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車がないと釣りに行けないと思っていませんか? 釣りに行きたいけど車を持ってないし、便乗させてくれる友達もいない…。
最近は車を持たない選択をする人も多く、必要なときはレンタカーやカーシェアリングを利用する人も増えてきました。いざとなれば釣りのときだけ車を手配することも可能です。だからといって、釣りの移動のためだけにレンタカーを借りるのはちょっともったいない気も…。
私はペーパードライバーなので、もっぱら電車釣行なわけですが、ある程度の制約はあれど、電車釣行でも十分に釣りを楽しむことができています。そんな私の経験をもとに、今回は電車釣行のメリット・デメリット、そして気を付けたいポイントを紹介します。
電車釣行のメリット
電車釣行では、車移動につきものである渋滞や居眠り運転の心配がありません。長時間の釣りで疲れた身体に予期せぬ渋滞、休憩したいけれど抜けられない車列、案の定やってくる睡魔…。
一方、電車であれば渋滞の心配がないので行きも帰りも時間が読めますし、到着まで電車の中で仮眠をとることもできますね(寝過ごし注意!)。移動での労力が掛からないのは電車釣行の一番のメリットといえるでしょう。
もう1つ、これは人にもよると思いますが、「お酒が飲める」というのも電車釣行ゆえのメリットですね。電車釣行であれば、釣りをしながらお酒を飲むこともできますし、釣りの帰りに仲間と軽く飲むなんて楽しみ方もできますね。
以前、女性だけで釣り会を企画したときは、釣ったタチウオを駅近くの居酒屋に持ち込み、調理していただいている間に近所の銭湯でひとっ風呂! さっぱりした身体でタチウオ料理に舌鼓! ほろ酔いで解散! という電車釣行ならではの楽しみ方ができました。
電車釣行のデメリットとその対策
渋滞知らずでお酒も飲める! とはいうものの、残念ながら電車釣行には車釣行と比べると制約やデメリットが多いのも事実。ですが、工夫と対策でデメリットを最小限に抑えることができます。
釣りモノが限られる
電車釣行となると、電車に載せられる荷物に制限があります。たとえばJR東日本では下記のようなルールが定められています。
携帯できる荷物で、タテ・ヨコ・高さの合計が250センチ(長さは2メートルまで)以内で、重さが30キロ以内のものを2個まで持ち込むことができます(ただし、傘、つえ、ハンドバックなど身の回り品は個数に数えません)。
出典:JR東日本:東日本旅客鉄道株式会社
写真は私が電車釣行する際の基本的な装備です。クーラーボックスは主に15Lを愛用しています。この装備でタテ・ヨコ・高さの合計は約140cm、重さはだいたい7~8kg、クーラーボックスに氷や飲料、釣った魚を入れればもう少し重くなるでしょう。
自動改札の標準的な幅は、鉄道事業者や駅の規模などにもよりますが55cm~59cm、バリアフリー対応のもので90cm程度です。私のこの装備で幅が40cm、もう少し大きい25Lクーラーでも50cmなので、改札も問題なく通過できます。
大きな魚や長さのあるタチウオを入れられる横長のクーラーボックスも、鉄道会社のルール内のサイズなので車内に持ち込むことは可能ではありますが、さすがに幅をとるため、ほかの乗客の迷惑になることが考えられます。混雑具合などを考えて控えたほうがよさそうです。
魚を縦向きに入れられるクーラーボックスがあれば場所を取らないんですけどね(笑)。
つまり、クーラーボックスは15~25Lくらいまでが電車釣行には適しているといえます。行きの車内でほかの釣り人と一緒になることが多々ありますが、みなさんだいたい同じくらいのサイズのクーラーボックスを携えています。やはりこれくらいのサイズが現実的かと…。
アジ・シロギス・カワハギ・マダコ・イカなどであれば、これくらいのサイズでも十分でしょう。タチウオもサイズや本数にもよりますが丸めれば入ります。タチウオの太さにもよりますが、私の経験ですと、くるっと丸めれば5本くらいは入ったと思います。
釣り場が限られる
自由に移動ができないぶん、釣り場や利用する釣り船は限られてしまいます。
釣り公園の場合は電車だけでなくバスや徒歩といった手段を使えばたどりつけないこともないですが、遊漁船となると出船(受付)時間までには船宿に到着しておかなければならず、電車釣行では間に合わない場合も考えられます。
ですが、最近は駅からの送迎サービスがある船宿もあるので、電車釣行でも遊漁船での船釣りを楽しむことができます。
東京の品川駅から京急線に乗ると、クーラーボックスを携えた釣り人をよく見かけます。途中下車する人を見ては、「ここで降りるってことは、あの船宿かな?」と思ってしまうのは私だけではないはず(笑)。同じ駅で降りて同じ方向に歩いていると、どちらからともなく「○○丸(船宿名)ですか?」から始まり、そこから軽く情報交換が始まるということもあってそれもまた楽しい時間なのです。
釣り場の選択肢は限られますが、送迎サービスのある船宿も多いのでネットなどで調べるとよいでしょう。また、電車釣行をされる方同士で船宿の情報を共有するのもおススメです。
持っていく荷物(道具)が限られる
荷物を厳選しないといけないのは電車釣行の悩ましいとこですね。竿とリールはもちろんのこと、仕掛も多めに持っていきたいし、着替えやレインウェア、ライフジャケットも必要、それに食料におやつ、タオルや保存袋などなど…。心配は尽きません。
