普段から、年齢のせいもあって十分に睡眠を取れていないのか、良く夢を見ている。当然内容は様々であり、その大半は日常と非日常が混在した内容で取り留めの無いものばかり。しかもそのほとんどは目が覚めた瞬間は覚えているものの、1日の生活の中で「あれっ?どんな内容だったかな・・・?」と忘れてしまうものばかりである。しかし、時折見る釣り関係の夢は、あまり良い結末で無いせいか比較的覚えている事が多い。
先日もバス釣りの夢を見たのだが、アワセた瞬間に「大物だっ!!」と直感する引きに興奮し、普段たいして良型のバスを釣った事の無い私は、奮闘の末、必死に手元までバスを寄せてきた。しかし、長さはあるものの、ゲッソリと痩せこけた、まるで太刀魚のような魚体のバスを見て、ギョッとした。。。という内容。
また別の日には、何の釣りかは覚えていないが、これまた大物を掛け、タモ入れしてもらったが、その魚はみるみる手に乗るほどの金魚サイズに小さく縮小してしまった・・・という、何とも寂しい内容の夢を見たことがある。仕事として結果を出さなければならないという使命からか、夢でありつつも、現実で感じる重圧の表れではないかと、我が夢から分析するところである。
釣り業界に入って、日々大好きな釣りと接することが出来る環境を手にし、四六時中釣りに関連のある内容で思考を巡らす毎日。それはそれは、ハタから見ると幸せな毎日であることは間違いないが、徐々に「仕事化」し、趣味や楽しみの一つとしての「釣り」という捉え方が出来なくなってしまっている事も事実。
取材に出ても、あくまでお仕事として現場を回し、竿を出しているとは言え、常に頭の中は仕事モードで次の展開を考えなければならない。。。ひとしきり取材が成立し、許されたわずかな「釣り集中タイム」でも、「折角なので釣果を上げたいっ!!」と強欲なまでに釣りに集中するあまり、心底「釣りを楽しむ」とは成り難い。
社員の中には、「仕事で釣りが出来るのだから」と、割り切って存分に(仕事中の)釣りを楽しめる者も居るようだが、中々私個人はその様にスイッチを切りかえれずに居るし、同様の感覚の社員も居るようである。それでは、そう言った『スイッチ切り替え不器用社員アングラー』は、どの様に釣りを楽しんでいるのか?
将来的にも「釣り=仕事=真面目に取り組まなくてはならないミッション=遣り甲斐はあるが楽しめない・・・」という図式にハマッテしまい、楽しむことが出来ない可愛そうな人たちなのか?
直接社内でアンケート調査をした訳ではないが、日頃の皆の釣りモノをこっそり観察したところ、どうやら「仕事と直接関係の無い釣りモノ」を趣味とし、心のリフレッシュとして楽しんでいるのではないかと思われる。
当社では、バラ鈎・(堤防)サビキ仕掛・(船)胴突仕掛・バスフック・メタルジグ・エギ・鯛ラバ・ライトソルトジグヘッド等をメイン商材として扱っている。にもかかわらず、社内では「フライフィッシング」「タナゴ釣り」「手長エビ釣り」「鮎の友釣り」等を、その季節折々に楽しんでいる社員が居る。当然、メイン商材に関連の釣りモノも多くの者が楽しんではいるものの、これらある偏った釣りに興じ、例年継続されているということは、彼らにとってまさしく「趣味」と呼べる楽しみの一つだと考えることが出来る。
また、特別偏った特殊な釣りモノでなくとも、普段、アパレルを担当している者がバスフィッシングに興じたり、物流を担当している者がエギングに精通していたり、船仕掛の開発担当がアジングを楽しんでいたりと、日頃関わっている仕事内容とは関係の無い釣りモノで、週末を過ごしている姿も見かけると、やはり、我々にとって「仕事の釣りは仕事としての日常」であり、「心を開放するプライベートな釣り」は非日常として別物なのかも知れない。
かく言う私も、広告担当として、決まった釣りジャンルを担当している訳ではないためか、全般的に当社で取り扱っている釣りジャンルとは異なる釣りを嗜んでいる。それは、地味に長年楽しんでいる「ルアーでのマゴチ釣り」と、最近始めた「カヤックフィッシング」である。
カヤックフィッシングは、つい3年ほど前に愛艇を購入したばかりの新参者で、まだ淡水湖でのバスフィッシングにて練習中の身。操船と釣りの両立という不自由さはあるものの、水面も近く自然を肌で感じることが出来る、人力ゆえの面白さがある。日頃の、車でフィールドを巡り、船で魚やポイントを追いかける釣りとは全く状況の異なる釣りを通じ、アクティビティとしての楽しみ方を満喫させて頂いている。
そしてマゴチ釣りは、一般的にはフラットフィッシュとして、ヒラメをメインに浜をランガンするモノであろうが、周囲にその様な釣りをする者が居なかった事もあり、また、あえてマゴチをメインに狙ってみるという、反社会的(?)、マニアックなジャンルに惹かれ、徐々に年数を重ねていった。これまた上手ではないので、言うほど大漁の話や、語れる戦略は持ち合わせていないのだが、春から秋にかけてほとんど誰も居ない浜で、時にはウェーダーを履いて立ち込み、水平線を見つめながら一日中フルキャストを繰り返している。。。(釣れずにグッタリと疲れて帰宅するのがほとんどなのだが・・・。)
と言った訳で、私の勝手な考察で大変恐縮なのだが、釣りという趣味を日常とする事は、決して日々楽しいことを繰り返し、常に休日の様に過ごしている訳では無いのだ。
仕事なのか趣味なのか、非常に曖昧な業を生業としている我々(≒私)にとって、余暇としてしっかりと心をリフレッシュし、リセットし、メンテナンスをする時間が必要だという事。そのために、自ずとプライベートな釣りは少々偏ったものになってしまうという事がお分かり頂けただろうか。
しかし一方で、自然とその様に成ることが実は本業の釣りジャンルに、また新たな発想を与える事もある。例えば、当社で扱っていない釣りジャンルを通じて見えてくる「使い勝手」に気がついたり、異なる釣りフィールドに実際に足を運ぶことで見えてくる「一長一短」、そして人との触れ合いから「新たな文化・価値」などが感じ取れる。リフレッシュの場でリラックスしてひらめいたアイデアは、そのまま仕事での釣りに良い影響を与え、幅を広げてくれることにも繋がるはず。
※本文は都合により脚色を交えております。ご了承下さい。