向きに時計回り」、低気圧は「内向きに反時計回り」で空気の流れ、すなわち風が起こる。さらに、日本付近の天気は、おおよそ偏西風の影響を受けるため、西から天気が変ってくるのだ。これらを知っておくと、少しだけ天候の変化や風向きなどが読みやすいのではないだろうか?
最後に、天気図内でよく見かける天気記号を下記表にて紹介させていただこう。知っているか知らないか、こちらは覚えるだけの話なので、ぜひご参考に。
波・潮位など、海の豆知識
釣り人にとっては、天気も大事だが、海上での風や月の満ち欠けが影響する波はもっと気になるところではないだろうか?
(1)潮位とは? 風浪とうねり
潮位とは、「潮の干満によって変化する海面の高さ」のことで、東京湾の平均的な海面の高さ(=基準面)からの海面の高さを示す。潮位は(後で解説するが)風浪やうねりといった海面の上下変動を取り除いた水位を表しているそうだ。
海面の上下変動といえば「波」だが、波の発生は当然ながら風が影響している。海面上で風が吹くと、海面は風下へ押され進んでいく。波が進むスピードよりも風が強いと、波は発達を続け、よく「ウサギが跳ぶ」などと比喩されるように白波を立てるまでに成長する。このように、吹いている風によって生じる波を「風浪(ふうろう)」と呼ぶ。風浪は不規則で尖っており、依然発達しつつある波。発達するにしたがって波高(波の頂上から谷までの高さ)は高くなり、波の周期である波長(隣り合う波の頂上から頂上までの長さ)も長くなっていく。
対して、発達した風浪が遠く風の吹かないところまで伝わり、弱まりながら(=減衰しながら)伝わる波を「うねり」という。うねりは規則的で丸みがあり、徐々に弱まっていく波である。そのため波長が長く、一見穏やかに見える波だ。池に落とした小石の起こす波紋が、中心から遠くなるほど穏やかになっていく様を想像していただければわかりやすいだろう。しかし、水深の浅いところでは海底の影響を受けやすく、ともすると風浪よりも波が高くなりやすいという性質を持っているそうだ。見た目の穏やかさとは違って、意外に危険なのだ。
よく船の船長が天気が良いのにもかかわらず、「いや~台風の影響でうねりがきつくてね~、出船できないわ~。」と言われることがあるが、遠くで発生した台風もしくは過ぎ去った台風の影響で、天気が良さそうに見えて、出船には支障があるほどの波だということ。海のことは海のプロに判断をお任せして、決して無理をしないことだ。
(2)釣りにおける風 風力○○って?
もうひとつ、釣りにおいて影響のある「風」についても整理しておきたいと思う。
よく「風力○○」という言葉を聞くが、風力とは読んで字のごとく風の力や強さを表す。気象庁の風力階級表によると、0から12までの13段階あり、それぞれが風速に相当している。風の力は目に見えないため、また、風速も「毎秒○○メートル」や「ノット(1ノット=1.85km/h≒約2km/h)」という単位で表されるため、少々わかりづらい気がするのは私だけだろうか・・・。風が強いと当然波も立ちやすく、また釣りもしづらい。そして場合によっては危険だ。天気予報で注意報や警報が出ているときは、「魚の活性が上がるから・・・」なんてことは考えずに、無理せず別の日に出かけていただきたい。
少し話がずれてしまったが、風力と聞いてもなかなか風の強さや程度はわかりづらいかと思われるため、よければ下記表をご参考いただきたい。気象庁の風力階級表に、(勝手で恐縮だが)私の方で時速(km/h)の補足を入れさせていただいたもの。イメージしやすくなれば幸いだ。
風力 | 相当風速 | 備考 | ||
(m/s) | (km/h) | (ノット) | ||
0 | 0.0 から 0.3未満 | 0.0 から 1.08未満 | 1未満 | |
1 | 0.3 以上 1.6未満 | 1.08 から 5.76未満 | 1以上 4未満 | |
2 | 1.6 以上 3.4未満 | 5.76 から 12.24未満 | 4以上 7未満 | |
3 | 3.4 以上 5.5未満 | 12.24 から 19.8未満 | 7以上 11未満 | |
4 | 5.5 以上 8.0未満 | 19.8 から 28.8未満 | 11以上 17未満 | |
5 | 8.0 以上 10.8未満 | 28.8 から 38.88未満 | 17以上 22未満 | |
6 | 10.8 以上 13.9未満 | 38.88 から 50.04未満 | 22以上 28未満 | |
7 | 13.9 以上 17.2未満 | 50.04 から 61.92未満 | 28以上 34未満 | 海上風警報に相当 |
8 | 17.2 以上 20.8未満 | 61.92 から 74.88未満 | 34以上 41未満 | 海上強風警報に相当 |
9 | 20.8 以上 24.5未満 | 74.88 から 88.2未満 | 41以上 48未満 | 〃 |
10 | 24.5 以上 28.5未満 | 88.2 から 102.6未満 | 48以上 56未満 | 海上暴風警報に相当 |
11 | 28.5 以上 32.7未満 | 102.6 から 117.72未満 | 56以上 64未満 | 〃 |
12 | 32.7 以上 | 117.72以上 | 64以上 | 海上暴風警報または海上台風警報に相当 |
※その他詳しい情報は、気象庁HPをご参考下さい。
http://www.jma.go.jp/jma/index.html
今回、釣りにおいて(私なりに)役立つのではないかと思われるお天気の話について書かせていただいた。まだまだ情報はたくさんあり、しっかりと学ばないことには、本来お天気について語る資格はないのだが、ご了承いただきたい。自然環境の中で楽しむ釣りにおいて、わずかでも天気図が読めたほうが良いだろうし、天候の移り変わりを予測できたほうが、釣果に好ましい影響があるかもしれない。
日々状況の異なる現場で、より良い戦略を立てる上での判断材料のひとつであるお天気。まあ実際は、今どき便利なアプリもあるし、ニュースや気象予報士さんといったプロの予報を参考にするのだが・・・。天気を味方に付けてはいかがだろうか?