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HEATでは魚釣りを末永く楽しむために、また、魚釣りの社会的地位をより盤石にするため、「釣りのルールやマナー」に関して、日ごろから協力してくれているライターさん向けにアンケートを実施。その結果と貴重な意見をまとめ、今後の釣り人への指針となるようお伝えしていこうという当企画。
今回は「船釣りのルールとマナー」。船釣りには個人や仲間うちで船を貸し切る「仕立船」と不特定多数の人が乗り合わせる「乗合船」があり、とくに「乗合船」では防波堤の釣り同様、周囲の人に対しての配慮や礼儀が大切だ。また仕立船だからといって何でも自由に行えるというわけでもない。ほかの釣り同様に釣り人として必要なルールとマナーを守って釣りを楽しんでほしい。
船釣りはほかの釣りと違い、数人から数十人までの釣り人が船という閉鎖された環境で肩を寄せ合い、糸を垂れる釣りである。ほかのどの釣り以上に釣り人同士の距離が近い。それだけに気をつけなければいけないマナー、守らなければいけないルールが多いのだ。
予約から出船まで確認事項は多い
乗合船でも仕立船でも、いきなり港に行って乗船できるわけではない。いずれも前もって乗船予約する必要がある。電話予約、ネット予約と遊漁船さんによって形態はさまざまだが、釣行日を決めたら早めの予約が肝心だ。仕掛やオモリ、エサなどは船内で配給もしくは購入できる場合がほとんどだが、予約時点で持参すべきものを確認するのを忘れずに。レンタルタックルが必要なら予約時に申し出ておこう。港への集合時間、出船および帰港時間もかならず確認しておくこと
いよいよ明日乗船という日が来たら、前日の夕方までに予約および翌日のスケジュールの再確認の意味で、遊漁船さんと最終の連絡を取るようにしよう。天候が悪いと予想される場合は、ほとんど前日に出船中止が決定されるので、前日の再確認は必須だ。
集合時間は厳守。1人でも遅刻をすると出船時間が遅くなりポイント到着が遅れ、最終的に釣果に影響を与えることもある。とくに乗合船の場合は多くのほかの釣り人に迷惑をかけてしまう。不慮の事故などでどうしても現場に行けない場合や遅れる場合は、必ず遊漁船の船長もしくは船宿に連絡すること。
乗船時は各船宿のルールや船長の指示に従うこと。釣り座の場所決めや荷物の置き場など、船によってシステムはさまざまだ。
- ●出船前日に予約の再確認
- ●集合時間厳守
- ●ドタキャン禁止
- ●乗船に際しては、各船宿もしくは船長のルールに従う
安全第一を徹底しよう
どの釣りでも同じだが船釣りでも安全装備が必ず必要。ライフジャケットは必着。暑いから、窮屈だからといって乗船中は脱いではいけない。ただし、トイレで用を足す際は着用したままでは無理な場合もあるので、そのときばかりは致し方ない。トイレから出たらすぐに着用しよう。
キャップやハットなども忘れずに。直射日光を避けるだけでなく、不意に飛んできた仕掛やオモリなどから頭部を守ってくれる。
素手だと仕掛やラインをさばくときに手指を傷つけることもあるので、夏場でもグローブ(釣り用手袋)は着用しておくのが無難。釣り上げた魚を触る場合はフィッシュグリップやタオルなどを利用するのが何よりだが、グローブをしておけば不意に魚の鋭い歯や棘が振れた場合の保護になる。ハオコゼなどヒレに毒がある魚は絶対に素手で触らないこと。
毒魚に刺されたり、熱中症、ケガなどで釣りを中断、場合によっては急遽帰港して救急搬送ということもあるので、ほかの釣り人に迷惑をかけないためにも安全装備は釣り人として最低限のマナーだ。
- ●ライフジャケット着用
- ●グローブ、キャップの着用
- ●毒魚に注意
スムーズに乗船し快適に釣るために
さて、ライターさん向けのアンケートの回答で、もっとも多く目立ったのが以下の内容。
- ●荷物の積み下ろしは乗船者全員で協力して
- ●オマツリはお互いさま
- ●船が指定するオモリの号数や仕掛を使う
- ●仕掛の投入は船長の指示通りに
- ●船長に指定されたタナを守る
不特定多数が乗り合わせる乗合船でも、その日一日の釣りをともにする同船者全員を仲間と考えて、気持ちよく釣りが楽しめるよう協力しよう。ほかの釣り同様に、同船者と顔を合わせたら「おはようございます」「よろしくお願いいます」などの挨拶をしよう。
乗船~出船~下船すべてで一致協力
まず乗船時(下船時も同様)の荷物の積み下ろしは、乗船者全員でリレーするなど協力して行うこと。全員スムーズに乗船できればそれだけ出港が早まりポイント到着も早くなるので、結果、釣り時間が増え釣果が上がる確率も高くなる。また、下船時も全員素早く陸に上がれれば家路にも早くつける。
