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日頃、堤防そのほかのオカッパリをメインに釣りをするなかで、「沖に出ればもっと大物が…、もっとたくさん釣れるのになぁ」なんて思ったことはありませんか? 釣り人として「もっと釣りたい」欲が生まれるのは必然です。とはいえ、船に乗るには道具や釣り方、そもそも船の乗り方さえも分からず、少々ハードルが高いのも事実。そんなモヤモヤを抱えつつ次のステップアップを夢見るアングラーに向けて、経験豊富なHEATライター陣が優しく指南してくれる当「船釣りのはじめ方」企画。
第10回目の今回は「カワハギ釣り」でステップアップを目指したい方に向けて、末廣さんがそのコツやポイントについてアドバイスしてくれます。
昨今巻き起こっている船カワハギ釣りブームによって、多くの方がカワハギ釣りを愛好しているなか、「横の人は釣れているのに自分は釣れない…」「アタリはあるのに掛からない…」なんて経験をした方も多いハズ。そんな方必見!! その原因と対策についても丁寧に解説してくれていますよ。
カワハギ釣りが面白いそのワケ
まず、船カワハギの基本動作(アクション)として、竿を上下に揺すってカワハギを寄せる「誘い」、オモリを底で止めてアタリを出しやすくする「ゼロテンション」、底にオモリを着けてから、さらに糸を緩めてエサを吸い込ませる「たるませ」などがあります。これらを駆使してカワハギを釣り上げるのですが、その日に応じたパターンを見つけるのが難しいところであり、その反面、面白く沼にはまる理由でもあります。
繊細なアタリを逃さないために
竿の種類と選び方
繊細なアタリを逃さないため、まずは竿の選び方について説明しましょう。
基本的にカワハギ釣りでは専用竿を使用します。長さは1.7m~1.8mが主流となっており、先調子の9:1~8:2の調子や、極端なものでは10:0調子の竿も存在します。穂先(竿の先端部分)の材質によって使い勝手や、アタリの出方、価格帯などが異なります。
【カーボンソリッド】
カーボンソリッドは多くの竿に使われている素材です。反発が強く、「手感度」が出やすいのが特徴。底形状の把握やゲスト魚とのアタリの違いも分かりやすく、価格も比較的安価なものが多いのがこの素材のものです。
【グラスソリッド】
カーボンソリッドよりもしなやかで、魚が違和感に気付きにくいのが特徴です。折れても先端部分のみ交換ができるのが嬉しいところ。
【メタルトップ】
穂先に金属を削り出したものを使用しているのがメタルトップです。カワハギに違和感なく吸い込ませて「目感度」として大きくアタリが表現されます。穂先だけ柔らかいのでゼロテンションを維持しやすいのが特徴です。
個人的には、カーボンソリッド1本、メタルトップ1本の計2本があれば渋い状況でも高活性な状況でも対応できると思うのでおすすめです。また、船上でのトラブルなどもあるため、必ずではないですが2セット準備するのがよいでしょう。
竿の構え方
釣りの際、竿先を下に向けて釣りをしている方をよく見かけます。これだとリールや波にアタリを吸収されてしまい、なかなかカワハギのアタリを取ることができません…。できるだけ目線の位置から胸の高さの間で竿を持ち、海面と竿を水平に保つようにしましょう。
竿と道糸が90°の状態が一番アタリとして出やすく、エサを吸い込ませやすい角度なので、常に意識するとよいでしょう。
ステップアップのために!カワハギ釣りで大切なこと
ここからは、ステップアップするために必要なことと、対処方法について説明していきましょう。カワハギ釣りは「イメージの釣り」とよくいわれます。魚の感触や地形の変化を頭の中で想像しながら、触覚や視覚の情報と一致させていくことが大切なのです。
エサの状態を確認
カワハギ釣りのなかでもとくに情報量を多く得られるのが「エサの状態」です。付けたエサがそのまま返ってくるのか、すべてなくなっているのか、はたまた肝の部分だけなくなっているのか…。ここから得られる情報はたくさんあります。
たとえば付けたエサがそのまま返ってくる場合、誘いが合っていないことがほとんどです。こういうときは仕掛を動かす時間を長めにとって、しっかりカワハギを寄せる動作をしなければなりません。アタリがない場合、仕掛を止めてしまいがちですが、メリハリを付けて仕掛を動かし続けることが大切です。なので、こまめに仕掛を上げてエサがどうなっているか確認しましょう。
