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これからアウトドアのハイシーズンを迎えて一層盛り上がる“釣りキャン”。
木々だけでなく魚たちも含めて、自然があっという間に色を変えていく秋は、他の季節以上に「季節を釣る」ことができるシーズンだと思うのですが、その秋を体で表現するかのような美しい魚といえば、ヒメマスを忘れるわけにはいきません。
ヒメマスといえば十和田湖
こう言い切ってしまうと少々強引な気もしますが、十和田湖は本州で一番最初に北海道からヒメマスが移植され養殖事業にも成功した場所であり、それに尽力した和井内貞行氏の偉業を讃えてヒメマスを「和井内マス」と呼んだり、十和田湖には和井内というポイントもあるほどです。
渓流をはじめ、できれば魚を放流せず自然のありのままでいてほしいと普段から思っている自分の考えとは少し矛盾しているのかもしれませんが、十和田湖を開拓し100年以上前からこの湖を釣り場として発展させようとしていた人たちが残した魚を、今僕たちが釣っていると思うと胸が熱くなるものがあります。
ヒメマスとベニザケ
ヒメマスとはベニザケ(紅鮭)の陸封型や湖沼残留型と呼ばれるタイプのことで、海に降らずに一生を淡水で過ごします。ベニザケ同様にとても美味しい魚で、中禅寺湖・湯の湖(栃木)、芦ノ湖(神奈川県)、青木湖(長野県)、西湖・本栖湖(山梨県)にももともとは北海道から移入され、各地のグルメとしてもよく知られています。
40cmを超えれば大型なヒメマスですが、秋になると美しい婚姻色に染まり、その名の通り紅く染まったベニザケをそのまま小さくしたような可愛らしい姿は一見の価値あり。湖からそこに流れ込む川へと遡上をする様子は見るだけでも満足できてしまうかもしれませんが、せっかくの釣りキャンなので、ぜひ実際に釣ってその手に抱いてみましょう。
CAMP&FISHINGに最適な湖
キャンプ場や野営地が湖畔にあり、美しい森に囲まれた水辺のすぐそばにテントを張ることができる十和田湖は、ある意味極上の釣りキャンのロケーションといっても過言ではないでしょう。実は以前に雪の十和田湖での記事を書いたことがあるのですが、まだ緑が残り紅葉に染まり始める十和田湖もまた格別です。
暗くなる前にベースに戻り、タープを張ってカレーを仕込んだり魚を焼いたりしながら、明日はどこを釣ろうか相談。次第に夜も深まればお酒もまわり、行ってみたい場所やいい大人が将来の夢なんかを語り始めるものです。キャンプや釣りだけでなく自然の中で過ごすということはそんな魔力のようなものを持っていると思っていて、少々荷物は嵩むかもしれませんが、ダッチオーブンやコーヒーセット、焚き火台やお気に入りのチェアなど、「釣り具以外」の道具をぜひ充実させてみてください。そうしておくと”もしも魚が釣れなくても…”、最高のキャンプだったと思い返すことができるのでオススメです(笑)。
ヒメマスを釣ろう
年によって当たり外れが大きいといわれるヒメマス釣りですが、「岸際を回遊、または産卵を意識して接岸する魚」と「沖のブレイクにいる魚」の両方を意識してしっかりねらえば、決して難しい釣りではないと思います。僕はルアーでしかねらったことはありませんが、参考までにそのときのタックルをご紹介します。
※ルアー・フライだけでなく十和田湖はイクラなどを用いたエサ釣りも可能で、食べる分をキープして持ち帰ることができます
魚が多い年はウェーディングしている足下を泳いでいくほどで、基本的に岸際の釣りはサイトフィッシングとなります。
群が回ってきたらそれに合わせてスプーンを通したり、産卵を意識した居着きやお互いを威嚇し合っているヒメマスには、サスペンドミノーなどを何度も鼻先に通したりします。追ってきたところピタッと止めたりしながらリアクションで口を使わせることが多いです。取り回しのよい長さの渓流タックルなどをそのまま流用できると思います。
沖目をねらうときは遠投できるタックルで、ジグやスプーンで釣る人が多かったです。僕は普段から中禅寺湖の釣りで使い慣れているスライドスプーンでボトムとブレイクをかすめるようなイメージで魚を釣ることができました。
10月1日解禁が待ちきれない秋の十和田湖
まさにこれから解禁日を迎える十和田湖。地元のおじさんが「いい年と悪い年が交互にくるぞ」なんて言っていたので、全然釣れなかった去年(少なくとも僕は…)を振り返ると今年は期待していいのかな? なんて思ってしまいます。
よく聞かれるのが「食べもしないのに楽しいの?」とか、「そんな遠くまで行かなくても釣りできるじゃん」などなど、そう言われてしまうと確かにその通りなのですが、季節を釣る楽しみは釣果だけでは計れないものなのです。ただ1枚真っ赤なヒメマスの写真を収めることができたら、長い道のりも疲れも忘れてしまうものだったりします。そのなかでも秋のヒメマスは特別なものだなぁと…。
決してアクセスのよい場所でもなく、気軽に釣りにいくにはあまりに深い自然の真っ只中にあるフィールドかもしれませんが、いつか絶対に訪れてほしい素晴らしくプライスレスな場所であることは間違いありません。
詳しい期間やルール等は漁協HPを参考にしてください
十和田湖増殖漁業協同組合
https://www.towadako-gyokyou.com/
写真提供:YUKIHARANO WORKS
レポーターREPORTER
栃木県在住。国内のトラウトフィッシングから海外の釣りまで、人生を豊かにするライフスタイルとしての釣りを日々模索し発信しているフィッシングピーターパン。PIKE STREET MARKETディレクター。ひと×コト×Sakana栃木PRアンバサダー。
サポートメーカー:Huerco、BIGFISH1983、Rマジックテスター。VARIVASフィールドモニター、Patagoniaプロセールスプログラム。
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