しかし、釣り公園や遊漁船ではレンタル品が充実しているところがあり、ほぼ手ぶらで釣りを楽しむこともできます。前述した女性だけの釣り会を企画した際も、実は私以外の参加者は持ち帰り用の保冷バッグとハサミと着替えくらいしか持ってきていませんでした。それでも存分に楽しんでいました。
私の場合、レンタルに頼らず自分のタックルで釣りをするようになってからは、使用する仕掛やオモリは釣りモノに合わせて都度入れ替えるようにし、レインウェアは畳んでコンパクトに収納できるものを選んだり、長靴も折り畳めるタイプのものや、履いたまま電車に乗ってもやぼったくならないデザインのものを選んでいます。(雨の日に長靴を履いて電車に乗るのと同じ感覚ですね)
たとえば、ライフジャケットだけはレンタルにしよう! といった具合に、レンタル品をうまく活用することで、ある程度は荷物減らすことができるのではないでしょうか。
重い荷物を運ばなければならない
荷物を厳選したとはいえ、手持ちで運ぶのでそれなりに重量はあります。しかも帰りはクーラーボックスの中に魚がぎっしり詰まっている(はず!)わけですから。
頻繁に電車釣行する方は、折りたたみ式のキャリーカートを使っているのをよく見かけます。キャリーがあれば、両手がふさがるということもないのでおススメです。片手にクーラーボックス、もう片方で道具の入ったバッグを抱えて歩くのは結構大変ですし、とくに混雑している帰りの車内では動きづらくなります。
最近ではコロコロ付き(キャスター付き)のクーラーボックスも数多く売られているので、ご自身のおおよその釣果(?)や荷物の量に合わせて選ぶとよいでしょう。クーラーボックスは、行くときは収納の役割を兼ねられますので、私は竿受けや仕掛、食べ物やおやつなど、なかで少々揺れても問題なさそうなものや消耗品を放り込んでいきます。ただし、もちろん帰りは魚でいっぱいになっていることを考慮してくださいね(笑)。
電車釣行で気を付けたいこと
車で釣り場に行った場合、ほぼ車内と釣り場で過ごすので、自分が気にならなければとくに着替えを必要としません。しかし、電車となるとほかの乗客と一緒になりますし、混雑していれば密接することもあります。なかには特別な装いで乗車されている人もいるでしょう。ほかの乗客の迷惑にならないよう最低限の清潔感を保ちたいですね。
私が電車に乗る際に準備していることを紹介します。
夏に気を付けたいこと
夏はとにかく汗をかいたときのニオイやべたつきが周りに不快感を与えてしまいますので、その点をとくに注意しましょう。もちろん、着替えるのがベストではありますが、荷物になったり着替える場所がなさそうな場合は工夫が必要です。
私はTシャツ、短パンの下に吸汗速乾素材のインナーを着用しています(袖は手首まで、裾は足首までのもの)。吸汗速乾素材は文字通り「汗を素早く吸収して乾かし、衣服内をドライで快適な状態に保つ素材」です。インナーを着用することで、常にサラサラの状態を保ち、Tシャツや短パンに汗ジミができたり、湿ったりすることがなくなるので自分自身も快適です。
さらに念のため、薄手のパーカーなど羽織れるものを必ず持っていきます。意図せず汚れてしまったりした場合に羽織ったり、腰に巻いたりして汚れが目立たないようにするためです。
「釣りの帰りなんだから汚れていても仕方ないだろ!」という気持ちもあるでしょうが、もしあなたが新調したての高い洋服を着ているとき、隣に汗でベッタベタの人がいたら気持ちのよいものではありませんよね?
可能な場合は着替える、難しいときは吸汗速乾素材のインナーでベタつきを防ぐ、汗拭きシートでにおいを抑えるなど、最低限の清潔感を保ちましょう。
冬に気を付けたいこと
冬に電車釣行する際、私は雨が降っていなくても撥水性の高いレインスーツを必ず持参します。防寒はもちろんですが、汚れ対策も理由の1つです。
最近はワークウェアの専門ショップなどで動きやすい形状のレインスーツが種類も豊富に売られており、しかも折りたたんで収納袋に入れられるものも多いのでかさばりません。釣りをする間は服の上からレインスーツを着用し、釣りが終わったら脱いで丸めてバッグにしまいます。長靴の汚れさえ綺麗に落とせばそのまま電車に乗ることができますよね。
車であれば、予備の防寒着や寒さ対策のアイテムをたくさん車に乗せておけますが、電車釣行となると持っていく荷物(道具)が限られます。さすがに寒い冬の釣りで防寒アイテムをケチってしまうと釣りにも体調にも影響がでてしまいます。保温性の高い素材を使った防寒インナーや、アウトドアに特化したアウターなどを活用して寒さ対策をしましょう。
ウエアだけでなく、靴の中に足先用のカイロを忍ばせたり、ご飯はコンビニ飯ではなく保温ジャーにアツアツのスープを入れたものにしたり…。ちょっとした工夫で冬の釣行を快適に楽しむことができると思います。
一家に一台といわれた時代は終わり、車を持たない生活をする人も多くなってきました。車がないから釣りができないという心配は無用! 電車釣行もポイントをおさえれば十分に楽しむことができます。
釣り場や釣りモノに制限があるのは否めませんが、逆に電車ならではの身軽さ、快適さもあります。釣り公園や船宿もなるべく身軽(気軽)に利用してもらえるよう、レンタル品や送迎などのサービスを用意してくれているので、ハードルが高いなんて思わず、一度、電車釣行にチャレンジしてみませんか?