釣った魚をおすそ分け!
「フィッシュシェアリング」で子どもたちに笑顔を届けよう!

「たくさん釣れたからどうぞ貰ってください」
釣り人なら一度は言ってみたい台詞ですね。しかしそれも度重なると、近所ではなかなか貰ってくれる人もいなくなってしまいます…。一方、今各地で行われている「子ども食堂」では物価高騰などにより経営が苦しく、食材の寄付を必要としています。また、単に寄付するだけでなく、「釣り人ならでは」の子どもたちを楽しませてあげられる企画もあります。釣り人の力で子どもたちが笑顔になれる、素敵なことだと思いませんか?
今回は、そんな活動についてお届けします。

子ども食堂とは?

みなさん「子ども食堂」って聞いたことありませんか? その背景はさまざまありますが、今では多くの子ども食堂が地域の方の運営のもと、子どもたちが集まって気軽に食事ができる場所として開催されています。

01_ 子ども食堂

地域の方がボランティアで運営している子ども食堂では、食事代は無料、もしくは100~300円程度の格安で食事を提供しているため、食材費や運営費の確保に苦心されています。みなさん子どもたちに美味しくて栄養のあるご飯を食べさせてあげたいと思い、限られた食材のなかでさまざまな工夫をしつつ、料理を作られています。

武庫川渡船の「フィッシュシェアリング」

04_ 武庫川渡船

兵庫県尼崎市にある「武庫川渡船」さんでは、尼崎の海や武庫川で釣れた魚を釣り人から寄付してもらい、食材を必要とする地域の子ども食堂へ寄付する「フィッシュシェアリング活動」を行っています。

子どもたちに美味しく食べてもらうため、生きた状態でいただいた魚をすぐに血抜きし、内臓処理をして3枚におろしたうえ、塩で水分を出して臭み処理も行ってくれています。こうして処理した魚を、次は鮮度を保つために真空パックで瞬間冷凍するのです。
新鮮で臭みが少ないので、家ではあまり魚を食べないと言っている子どもたちも「このお魚は美味しい!!」と大喜びで食べてくれます。

釣り人ならではの企画!? こんなことやってみました

実は私も職場で子ども食堂を運営しており、釣り人ならではの企画も行っています。

タコの釣れだす5月には武庫川渡船さんにお願いしてタコをいただき、子どもたちが自分で処理する体験を行いました。もちろん自分たちでさばいたタコはタコ焼きにして美味しくいただきました。タコを釣ったことがある人ならさばくのもカンタンですが、子どもたちはタコに触ることも初めての体験。茹でると赤くなっていく姿に「タコは初めから赤いと思っていた!」とびっくりしていました。

また別の日には武庫川渡船さんから生きたままスズキチヌをいただき解体ショーを行いました。
フィッシュグリップ越しに魚の力強い生命感を体感し、その大きな魚が目の前で絞められてさばかれていく過程を見て、スーパーの切り身しか知らなかった子どもたちは生き物の命をいただいているありがたみを感じていたようでした。

夏には「賀茂川漁協」の組合員の釣り友やインスタグラムで知り合ったアユ釣り名人からたくさん天然アユをいただき、炭火で焼いて提供したこともあります。京都や奈良の料亭で食べられている高級な天然アユを出してあげられるのも、アユ釣り名人の協力のおかげです。

また、アユ釣りではアユを生きたまま運びます。その知識を活かして養殖場で買ってきたアマゴを生かしたまま運び、子どもたちにつかみ取り体験をしてもらいました。自分で捕まえてさばいたアマゴの味は格別だったようで、みんな頭から尻尾まで骨も残さず全部食べていました。

19_ アマゴの塩焼き

釣り人にできること

子ども食堂によって規模や頻度もさまざまです。もしお近くに子ども食堂があるようでしたら声をかけてあげてください。きっと「魚をいただける」となると喜ばれるはずです。ただ、魚をそのまま渡されても処理できないかもしれません。大きな魚は3枚に、小さなアジ(小アジ)などは内臓処理まではしてあげてください。釣り人なら魚の処理は得意ですもんね。

20_ 鮮魚を冷凍

また、各市町村にある社会福祉協議会では地域の子ども食堂の情報を把握していますので、「こういった魚がこれくらいあるけど子ども食堂に寄付できないか?」と問い合わせてみてください。
スーパーでよく見かけるハマチやタイ、アジやサバなどは料理方法も分かりますが、タチウオやグレ、ニジマスなど普段あまり家庭で料理されない魚の場合は、カンタンな料理方法も伝えてあげると喜ばれますよ

「釣り人の社会貢献」というと難しく感じますが、「釣れた魚をおすそ分け」となるとカンタンにできそうに思いませんか? 個体数の減少につながる過度のキープにならない範囲で、大漁のときはぜひ地域の子どもたちへ釣り人からの「おすそ分け」をしてみてください。

参考:

こども食堂ネットワーク : こども食堂で食べたい人
http://kodomoshokudou-network.com/

むすびえ – 法人 全国こども食堂支援センター
https://musubie.org/

レポーターREPORTER

東村 良平
プロフィール:東村 良平
兵庫県在住
海のエサ釣りに始まり、ライトゲーム、青物釣り、タイラバを経て、ここ数年は渓流ルアーやエリアトラウト、アユ釣りなどをメインに、家族で釣りや川遊び、キャンプなど自然を満喫。「ライトガチ」をモットーに道具や方法にこだわり過ぎず、楽しむことに全力を注いでいる。
インスタグラム:
@azuman1980 (URL:https://www.instagram.com/azuman1980/)