また、アサリを塩で締め過ぎると、うまく吸い込んでくれなくなりハリに掛かりません。柔らかい状態から締めるのはかんたんですが、締まり過ぎると戻せないので、少しずつ小分けにして締め方を変えましょう。
小物(アイテム)の使いどころ
カワハギ釣りでは状況に応じてさまざまな小物を使用します。そのなかでもとくに使用頻度の高いものとその使いどころを、いくつかご紹介します。
【中オモリ】
糸に挟んで使うオモリ。仕掛を激しく動かしたり、たるませたりするときに使います。また、繊細なアタリを増幅して分かりやすいアタリにもしてくれます。
【集寄】
鉄板のような形をした中オモリ。光沢があるものが多く、海中で光を反射してカワハギを寄せてくれます。仕掛をゆっくり沈めたいときにも使います。
【ケミホタル・LED・ラトル】
カワハギはピカピカ光るものや、カチャカチャ音の鳴るものにも興味を持つといわれています。オモリ自体に光るものや、音の鳴る仕組みの入ったものもあります。
これらアイテムは、カワハギ釣りにおいて一定の効果が期待できる反面、ただアイテムを付ければよいわけでもなく、何も付けない方がよかったり、自分の作ったアイテムを試してみたりなど、正解はありません。また、アイテムを付けると仕掛をたるませることが多く、潮に流されやすくなり、横の人とオマツリや根掛かりも増えるので、状況に応じて使い分けれるようにしましょう。
アワセ方のミソ
アワセ方は、竿を上に上げるのに1~2秒かけるぐらいにゆっくりと、そしてリールを巻きながら上げるようにしましょう。カワハギの口はひじょうに硬く、ほかの釣りと同様に瞬間的にアワセてしまうとハリが伸びることや、掛からずにそのまま抜けてしまうこともあります。
ゆっくりアワセることで、カワハギ自身が首を振って口の横や唇などの柔らかいところにハリが刺さってくれるので、必ずゆっくりアワセるようにしましょう。
数を伸ばすために重要なこと
状況確認
数を伸ばすためには、まずは「周囲の状況を確認」しましょう。周りを見て釣れている人の真似をすることが大切です。どんな竿でどんな誘い方をしているのか、底から浮かしているのかなど、釣り方が分からない場合はよく観察しましょう。
また、ハリの掛かりどころで魚の活性や誘いが合っているかを見極めることもできます。しっかり吸い込んでいる場合は活性も高く、誘いも合っていますが、唇ぎりぎりに掛かっている場合は、活性が渋いことや誘いが合っていないという判断ができます。そういうときにはハリスの長さを変えたり、ハリの種類(ハゲバリ系、吸い込み系)を変えたりしてみましょう。
トラブルを減らす
次に重要なのは「トラブルを減らす」こと。たとえば、釣れているタイミングでの根掛かりや、エサやハリがなくなってしまってはどうしても数が伸びません。ですから、根掛かりが多い場所ではオモリを底に着けておく時間を短く(底から切る時間を長く)、エサやハリもある程度準備しておく必要があります。
数釣りをするうえでのマナー
近年カワハギがよく釣れており、関東関西のどちらでも数釣りを楽しめる環境になりつつあります。そのような環境を守るためにも、小さいサイズ(13cm以下)のリリースや、産卵時期である4月~8月ごろはむやみに釣らない、必要以上に釣ってしまった場合は極力逃がしてあげる、などを心がけてほしいと思います。ハリがエラまで届いていなければ優しく外して、すぐにリリースしてあげてください。
最後に、カワハギ釣りはとても奥が深く、1尾を釣るためのさまざまな答えがあり正解はありません。名人でもその日のパターンが分からないまま終わってしまうこともあるそうです。ですがそこが面白く、沼に引きずり込まれる人が続出しています。みなさんもぜひ、「なぜ釣れたのか?」という理由を考えてみてください。
「釣れた」ではなく「釣った」を実現するために、いろいろと思考を駆使してカワハギ釣りを楽しんでくださいね!
レポーターREPORTER
2002年生まれ。幼少期からの魚好きがこうじて、5歳のころから釣り竿を握りしめていたのが釣りのスタート。中学・高校と釣りに行く機会は少なかったものの魚に対する熱は冷めず、釣具メーカー・ハヤブサ入社後、その熱量が爆発。ほとんど毎週釣りへ出掛けている。現在は針製造課でハリの製造作業を担当。バス、ワカサギ、イカメタルなどテクニカルな釣りを好み、なかでもカワハギ釣りにどっぷりハマっている。