INDEX
- ● Q:どんな水域に生息して、どんなエサを食べているの?
A:温暖な地域の中流域~河口部に群生する『雑食の極み』 - ● Q:テラピア釣りに使えるルアー用タックルって、どんなの!?
A:ミディアムライトのスピニングタックル&PE0.6号ならどこでも使える - ● Q:使用ルアーそれぞれの特徴は?どんな風に操作する?
A:尻下がりでただただ直進するだけのスティックルアーが最強! - ● Q:テラピアはかんたんに発見できる?それとも隠れている?
A:テラピアは岸沿いの「陰」にウジャウジャ群れている - ● Q:テラピアは人間に慣れていて図太い?それとも用心深い?
A:警戒心がとても強いので忍者のごとくアプローチするべし! - ● Q:ルアーフィッシングだけに…ファイトはどうなの!?
A:引きはブラックバスよりも強い…かも!? - ● Q:総括。テラピアはゲームフィッシュになり得ますか?
A:答えはYES。お手軽に楽しめる『怪魚ゲーム』でルアーの経験値を上げていこう!
かつては「イズミダイ」とも呼ばれ、回転寿司をはじめとした食品業界で重宝されていた魚・テラピア(※)。そんな食用魚として輝いていたスターダムな日々はとうの昔、今や“得体の知れない魚”としてぞんざいな扱いを受けることが多く、釣りの対象魚としても「?」な存在です。んが、しかし! ルアーでねらえば「ゲームフィッシュ」としての片鱗を垣間見ることができる…かもしれない!?
※標準和名「ナイルティラピア」はスズキ目カワスズメ科に属す淡水魚。似た魚のカワスズメ同様、外来種の魚です
Q:どんな水域に生息して、どんなエサを食べているの?
A:温暖な地域の中流域~河口部に群生する『雑食の極み』
私が住んでいる沖縄県は周囲360°が海に囲まれているので、いろんな魚が釣れるだろう…と九州以北にお住まいの方々は想像されるかもしれませんが、実はけっこう難しいのです。オカッパリのルアーフィッシングならば、なおさらかもしれません。
というのも、沖縄県(今回は本島に限る)は大雑把に言えば珊瑚礁でできた島で、沿岸部には遠浅の珊瑚礁が広がり、魚たちが身を潜めるには格好の場所です。しかし、オカッパリで釣りをする側の立場になれば、根掛かり多発地帯なのでとても厄介です。正直、ルアーフィッシング初心者に沖縄でのオカッパリゲームはオススメできません。
そこで、ルアーフィッシング初心者にオススメしたいのが、沖縄本島の河川ならばどこでも見ることができる『テラピア』です。テラピアの原産地はアフリカとされていて、基本的には温暖な気候を好む傾向にあり、日本において沖縄はテラピアが生息するには格好な地域といえるでしょう。
そんなテラピアの食性は雑食のようで、小魚や甲殻類などの生物はもちろん、木の実や草など、水中に漂っているものなら何でも口にする勢いです。
「何でも食べるなら、ルアーで釣るのもかんたんじゃない?」という声が聞こえてきそうですが…意外とそうでもないんです。確かにパンを丸めてエサにすれば、子どもでもかんたんに釣れてしまうこともあります。ただ、他魚種同様にルアーとなると話は別で、私の経験上、ルアーの種類に対してとても“セレクティブ”な感じがします。そこで、オススメのルアーセレクトを含めて、タックルの選び方から話を進めましょう。
Q:テラピア釣りに使えるルアー用タックルって、どんなの!?
A:ミディアムライトのスピニングタックル&PE0.6号ならどこでも使える
上の写真は実際に私が使用しているタックル&ルアーですが、ロッドはテレスコピック式6ft3in(6フィート3インチ)のスピニングタイプで、ミディアムライト相当のパワーがあります。そして、リールはスピニングの2500番にPE0.6号&6~8lb(ポンド)リーダーを巻いています。
ルアーはエリアトラウトゲーム用がメインで、1g以上のフェザージグ、2.5~3gのスプーン、そしてスティックタイプのルアーになります。ルアーのフックはすべて太軸仕様に交換していますが、その理由は後述します。
「エリアトラウト用ルアーを扱うには、タックルバランスが強すぎるのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、もちろんそれなりの理由があります。沖縄でテラピアが生息している河川(ほぼ、どの河川でも姿を確認できます)はほとんどの場合、足場がとても高くてランディングに苦労します。ネットを携帯すればよいかもしれませんが、それよりも身軽さを優先してライトに楽しみたいのが本音です。
そこで、少しパワフルなタックルを使うことで、ランディングの際に30cmクラスなら問題なく引き抜くことができます。ルアーのフックを太軸仕様に交換するのも、引き抜くときに曲がってしまうのを防ぐ目的があります。また、PEラインも0.6号ならば、1gのルアーも“それなりに”飛ばすことができ、テラピアを誘えるだけの距離なら十分に取ることができます。
Q:使用ルアーそれぞれの特徴は?どんな風に操作する?
