「入魂」「ツ抜け」「うりぼう」ってなに?
釣り人だけが分かる“通な言葉”釣り用語6選

趣味を深めていくと、仲間同士でしか通じない表現に出会うことがあります。釣りもまた、長い間多くの人々に親しまれるにつれて、独自の言葉を生み育ててきた世界。初めて耳にする人にとっては、思わず意味を尋ねたくなるような表現も少なくありません。

そこで今回は、なにかと覚える名前が多い釣り用語のなかでも、とくにアングラーにしか伝わらないような一風変わったものを紹介します。

初めての1尾に込める想い「入魂」

01_ ロッド

はじめに紹介するのは、「入魂」という用語。新しく手に入れた釣り道具で、初めて魚を釣り上げることを指して使われます。文字通り、竿やリールに魂を込める特別な瞬間です。ほかにも「鱗(ウロコ)付け」や、イカ釣りの場合に使用する「墨(スミ)付け」も同じような意味をもつ表現。新しい道具への愛着や、釣り人としての出発点を象徴する言葉といえます。

流れが生む好ポイント「インレット」と「アウトレット」

02_ インレット

池や湖などでよく聞かれる釣り用語が「インレット」「アウトレット」。インレット(inlet)に「入り口」「注入口」といった意味があり、アウトレット(outlet)は「出口」「はけ口」などを指しています。
釣り用語においては、インレットは池や湖沼に水が流れ込む流入口、アウトレットは反対に水が流れ出る放出口のことを指し、両方とも水に動きがある場所です。酸素が多く、周囲と比べると比較的水質がよいため、魚が集まりやすい環境といえます。

水流に乗って、小魚はもちろんエサを求めて大型魚がやってくることも。とくに、流れがぶつかって渦のように戻る「反転流」は、魚が身を潜めながらエサをねらう絶好の場所。反転流付近をねらってみると、思わぬ1尾と出会えることがあるかもしれません。

ゲーム性が魅力の「イカメタル」

03_ ケンサキイカ釣果

夜の海で灯りをともしてイカをねらう「イカメタル」は、もともと全長の長い胴突仕掛にオモリとスッテを使用した釣法がベース。やがて、オモリの代わりに鉛のスッテを使い仕掛も短くなり、ルアーゲームとしてケンサキイカやヤリイカを釣るスタイルへと進化しました。わずかなアタリを感じ取る繊細な釣り方で、ゲーム性が高い世界を楽しめます。

04_ メタルスッテ

リールにはカウンター付きタイプを使い、水深を確認しながら仕掛を上下させて軽く誘って止める、ゆっくり落として止めるという動作が基本で、止めの瞬間にアタリが出ることが多いのが特徴。また、潮の流れが速いときは「オモリグ」という別の仕掛を使うことで、警戒心が強い大型のイカなどをねらいやすくなります。

季節によって釣れるイカの種類も変わり、初夏はスルメイカ、夏から秋はケンサキイカ、冬はヤリイカのシーズンに。釣ったイカは刺身や天ぷらなど、さまざまな料理を堪能することができます。

釣果を語る合言葉「ツ抜け」

05_ 大漁釣果

釣り人同士の会話でよく耳にする「ツ抜け」という言葉は、魚が10尾以上釣れたときに使われるもの。1つ、2つと数えるときの「つ」が10から付かなくなることが語源で、「ツが抜けた」=「10尾を超えた」ことを意味します。

さらに、100尾の釣果のことを示すときに使われるのが「束釣り(そくづり)」。束は稲などの本数を数える際に用いられている単位で、1束が100を表すことが由来といわれています。

チヌ釣りのスタンダード「バクダン釣り」

06_ 筏釣りシーン

チヌ(クロダイ)をねらう定番の釣法が「バクダン釣り」です。この名前は、着底したダンゴエサが割れる様子が、まるで投下された爆弾が破裂するように見えることから名付けられたよう。ダンゴ釣り紀州釣りとも呼ばれ、ヌカや砂を混ぜたダンゴで刺しエサ(サシエ)を包み、海底まで届けるのが特徴です。
ダンゴはエサ取りから刺しエサを守る役割をするだけではなく、同時に魚を集める効果もあります。

※「バクダン釣り」は、紀州釣りとは異なる釣り方のことを指す場合もあります

07_ ダンゴ

バクダン釣りでは、ヌカの配合や硬さが釣果に大きく影響するため、試行錯誤しながら自分なりのベストな配合を見つけるのも楽しいポイントの1つ。作成したダンゴをねらった場所へ投入し、海底にエサ場を作ることが釣果への近道です。

チヌは季節を問わずねらえる魚。さらに、穏やかな波止や磯場など場所を選ばずに楽しめるため、釣りのターゲットとしてひじょうに人気があります。

イノシシのような縦帯があるイサキの幼魚「うりぼう」

08_ イサキ
出典:写真AC

「うりぼう」と聞くとイノシシの子をイメージしますが、釣りの世界で指すのは体長20cmくらいまでのイサキの幼魚のこと。暗褐色の縦帯がイノシシの子どもに似ていることが名前の由来で、「うりんぼ」と呼ばれる場合もあります。

うりぼうは初夏の海でよく見られる、脂がのった味わい深い魚。刺身や塩焼きにしても美味しくいただけます。

一見難しく聞こえる釣り用語も、釣り人の文化や思いが詰まった大切な言葉。意味を知ることで、釣りの奥深さと魅力をさらに感じられるはずです。