女性のソロフィッシング おひとりさまにおススメの釣りスタイル!
「船釣り」で味わうソロならではの没入感

「ソロ活」という言葉を聞いたことがありますか? 以前は「おひとりさま」や「ぼっち」と呼ばれ、少しネガティブなイメージにとらえられていた1人行動ですが、「ソロ活」は、あえて1人行動するというポジティブなイメージの言葉。積極的に「おひとりさまを楽しむ」、「ぼっちを楽しむ」といったところでしょうか。
最近は「ソロキャンプ」や「ソロ焼肉」など1人行動を楽しむ方も増えており、またそういったおひとりさま客向けのサービスや環境を整えている施設も増えてきました。

では、女性の「ソロ釣り」はどうでしょう? 釣りに行きたいけれど、一緒に行ってくれる人が周りにいない。釣りをやってみたいけど、頼れる経験者がいない…。そんな人にこそ試してほしいのが「船釣り」! 一見ハードルが高そうですが、実は女性の「ソロ釣り」にうってつけの環境なのです。

おひとりさまは恥ずかしい?

01_ ソロ活
出典:写真AC

「あの人、友達いないのかな?」なんて目で見られるんじゃないか…? と不安ですか? そんなかわいそうな目で見られることはありません(笑)。 そもそも自分が思うほど他人は自分のことを気にしていません。グループがたくさんいるようなところに1人で行くのは恥ずかしいという気持ちが湧いてしまいますが、その行きづらいという気持ちは自分が勝手に想像している他人の反応であって、周りの人は1人でいる自分に特別な関心は持っていないそうです。

学生時代は、トイレに行くときも友達と連れだっていた私も、今では1人居酒屋を楽しんでいます。だって 1人じゃないとあん肝ポン酢を何度もお代わりできませんからね(笑)。
釣りも同じです。大好きな釣りモノがあっても、そう何回も続けて友人が付き合ってくれるとは限りません。でも「ソロ釣り」なら好きなだけ連続して同じ釣りに出掛けることができます。「ソロ釣り」をやってないと、10週連続「マダコ船」に乗るなんてなかなかできませんから! (かく言う私自身のことです(笑))

02_ タコ

出船前は「女の人が1人できてる、へー」くらいの感想は持たれるかもしれませんが、いざ釣りが始まればみな目の前の海しか見ていませんし、釣りに集中しています。そしてなんといってもソロの醍醐味は「没入感」です! 同伴者が釣れなかったら気を遣ってしまうし、自分だけ釣れないと逆に気を遣わせてしまいますが、ソロなら誰に気を遣うわけでもなく、ただただ釣りに没頭することができるのです。

03_ 竿先
竿先を見ながら魚のことだけど考えるこの没入感がクセになる
出典:写真AC

船釣りは一定の秩序が保たれている

04_ ルール
出典:写真AC

では、なぜいろんな種類の釣りのなかでも「船釣り」がソロにおススメなのか? 私が思う一番の理由は、なんといっても船長さんがいることによって「一定の秩序が保たれている」こと。
マナーの悪い人がいても船長さんが注意してくれますし、当然ですが安全面も担保されます。大げさに表現すると、船1隻でワンチーム! いってみれば団体行動なわけです。団体行動を乱せば船長さんから注意されるのは当たり前。だからといって、ルールが厳しいとか、船長さんが怖いということはないので、そこはご安心ください(笑)。

また、管理者のいない堤防などでは、早くから場所取りをしていても威圧的な人が割り込んできたり、トイレに行っている間にタックルがなくなっていたり…、そのようなトラブルをたまにSNSで見かけます。ですが、船釣りにおいてはそのような話はほとんど耳にすることがありません。

レクチャーやサポートがある

「船釣り」のよさはもう1つ、船長さんや中乗りさんからのレクチャーやサポートがあるので、やったことのない釣りモノでも、思いきってチャレンジできるということ。船長さんも「釣ってほしい」「釣らせてあげたい」という気持ちで操船しているので、誰にも面倒を見てもらえずに途方に暮れるということもないでしょう。

05_ カワハギ

乗船代がかかるので、堤防釣りやオカッパリに比べると出ていくお金は多めではありますが、安心や安全はお金で買えません。ついでに言うと、船釣りは釣れる(釣れそうな)ところまで連れて行ってもらえるというメリットもあります。
また、ほとんどの船宿がレンタルタックルを用意してくれるので、釣りモノにあわせて道具をそろえる必要もなく、最低限、仕掛やオモリだけ準備しておけばOK。さらに、車を持たない人でも駅からの送迎サービスがある船宿もあるので楽チンです。実は船釣りはそんなにハードルの高い釣りではないのです。

