寒い季節、食べたくなるのはやっぱり鍋料理ですね。釣り上げた魚を食材に鍋を囲むのは、アングラーにとって冬の楽しみ方の王道だと思います! 今回はそんな鍋の季節にオススメの「マダラジギング」のご紹介です。
東北の冬の魚の代表格であるマダラは白身で淡白な味わいの魚。鱈(たら)チリなどの鍋料理の食材としても人気の対象魚です。東北の三陸沿岸では、そのマダラを比較的浅いポイントでねらえるのが冬から春にかけてのシーズンなのです。
この時期のマダラは食い付きがよく釣りやすいうえに、大型魚もねらえてアングラーには人気の釣りとなっています。寒さが厳しい時期ですがジギングの入門にも最適で、防寒にさえ気を遣えば楽しく釣りができるシーズンでもあります。
そんな冬から春にかけてのマダラジギングについて、「これからやってみたい!」というアングラーにむけて解説したいと思います。
マダラの生態
マダラは北海道はもちろん、山陰地方から北の日本海側や太平洋側の房総海域まで、広く分布しているようです。どちらかといえば冷水を好む習性を持ち、適水温を求めて暖かい海域では深い水深に生息しているとされています。
東北地方の太平洋岸など、親潮の影響をうける海域では生息する水深は浅くなる傾向があるそうです。三陸沿岸では海水温が上昇する夏から秋でも深くても300m程度に生息し、産卵期には100m前後の浅場に移動するようです。また、産卵は12~3月にかけて段階的に行われ、産卵後は体力の回復を図るため、しばらくは浅場に生息し水温の上昇にともなって次第に深場に移動するのがマダラの1年の行動パターンといわれています。
海中ではボトム中心に生息。天然礁や岩盤底などのハードボトムや沈船、人工魚礁などに好んで棲みついているようです。捕食するベイトフィッシュの動きによってはボトムから活発に浮上してエサを追うこともあります。食性は貪欲で食べられるものなら何でも食べる大食漢として有名で、魚はもちろんエビ、カニやイカなど手当たり次第に食べるようです。
水圧の変化には強くないため、一気に垂直移動すると目や内臓が飛び出てしまいます。このことから、釣りをする場合はボトムから30m程度までがねらうレンジとなります。
三陸マダラジギングは、
シーズンによってねらう水深が変わる
三陸沿岸のマダラは1年を通して釣ることができます。夏のマダラ釣りは300m前後の水深をねらい、冬から春にかけてはマダラの産卵行動にあわせて200~100m前後の水深をねらいます。とくに産卵後のシーズンでは50m以浅での釣りも成立します。
マダラジギングで使用するジグのウエイトは深場での釣りでは400~600g程度、浅場では100~200g程度をメインに使用します。使用するジグが軽い浅場でのマダラジギングの方が、ライトタックルを使用できるので人気があり、広く親しまれています。浅場でのマダラジギングの盛期は1~3月です。
1月ごろはまだ、産卵前、産卵後の魚が混在する時期ですので、ねらう水深は100m前後となりますが、シーズンの進行にともなってねらう水深はどんどん浅くなっていきます。ほとんどの魚が産卵し終えた時期であれば、50m前後の水深にポイントが点在するようになります。
シャローレンジで釣れるようになると手返しもよくなるうえ、マダラの食い付きもよく数も釣れるようになります。そのうえ、大型のマダラもねらえて楽しいシーズン盛期です。
浅場でねらうマダラジギングのタックル
三陸の浅場でねらうマダラジギングのオススメタックルはスロー系ジギングのタックルです。もちろん青物ジギングのタックルをすでにお持ちなら流用も十分可能です。これからジギングを始めるアングラーには汎用性の高さ、巻取りの強さから、スロー系ベイトタックルをオススメします。
- ●ロッド: スロー系ジギングベイトロッド 6~7ft /1.5~3番パワークラス
- ●リール: ベイトジギングリール1500番クラス
- ●ライン: PE1.2~2号
- ●リーダー: フロロカーボン5~10号