A:尻下がりでただただ直進するだけのスティックルアーが最強!
次にルアーですが、ベーシックなところでいえば2.5~3gのエリアトラウト用スプーンが飛距離も出しやすいし、タダ巻きだけでも十分に釣れます。しかし、少々スレやすいのが難点なので、ローテーション用にカラーは何色か持っていた方がよいでしょう。
フェザージグは水中でフェザーがフワフワと広がってアピール…のようなイメージかもしれませんが、実際はフェザーが水中ではまとまってクネクネと動き、ワームのようなアクションになります。スプーンにスレてしまったときのフォローには、このナチュラルなアクションがとても有効です。
そして、私のテラピアゲーム史上で今もっともアツく、信頼できるルアーがスティックルアーです。これもタダ巻きだけでOKなんですが、ほかのルアーと比較して圧倒的に「連発」します。アクションを見るかぎりではユラユラもピリピリもせず、尻下がりでただただ直進するだけなんですが…この細くて長い存在感が、テラピアを刺激するのかもしれません。
Q:テラピアはかんたんに発見できる?それとも隠れている?
A:テラピアは岸沿いの「陰」にウジャウジャ群れている
テラピアは基本的には群れで行動する魚のようで、生息する場所さえ見つけられればウジャウジャいます。ただ、岸沿いやオーバーハング下といった、いわゆるシェードに身を隠していることが多いです。
Q:テラピアは人間に慣れていて図太い?それとも用心深い?
A:警戒心がとても強いので忍者のごとくアプローチするべし!
ルアーだろうとエサだろうと、テラピア釣りでもっとも重要とも思えるプロセスが「アプローチ」です。というのも、テラピアはとても用心深いので、物音がしたり釣り人の影が水面に落ちたりすると、群れはあっという間に散ってしまいます。姿勢を低くして、足音を立てずにできる限り存在感を消しつつ、ルアーを前述のスポットまで送り込んでください。
ルアーのアクションは前述にもあるように、基本的にはすべてタダ巻きです。河川の流れの上流側に向かってキャストし、ルアーが進むコースを自分でコントロールしながら、シェードまでルアーを導いていきます。初心者の方が一発でできるとは思えませんが、繰り返し練習することでできるようになりますので、粘り強くキャストし続けてください。
Q:ルアーフィッシングだけに…ファイトはどうなの!?
A:引きはブラックバスよりも強い…かも!?
テラピアがルアーを食ったときのアタリですが、PEラインを使っていることもあり、「ガツン!」とハッキリ伝わってきます。ただ、テラピアの口はけっこう硬いので、追いアワセを入れた方が無難です。
ファイトはテラピアの種類(厳密には複数の種類がいるようです)や生息場所によって変わるとは思いますが、沖縄のテラピアは総じて引きが強く、同サイズのブラックバスと比較しても体高がある分力強く感じます。また、このファイト中でもフックの交換は重要なファクターとなり、ノーマルのエリアトラウト用フックではかんたんに曲がってしまうので、やはり太軸仕様に替えておくのがベターでしょう。
ひと通りファイトを楽しんでテラピアがおとなしくなったら、慎重にゆっくりと引き抜きましょう。力にまかせて一気に引き抜こうとすると、ラインに負荷が掛かって切れてしまうこともあるので注意してください。
Q:総括。テラピアはゲームフィッシュになり得ますか?
A:答えはYES。お手軽に楽しめる『怪魚ゲーム』でルアーの経験値を上げていこう!
テラピアのルアーフィッシング、いかがでしたでしょうか。少なくともこれまでは釣りモノとして微妙な位置にいる魚でしたが、ルアーフィッシングを楽しみながら学ぶには、格好のターゲットだと思います。また、ちょっと古代魚っぽい、日本古来の魚には見られないイカツいフォルムも魅力だと思います。生息域がほぼ一緒なだけに、チヌ釣りの参考にもなるかもしれませんので、ぜひチャレンジしてみてください!
レポーターREPORTER
バイク雑誌→釣り雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライター&編集者に。個人的な趣味としてもバイク&釣りを楽しんでいるが、完全にヘタの横好きで費用対効果がひじょうに悪いのが悩みドコロ…。