初心者や未経験者がいきなり上級者向けの釣りにチャレンジするのは、場合によっては船長さんや同乗者の方たちに迷惑をかけることになり兼ねませんが、アジやキス、タチウオなど初心者でも楽しめる釣りモノはたくさんありますから、ぜひいろんな船宿のサイトをチェックしてみてください。

船釣りのイベントや教室に参加するという手も

それでもやっぱり1人で釣り船に乗るのには抵抗が…という人は、釣り関連団体や釣具メーカーが主催している船釣りイベントに参加してみるのはどうでしょう? 初心者向けだったり、女性限定のイベントだったりと、参加しやすい内容になっているのでさらにハードルは低いのではないでしょうか? 全員初心者、全員女性というだけでだいぶ気が楽になりますよね。

08_ 電動リール

何を隠そう私の初ソロ釣りも、釣具メーカーが主催していた女性限定のアマダイ釣りでした。今思えば、電動リールデビューもそのときだったと記憶しています。私のほかにもソロで参加している人が多く、孤独を感じることもありませんでした。それだけ機会があったらやってみたいと思っている女性が多いということではないでしょうか?
ちなみに肝心の釣果はというと、エサチェックでリールを巻いてみたら…「アレ? 釣れてる!」という感じでした(笑)。

09_ アマダイ
出典:写真AC

車を持っていない参加者が多いだろうといった想定で、電車で来ても間に合うタイムスケジュールになっていたのも女性限定イベントならではでした。チャレンジしてみない手はないですよね!

船釣りの注意点

ここまでは、船釣りが「ソロ活」に向いているメリットを紹介しましたが、もちろん気を付けなければならない点もあります。

船酔いしやすい人には向かない

当たり前のことですが、船酔いしやすい体質の人には船釣りはおススメできません。私も過去何度か船酔いしたことがありますが、一度酔ってしまうと最悪の場合、陸に上がるまで回復しないということもありますし、なんといってもあの気持ちの悪さは耐え難いものがあります。

10_ アネロン
船釣りする人ならみんな知っている「アネロン」。乗船30分前に服用します

オカッパリよりも体力を使う

航行中はもちろん、釣りの最中も常に船上は揺れているので、体力はオカッパリよりも必要になります。
よろけないよう常時踏ん張っておく、もしくは船ベリに体重をあずけバランスをとる必要があります。また、船内のトイレはマリントイレといって流した汚物をミキサーで粉砕し、海に放出する仕組みなので、できるだけ船が走っているときに済ませるのが好ましいといわれています。なのでトイレに行く際は船の手すりをしっかり持ち、さらにほかの釣り人の荷物(とくに竿先!)などを踏まないよう慎重に歩かなければなりません。それだけで疲れます。

さらに、釣果がよければそれだけ重いクーラーボックスを運ぶことになります。オカッパリでも同じように重くはなりますが、船だと船上の移動や降りる際に、上に持ちあげたり、足元に降ろしたり、抱えて階段を下りたり上がったり…。慣れないうちは大変です。私も初めのころはよく筋肉痛になっていました。

女性ソロならではのこと…
お隣さんとは仲よくが一番

これは釣りの世界に限ったことではないのかもしれませんが、やはり女性1人だと目立ってしまうこと…。船長さんがいるので「一定の秩序が保たれている」とはいうものの、親切心から必要以上にお世話を焼いてくれる方、話しかけてくれる方がいます。釣れないときほど時間があるのでその傾向にあるのですが、なかにはそのタイミングや内容が自分と合わない方もいるかもしれません…。
だからといって邪険にすることも途中で船を降りることもできませんし、露骨に席を変えてもらうのも何だか気まずいですよね。この点はオカッパリと違うところです。ただ、いざポイントに到着すれば、黙々と釣りに集中している方がほとんどです。

私の場合は、むしろ仲よくなっておくことでいざというときに「タモ!!(入れお願いします)」と叫べるようにしています。だってチームですから(笑)! というのは冗談ですが、分からないことがあったり、困ったときに協力し合える程度のコミュニケーションはあったほうがよいと思います。海況によっては何度もオマツリすることもありますからね。
なので、私は乗船したら船長さんはもちろん、両隣の方に必ず「お隣よろしくお願いします」と挨拶をしています。お隣さんとは仲よくが一番です。

11_ タモ

私の場合は、年齢を重ねるうちに恥ずかしいと思うボーダーラインがだんだん高くなって(薄くなって?)るフシもありますが、1人を楽しんでいる女性ってかっこいいと思いますよ。スポーツと違って、男性の方がたくさん釣れる(勝る)ということもありませんし!
さらに嬉しいことに女性割引のサービスがある船宿もあります。男性陣には申し訳ないですが、女性料金(半額)で乗船し、竿頭をとってさっそうと帰る瞬間はたまらないものがあります。気になる釣りモノ、気になる船宿があったらぜひ一度チャレンジしてみてほしいですね。