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それぞれのイカのクセから攻略法を考える
それぞれのイカのイメージを踏まえたねらい方や、フィールドに3種のイカが混在している場合の相関関係から、釣りの攻略を考えてみましょう。
スルメイカは高活性だと表層からボトムまでよく動き回ります。ベイトフィッシュを追い回しているときは、イカジグなどでボトムから表層まで広く速く探ると効率よく釣ることが可能です。レンジをねらうよりもスルメイカの活性に任せて、ジグやスッテを見つけてもらうようにした方が楽に釣ることができます。
そのためには、少し重目のジグやスッテを使用して強めのタックルで釣るといいでしょう。スルメイカにアピールするようなグローカラーや大型のジグやスッテ、プラヅノを用いるのも効果があります。
ケンサキイカはちょうどスルメイカとヤリイカの中間のタイプです。レンジをコロコロと変えて、ベイトフィッシュがいれば盛んに追いかけて捕食しようとします。かと思えば、大型のサバなどのフィッシュイーターが船の集魚灯に寄ってくると身の危険を感じるのか、サッとレンジが深くなったりと機敏に反応します。
ほかのイカと比較するとケンサキイカはレンジにシビアというか、曖昧なところがないのも特徴です。1mレンジが違っても乗る乗らないがハッキリとでます。逆にいえば、レンジをしっかりと押さえておけばよく釣れるということになります。
スルメイカはサイズにもよりますが大きさに差がなければケンサキイカと一緒に泳ぎまわり、同じレンジで掛かることもあります。触腕は長くスッテに対しての射程距離も長めで、高活性ならパシパシっとよくスッテをつかみにきます。このへんもほかのイカよりも手数が多いように思います。
ケンサキイカねらいなら、コロコロ変わるレンジをつねに追いかけながら釣るのが釣果を伸ばすコツです。周りの状況をよく観察してレンジの上がり下がりに気をつけて釣るのがマストとなります。
ヤリイカは3種のなかで一番釣りにくいイカです。華奢なゲソと細く短い触腕でスッテやエギをジッとみて慎重につかみにきます。リグをシッカリと動かして止める時間を長くとるのが有効なことが多いです。そのため波が高いなどリグを止めておけない状況ではとても釣りにくくなります。
レンジはいつもボトム付近が多いのもヤリイカの特徴。そのためレンジ変化は少なくねらいやすいヤリイカですが、条件がいいとボトムから浮き上がってくることもよくあります。ちなみにゲソ切れを防ぐには、カンナバリを松葉バリなど細めのハリに替えると効果があります。
単体のイカなら攻略法も単純化しますが、レンジ変化やイカの活性に影響を与えるそのほかの要因もあります。なかでもそれぞれのイカのパワーバランスはシビアです。スルメイカとケンサキイカ、ヤリイカの相関関係は、運動能力や遊泳力の強さでスルメイカが優勢で、次にケンサキイカ、ヤリイカは一番弱い立場になることが多いです。
3種が混在するフィールドでは、スルメイカが集魚灯に寄ってくるとヤリイカはボトムに張り付くようになります。ケンサキイカはスルメイカのサイズにもよりますがレンジが下がったり、船下に固まったりします。スルメイカが小さい場合は混泳することもあります。
そのほか、大きな魚が集魚灯に寄ってくるとスルメイカやケンサキイカは群れがバラけてしまったり、レンジが下がってしまうことが多いです。ヤリイカはもともとボトムベッタリなことが多いので、レンジの変化はとても少ないようです。
ベイトフィッシュのサイズや魚種にもよりますが、カタクチイワシやマイワシなどが寄り付くとイカは狂喜乱舞して盛んにベイトフィッシュを追い回します。
必ずしもこれまで説明したような状況にならない場合もありますが、大切なのはその時々の状況判断です。あるイカがほかの種類のイカやベイトフィッシュに対して「どのような動きをしたのか?」「レンジが上がったのか? 下がったのか?」といったことを考えながら、釣りを組み立てることが大切になってきます。
チームプレイで楽しく!そしてマナーも忘れずに
イカメタルの楽しさは仲間や同船のアングラーと交流しながら、ガヤガヤと賑やかに釣りができるところです。熱い夏の夜にイカのスミを浴びながらの釣りは、子どものころの水遊びと同様に理屈抜きで楽しいものです。
しかし、船全体が釣れているときは問題ないのですが、釣れないアングラーがいればお祭り騒ぎとはいきません…。やはりみんなが釣れて船が盛り上がった方が楽しさは倍増するはず。なかにはなかなか口に出してレンジを聞けないアングラーもいますので、積極的に声を掛けてレンジを教え合うといいでしょう。自分が釣れてないときも教えてもらえますし、お互い様です。
ちなみに、イカメタルではイカスミをかけたり、かけられたりはよくあること。ですが、思いもよらずスミを同船者にかけてしまったら「スミマセン」の一言はマナーとして当然です。ちょっとした気遣いで楽しく釣りできるのですから忘れずにお願いします。
また、夏の夜の釣りでは、集魚灯にガ(蛾)などの虫も多く集まってきます。虫が苦手なアングラーはサマーパーカー、ドライパーカーなどの薄手のパーカーを利用するのもよいでしょう。スミで汚れる前提なので、黒っぽい服装がおすすめです。着替えも持参した方がいいかと思います。
そして最後に、遊漁船は船長の大切な商売道具です。イカスミで汚れるのは仕方のないことですが、釣り終わりには、自分の釣り座周りくらいはキレイにスミを流しておくくらいの心構えがあってもいいのではないでしょうか。そんなお客さんには、船長もよく気に掛けてくれるようになるものです。
イカメタルは誰にでも釣れてかんたんなときもあれば、なかなか釣れずに苦悶することもよくある釣りです。かんたんだけど奥が深いからこそ、多くのアングラーに支持されています。
三陸地方では従来のイカサビキ釣りからイカメタルへと人気が移行してきました。さらに今年はケンサキイカが大漁で大きく盛り上がりました。来年以降も大いに期待が持てそうです。
ぜひ、楽しい三陸イカメタルにトライしてみてくださいね。
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レポーターREPORTER
フライフィッシング、バス、シーバス、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、エギング、鮎釣りまで、さまざまなジャンルを釣りこなすマルチアングラー。現在はスーパーライトからヘビークラスまでジギング全般と、メタルスッテを中心としたイカ釣りに取り組む。
東北エリアの面白い釣りを発信することで、震災復興に繋げていきたいという熱い想いのもと活動中。
GOMEXUS社フィールドテスター /tamaTV社フィールドモニター /キーストン社フィールドサポーター などを務める。
ブログ:Anglershighごめのブログ