快適「夜釣り」の陸っぱり基礎知識 Enjoy Night Game No.6 快適夜釣りの要
仕掛などのトラブルを最小限に!

陸上から夜釣りを快適かつ安全に楽しむために、前回は「ケミカルライトは使いよう」として、さまざまな使い方を紹介した。今回は実釣の要、仕掛などのトラブルをできる限り少なくする方法。暗いなかでの釣りなので、ちょっとしたトラブルが釣果に大きく響く。快適に夜釣りを楽しむためにはノントラブルに越したことがないのだ。

1.最大の敵は穂先絡み

夜釣りでもっとも多いトラブル……、それはロッドの穂先にラインが絡んでしまうことだろう。絡みに気付かずに仕掛やルアーをキャストし「勢い余ってライン切れ!」ということが実に多い。重いオモリの仕掛、重いルアー使用時がとくにリスキーだ。軽いウキ釣り仕掛や軽量リグの場合のライン切れは少ないが、穂先に絡んだラインを解くのに手間取っていると、大切な時合いを逃してしまう。

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夜釣りで最大のネックになるのが穂先絡み。投げた瞬間にプチッ! 「あ~やってしまった~」ばかりだと大切な時合いが過ぎていく

もちろん日中の釣りでも穂先絡みは起こるが、穂先の状態を目視することが難しい夜釣りでは絡んでいても気付かないことが多い。それだけにキャスト前にラインがスムーズにガイドを通るかを毎回確認する必要がある。リールすぐ上のラインを少し引けばガイドにラインが巻いたり引っ掛かっていないかが分かるので、キャスト前のルーティンにしよう。

また、釣っている最中もラインの穂先絡みは起こる。リールを巻き続けるルアーフィッシングではまれだが、ウキ釣りなどでは知らないうちにラインが穂先に絡んでいて、魚が掛かったときにリールが巻けないというトラブルが起こる。穂先が細い磯竿などの使用時はとくに注意が必要で、アワセの瞬間やリールを強引に巻いたときに穂先を折ってしまうことも少なくない。

穂先にラインが絡んでいると分かった場合も、ロッドをむやみに振って無理やり絡みを外そうとすると、さらに絡みが重傷化、ちょっとやそっとでは絡みが解消できなくなることも。面倒くさがらず穂先部分を手に取り、ライトを当てて確実に穂先絡みを解消しよう。

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キャスト時は穂先のライン絡みの確認を忘れずに!

そうした意味でオススメなのは磯竿ならガイドがない中通しロッド。ノベザオの穂先に糸が絡んでも竿を振ればかんたんに抜けるように、中通しの磯竿でも穂先絡みは同様に解消できる。すぐ穂先に手が届く短いルアーロッドとは違い5m以上ある場合が多い磯竿では竿を置いての絡み解消作業は実に面倒。穂先絡み皆無といってもよい中通しロッドは本当に快適なのだ。

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ガイド付きのロッドと中通しロッド。ガイドがない中通し式はラインが穂先に絡むことがない

2.しっかりサミング!仕掛絡みを防ごう

穂先トラブルだけでなく仕掛絡みも夜釣りでは分かりにくい。ルアーならフックにラインが掛かって、いわゆる「エビ」の状態になってしまうことも。これは仕掛やルアーのキャスト時にある程度は軽減することができる。
投げた仕掛やルアーが着水する手前でラインが放出されるリールのスプールに軽く指を当て、放出されるラインにブレーキをかけてやる(この行為をサミング、フェザリングなどと呼ぶ)。こうすることで先頭を切って飛んでいたウキ、オモリなどが失速、その下に付いているハリ、ハリスなど軽い仕掛部分がウキやオモリを追い越し仕掛全体が真っ直ぐ伸びた状態で着水。これで仕掛絡みが発生しにくくなるのだ。

もちろんこれはウキやオモリが仕掛全体の中ほどにある場合の話だが、胴突仕掛やルアー、テンヤなど、重い部分が仕掛の先頭にある場合でも、着水前に軽くブレーキをかけることでハリ、フックが仕掛に絡むのを防いでくれる。とくにルアー釣りでよく起こるルアーフックがラインやリーダーに絡む「エビ」の状態をかなり回避できる。

ルアーや仕掛のキャストコントロールも重要。暗がりのなかで自分が思った方向、位置に投げられるようにしておくこと。真っ直ぐ投げたつもりでも斜めに飛ばしてしまい横の釣り人のラインや仕掛とオマツリ……。とくに釣りを始めたばかりの人は明るい時間帯にキャストの練習をしておくのが無難だ。もし他の人の仕掛にオマツリさせてしまったら、頭を下げて謝罪し、かんたんに解けないようなら自分の仕掛、ラインを切るのがマナーだ。

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夜釣りではキャストコントロールが最重要。明るいうちにキャストの練習をしておこう

3.ウキ釣りでは沈みすぎないラインを

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とくにウキ釣りではラインの性質(比重)で昼釣り以上に釣り心地に与える影響が大きい

電気ウキ釣りでは仕掛を流しているうちにラインが思いのほか海中に沈んでいることがある。ラインを目視できる日中とは違い暗い夜間はラインの状態が把握しづらいのだ。ラインが沈み過ぎているとアタリがあったきにアワセ遅れが生じたり誘いをかけても仕掛がほとんど動かなかったり……と悪影響ばかり。

ということでナイロンラインで電気ウキ釣りをする場合は水に浮くフロートラインや、沈みすぎないサスペンドラインがおすすめ。ただし風が強い日はフロートラインが軽く水に浮くだけに風の影響を受けやすいので、こんなときばかりは高比重の沈むラインがよい。

また電気ウキ釣りではハリス短めがベター。日中のフカセ釣りのように2ヒロ、3ヒロという長いハリスはトラブルのもと。ハリスが長いと仕掛回収時に足下の障害物(テトラ、磯、貝など)に引っ掛けてしまうことがよくある。日中2ヒロの長いハリスで釣るところでも夜間は半分の1ヒロほどにしておくこと。

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電気ウキ釣りでは日中のフカセ釣りのような長いハリスは必要ない……というより長いハリスはトラブルの元

とにかく暗い夜間の釣りなので思いがけないトラブルが起こることを想定し、可能な限りトラブルが起きない、トラブルを起こさないよう心がけ、楽しく快適なナイトゲームを楽しもう。ライトがなくても手探りでエサ付けができるようにしたり、仕掛のセットなども手早くかんたんにできるよう工夫するのも釣果アップのコツだ。

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シモリ玉、電気ウキ、オモリ、クッション、サルカンなど一式をループ状の糸に通しておけば、夜間の釣り場でもループにラインを通し引き抜くだけで電気ウキ釣り仕掛一式がセットできる。夜釣りだけでなく日中の釣りでも素早い仕掛交換が可能だ