- ●ジグ: スロー系ジグ100~200g
浅場とはいえねらえるサイズは最大10kgを超えることもあります。マダラは根に突っ込むことはほとんどありませんのでライトタックルでも大型魚を獲れますが、トルクフルなファイトが持ち味の魚ですので、ラインシステムやアシストフックまわりの強度も大切になってきます。バランスよくタックルを組んでください。
アシストフックは市販のものも多く出回っています。とくにマダラジギングで定番ともいえる、タコベイトの付いたアシストフックも多く販売されています。
タコベイトは吸い込み型の捕食をするマダラには効果的であり、アシストフックの根掛かり防止にも一役買ってくれます。また、マダラの食いが渋いときにも効果がありますので忘れずに持参した方がいいでしょう。
この時期のマダラジギングに大切なアイテムとして防寒具も欠かせません。冬場の釣りですのでしっかりと防寒対策をして釣りを楽しみたいものです。防寒の基本はまず手足をできるだけ濡らさないこと、肌の露出を少なくすることが大切。防寒仕様のレインスーツ、グローブはもちろん携帯カイロ、ニット帽などは必携です。
ベイトの「メロウド」を意識したアクションで!
産卵後のマダラは100mより浅い海域で体力を回復するために手当たり次第に捕食するようになります。三陸の浅場でのベイトフィッシュは東北地方で「メロウド」と呼ばれるコウナゴ(イカナゴの稚魚)がメインです。近年はメロウドの生息数が不安定な傾向がありますが、沿岸部にとどまるマダラが強く惹きつけられるベイトフィッシュであることに変わりはありません。
メロウドは夜間、表層まで浮上してプランクトンなどを捕食しています。日中はボトムに張り付くようにだんご状に群れを形成するそうです。マダラはこうした群れに襲い掛かり、はぐれたメロウドを追い回して捕食するといわれています。
浅場ねらいのマダラジギングでは、こうしたベイトフィッシュを想定したジグアクションを意識して釣ります。基本的には、ジグの投入後にボトムをとって10mほどスローピッチジャークで誘い、再度ジグをフォールしての繰り返しで探っていく方法です。時折り、ジャカジャカとリールの巻きを入れてリズムを変えてみたり、フォール中に一旦ラインの出を止めてみたりするのも効果がありますので、試してみてください。
スローな誘いが有効な場面、潮止まりで食いが渋い場合はリアクションで食わせるなどの小技が必要な場面もあります。また、ジグのカラーがバイトに繋がることもあります。ジグアクションの変化でマダラの反応がよくないときはカラーローテーションも効果的です。
こうした浅場でのマダラジギングでは、水圧の変化で魚が弱ることもなく最後までよくファイトしますので楽しく釣りができるはずです。目が飛び出ることもないので、小型が釣れた場合は積極的にリリースするなどして楽しむことをオススメします。
50m前後の浅場で釣れる時期はマダラのジグへの反応も良好ですので、クーラーがすぐに一杯になってしまうこともありますよ。
浅場のマダラジギングはバイトの数が多く楽しいものです。浅いため従来のマダラジギングと比較すれば体力的な負担も少ないのが特徴。また、タックルも幅広く使いまわせるので、マダラジギングのシーズンが終わってからもいろいろ使うことができます。まさにジギング入門にはうってつけの釣りモノですので、ぜひチャレンジしてみてください。
レポーターREPORTER
フライフィッシング、バス、シーバス、ロックフィッシュ、フラットフィッシュ、エギング、鮎釣りまで、さまざまなジャンルを釣りこなすマルチアングラー。現在はスーパーライトからヘビークラスまでジギング全般と、メタルスッテを中心としたイカ釣りに取り組む。
東北エリアの面白い釣りを発信することで、震災復興に繋げていきたいという熱い想いのもと活動中。
GOMEXUS社フィールドテスター /tamaTV社フィールドモニター /キーストン社フィールドサポーター などを務める。
ブログ:Anglershighごめのブログ