From HEAT the WEB DIRECTOR撮影のウラ側から

釣り人にとって、釣り雑誌やTVの釣り番組、はたまた専門WEBサイトを見るのは楽しいものである。今まさに釣れている映像や、大物との夢の遭遇は、思わず画面や誌面に釘付けとなり、自分も「今度の週末はあんなことやこんなことに・・・」と妄想するきっかけとなる。

かく言う私も、そんな釣りの世界に憧れて、地方から出て来て業界に飛び込んだ一人。
まさか、毎日釣りが出来ると思っていた訳では無いが、少しでも釣りに触れる機会が多くなることを切望してやってきた。(はるか昔に・・・)
そんな訳なので、縁あって釣りの取材に出かけるお仕事を、会社から授かった時には、不安よりも楽しみと嬉しさが多かった事を覚えている。しかし!! 世の中そんなに甘くは無かった。時には厳しく、時には苦労あり、そして時には楽しく・・・。そんな取材現場の裏側を、ほんの少しだけご紹介します。

取材は楽しい?それとも辛い?
風景

先日、釣りビジョンさんの看板番組『とことん☆エギパラダイス』の取材に同行。
番組とはもう2007年からのお付合いで、今年で8年目。ちょうど先代のおねぃさんが卒業し、今年からは新しい代のおねぃさんにバトンタッチするというタイミング。 心機一転のお付合いとなる今回ではあったが、横浜での「国際フィッシングショー」の余韻(=疲れ!?)も覚めやらぬまま、休み無く高知県宿毛へ移動することに。

今回は、春のでかイカを求めての旅であるため、秋イカと比べて少ない釣果の情報を頼りに、場所を選定していった。
つい1週間ほど前の満月大潮に、かなりの量のイカが上がったとの情報を得、高知県宿毛に決定した訳だが、なんせ遠い・・・。
社用車であるハヤブサ号を軽快に駆りスタートしたが、走れども走れども目的地は近づいてこない。お昼の13:00に会社を出発し、到着したのは19:00過ぎ。
淡路鳴門道、徳島道、高知道を乗り継ぎ、片道6時間の大旅行。フィッシングショー明け、腰痛持ちの孤独なドライバーには中々しんどかった。きっと、機材を満載した釣りビジョンチームも中々疲れたことでしょう。
そろそろ到着かな、というころ… 谷さんから電話が入り、「今どのへんですか?」とリラックスした声。なんと、私よりも随分と早く事前に現地入りをし、プラクティスを敢行しているとの事。「自分のペースで、色々な所を見ておきたいですから。」と、なんとも高いプロ意識のお言葉。ギリギリに到着するように出発した私がお恥ずかしい…。

プロスタッフの皆さんは、普段は自身が得意とする釣りの釣行をし、雑誌やブログに記事を投稿するなど、広報活動にご協力を頂いている。その際は、身近なフィールドや、得意とするフィールドで良い訳であるが、今回のようなメーカーからの取材協力依頼の場合には、必ずしもそうはいかない。

製品のプロモーションと言うことで、発売時期を加味し、まだまだ対象となる魚が釣れていない無理な季節に取材をして頂いたり、数少ない釣果情報を頼りに、これまで立ち入ったことの無いようなエリアでの釣りを強いられる。と言うことは、常に万全の体制ではないアウェーな状況で、パフォーマンスを発揮しなければならず、それはプロスタッフさんにとって、非常にプレッシャーの高い事なのだ。恐れ入ります。
取材前日の夜は、プラクティスによる事前情報を谷さんに教えて頂きながら、合流した釣りビジョンさんと夕食を。
久しぶりにお会いする釣りビジョンクルーは、皆さん気さくな方ばかり。明日から2日間の取材と言う事で、お酒は少しに控え、早めのお開きとする事に。

とことん☆エギパラダイス
とことん☆エギパラダイス

とまあ、こんな具合に取材前日を過ごし、いよいよ取材がスタートする訳だが、TV番組1時間を制作するために、まる2日間を実釣に費やすのが大変なところ。
特に動画や映像と言った媒体では、プロスタッフは常にカメラの前に身をさらし続けねばならない。
例えば、おトイレに行きたかったり、少し疲れたので座りたかったり、お腹が減っておにぎりを食べたくなっても、メインキャスターのおねぃさんと絡んでいる間は中々そうも行かない。休憩の時はその都度カメラが止まってしまうし、ひょっとすると、いつ訪れるかも分からない時合も逃してしまうかも知れないから、気が抜けず集中していなければならない。当然、おねぃさんもカメラマンさんも、ADさん、ディレクターさんも同様。

一見TVの画面からは、遠足に訪れた少女の様に楽しんで見えるおねぃさんも、実は2日間という長時間の取材にも関わらず、そう大して「もう疲れたー」と不平を言ったり、ましてベソをかいたりもしない。
本当にTVで見る姿のまま、終始笑顔と、時には集中したまなざしのまま、釣りをやり続けるのである。(先代のおねぃさんも同様だった。) そして、カメラマンさんに至っては、ひたすら20~30kgはあろうかという大きなカメラを肩に担いだまま微動だにせず、カメラのファインダーを覗き続ける。ある時はカメラを担いで、堤防や磯をぴょんぴょんと跳ね、高所恐怖症の私がびびる位の高い場所から身を乗り出して撮影を続ける。
話を聞くところによると、「ファインダーを覗いている間は平気」らしいが、これまたおねぃさん同様、不満を口にしたり、疲れて座り込むことも無い。プロスタッフさんも、おねぃさんも、カメラマンさんも皆プロフェッショナルなのである。

一方私はと言うと・・・、特に誰からも相手にはされない。。。
当然と言えば当然なのだが、主役はメインのお二人。「相手にされない」と誤解を招くような言い方をしてみたものの(スネている訳ではありません。紛らわしくてスミマセン。。)、実は、会社からの担当として新製品を携え、現場での対応を任されている身。黒子のような存在としてお手伝いをしているつもり。(あくまでその「つもり」ですよ。実際のところは自分でははかり兼ねます。)
ある時はバッカンに詰めた満杯で重い製品を運び、ある時は近所に魚が見えないか探し回り、魚を見つければメインのお二人を呼びに走り、ある時は気象情報をスマホ頼りに探り、またある時は一眼レフカメラを手に、使える素材が無いか写真を撮りまくる・・・。と言った具合。

とことん☆エギパラダイス

釣れる事が1番の取材ではあるが、非常に厳しい条件、辛いプレッシャーの中で懸命に結果を求めつつも、中々その様にならない事が多いのも、また事実。
メーカーとしては、結果の出せる商品としてプロモーションしたいが必ずしもそうは行かない。
しかし常に感じるのは、厳しい状況こそが、我々が相手ににしている魚、そして自然環境の偉大さであり、そこに、ある種畏怖と尊敬の思いを持って対峙することの面白さがある事。プロフェッショナルの意識を持ちながら、いち釣り人の立場で、等身大の情報を素直に伝えることも、担当としては大切だと考えている。
結局、楽しいのか辛いのか、まだまだゴールの見えないマラソンは続くのである。

と、カッコ良いことを考えながら、取材後、行きよりも多い7時間を掛けて徹夜で会社へと戻っていくのであった。