オマツリさせたらまず謝罪しよう
船釣りに仕掛のオマツリはつきものだ。オマツリさせてしまったら、まず相手に対してお互い自分から謝罪しよう。絡んだ仕掛を処理するのはそのあとだ。船によっては船長の助手(中乗りさん)が作業してくれることもあるので、その場合はその助手にお任せ。そうでない場合は自分たちで解くことになるが、どうしても解けない場合は、自ら進んで自分の仕掛を切るようにしよう。
ライン、オモリなどレギュレーションを統一
船宿や船長が指定する仕掛、とくにラインの太さやオモリの号数は順守すること。釣果うんぬんだけでなくオマツリを極力少なくする意味でも大切だ。
とくに乗合船では全員の仕掛レギュレーション(ラインやリーダーの太さ、オモリの号数など)の統一が肝心。船長が指示するものから大きくかけ離れたラインやオモリを使うと、その仕掛だけ仕掛の立ち方(流されかた、水中での角度)が違ってしまうので、間違いなくオマツリを引き起こしてしまう。オマツリを極力少なくするためにも、その船で指示されたレギュレーションを守ることが船釣りでの基本的なルールだ。
船長の指示には素早く従うこと
仕掛の投入、回収は船長の指示通りに素早く行うこと。
船長は船の流れや向きが定まってから合図を出すので、仕掛の投入は絶対に船長の合図があってからが基本。フライングすればその仕掛だけ違った流れ方になり、これもオマツリの原因になる。
また仕掛回収の指示があれば、速やかに素早く仕掛を回収しよう。仕掛の回収は船の立て直しやポイント移動の場合に指示されるので、もたもたしているとほかの釣り客にも迷惑をかけてしまうので注意しよう。
帰港まで誰もが気持ちよく釣りをするために
釣りを開始してから竿を納めるまでも周囲の人と協力し、お互い気持ちよく釣りができるよう心がけよう。自分だけ釣れればよいというスタンスの人に遊漁船を利用する資格はない。
- ●周囲の大物取り込みに協力
- ●釣り中の情報を共有しよう
- ●混雑した船上ではお互い譲り合って
大物の取り込みの邪魔をしないこと
周囲の人に大物が掛かった場合は、最低でも左右両隣の人は仕掛を回収し、その人が魚を取り込むまで見守るようにしよう。無理して仕掛を入れたままだと魚の走り方によってはオマツリしてしまう。
その人が掛けたせっかくの大物をバラしてしまう原因にもなるし、オマツリした自分の仕掛もパーになるなど、ひとつもよいことはない。お互い協力して気持ちよく釣りを楽しもう。
釣り中のコミュニケーションも大切に
乗船時に挨拶するなど同船者とのコミュニケーションが大切のことは先にも書いたが、それは釣り中も同様だ。
たとえば、今自分が釣れたタナ(水深)や誘い方、エサ(複数のエサがある場合)などは率先して周囲の人や船長に伝えよう。すべての同船者が満足のいく釣りを楽しむためにも必要なことだ。もし隣の釣り人や船長に聞かれたら正直に答えよう。
狭い船内なのでお互い譲り合って!
遊漁船のトイレは船主もしくは船尾のどちらかにあることが多い。乗船者が多い場合は船中を移動するのも困難だが、そんな場合はお互い声を掛け合って、船中をスムーズに移動できるようにスペースを開けるなど協力しよう。
釣り終了の合図で素早く仕掛を回収
竿を納める合図が船長から出たら素早く仕掛を回収し、竿を畳んで道具を片付けるだけでなく、自分の目の前の船べりや足元のエサやゴミを回収、汚れていれば海水で洗い流そう。釣った魚を締めて流れ出した血もきれいに洗い流すのがマナーだ。
「船釣りのルールとマナー」まとめ
第3回は船釣りにかかわるルール、マナーをまとめたが、遊漁船という閉鎖されたスペースですべての人が気持ちよく釣りをするために、自分ができることを考え率先するのが何よりだ。
最後に、改めて今回のポイントをまとめておくので、これらのポイントを参考に気持ちよく、安全に釣りを楽しんでいただきたい。
【今回のポイント】
- ●乗船まので確認事項など
- ・出船前日に予約の再確認
- ・集合時間厳守
- ・ドタキャン禁止
- ・乗船に際しては各船宿のルールに従う
- ●安全第一
- ・ライフジャケット着用
- ・グローブ、キャップの着用
- ・毒魚に注意
- ●スムーズに乗船し快適に釣るために
- ・荷物の積み下ろしは乗船者全員で協力して
- ・オマツリはお互いさま
- ・船が指定するオモリの号数や仕掛を使う
- ・仕掛の投入は船長の指示通りに
- ・船長に指定されたタナを守る
- ●帰港まで誰もが気持ちよく釣りをするために
- ・周囲の大物取り込みに協力
- ・釣り中の情報を共有しよう
- ・混雑した船上ではお互い譲り合って