春夏秋冬!釣果アップの勘所 No.3 タチウオ電気ウキ釣りのツボ教えます!
「空振りしにくいアワセのタイミング」

「釣果アップの勘所」第3回は秋の夜長、じっくりアタリを待つタチウオの電気ウキ釣りについて。この釣りで最大の勘所がアワセを入れるタイミング。電気ウキが見えなくなるほど深く沈み込んで、ここぞとばかりアワセを入れても空振りすることが多いのが、この釣りの最も悩ましい部分であり、また釣り人を熱くさせる要素でもある。しかし、あまりにも空振りの連続だと当然釣果は伸びず……。そこで、少しでも「空振り三振」を少なくするためのアワセのタイミングについて考察してみよう。

「たまたまフッキング」は稀
食い逃げが多発するのが電気ウキ釣り

防波堤や護岸からのタチウオねらいは夕マズメからの朝マズメまでの夜釣りがメイン。多くの人は日暮れ前から日没後、少しの時間だけ手軽に楽しむ半夜釣りがほとんどだろう。釣り方は主に関西では古くから盛んな電気ウキ釣りテンヤの引き釣りに加え現在はワームを使ったルアーフィッシングも一般的になった。

時間帯による有効な釣り方として、タチウオの活性が高い日没前後の夕マズメは、きびきび誘って食わせる引き釣りかルアー。そして日が沈んでタチウオの動きが緩慢になってからは、じっくりアタリが取れる電気ウキ釣りに分があるというのが古くからのセオリー。活発に動き回らずエサを激しく追わないタチウオには、海中でふんわり漂う電気ウキ釣りのエサのほうが確実に食わせやすいからだ。

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どっぷり日が暮れ活発にエサを追わなくなったタチウオには電気ウキ釣り。海面に揺らめく赤い灯、黄色い灯が引き込まれ……

高活性の時間帯にテンヤやルアーを常時引き続けシャクリなどのアクションを入れる釣りでは、そのテンヤやルアーの動きそのものがアワセになるから、それほどアワセのタイミングをシビアに意識する必要はない。自動的にフッキングするとまでは言わないが、それに近い感覚である。

しかし電気ウキ釣りでは事情が違う。たまたま仕掛を動かしたときにハリに掛かることもあるが、それはひじょうに希。タイミングよくアワセを入れないとエサだけ食い逃げされる空振りが多発してしまう。

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勝手にハリ掛かりすることが稀な電気ウキ釣りはアワセを入れるタイミングが重要だ

仕掛の流しっぱなし厳禁!
マメなラインメンディングを心がけよう

では、どのタイミングでアワセを入れるのか。かんたんに言うと、エサがセットされたハリをタチウオがくわえ、勢いよく走り出しエサを飲み込んだときだ。文字にするとかんたんなようだが、これが実に難しい。

電気ウキ釣りでは常時アクションをかける引き釣りやルアーとは違い、道糸や仕掛にある程度のたるみ、いわゆる糸フケが付きものだ。海中でエサをふんわり漂わせ活性が下がったタチウオに食わせるために必要なファクターではあるのだが、これがアワセのタイミングの取りづらさの原因でもある。

「それじゃあ、なすすべナシじゃないか?」というと、そんなことはない。最大の対処法はラインメンディング、いわゆる道糸管理だ。かんたんに言うと電気ウキを流しっぱなしにしないこと。必要以上に糸フケができてしまい、アタリがあっても間違いなくアワセ遅れになってしまう。

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仕掛を流しっぱなしにせず常時、糸フケを最小限にすることがアワセを確実にする

ウキが沖に流れていく場合は道糸の出をセーブし、竿を少し起こせば電気ウキに力が伝わる状態を保つ。ウキが左右に流れる場合や手前に流れ寄せてくる場合は、リールを巻くなどして発生した糸フケを常時解消する動作を継続すること。

かんたんな方法としては、頻繁に竿をあおってウキを動かし、そのときできた糸フケを巻き取ってやればよい。これは海中のエサを動かす誘いにもなるのでアタリの頻度も確実に増える。また、タチウオが居食い(知らない間にエサに食い付いていること)している場合にはアワセにもなるので有効だ。

ウキを引き込んだタチウオの動きが
最高速に達したと感じたときこそベスト!

しかし、ここまでやってもクリーンヒットしないことが多々あるのが電気ウキ釣りの奥深さだ。前述した通り、アワセのタイミングはタチウオがエサをくわえて勢いよく走り出したとき。それを察知するためにも糸フケを必要最低限にしておかねばならない。タチウオが電気ウキを海中に引き込む動きを、竿先でわずかに感じられるようにすること。糸フケを極力少なくすのはこのためだ。

ここですぐにアワセを入れてはいけない。まだハリが口中に入っていない可能性が高いのだ。アワセのベストタイミングは、そんなタチウオの動きが最高スピードに達した(と感じた)瞬間、分かりにくければタチウオの動きが一気に加速した(と感じた)瞬間でもよい。タチウオの動きを竿先で察知したらテンションを掛けすぎず、その動きに合わせて竿先を送り込んでやる。短いルアーロッドでは難しいが5m前後と長くストロークがある磯竿では有効だ。

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電気ウキ釣りでは長い磯竿にアドバンテージあり。ストロークがある分、送り込み幅が広い

スピニングリールのベールオープンでフリーに道糸を出してやる方法もある。しかし、実際のタチウオの動きとはタイムラグが生じるためアワセのタイミングが取りにくいと、リールのベールを閉じたままストッパーをオフにしローターの逆転で道糸を出す人もいる。このとき磯釣り用のレバーブレーキ付きスピニングを使うとラインの出を指先1本で瞬時にストップさせ、素早いアワセが可能なので便利だ。

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ローター逆転でラインを送り込み、ここぞというときにすかさず逆転をストップしアワセを決めるのにレバーブレーキ付きリールが役に立つ

これで100%フッキングするか? といえばウソになる。とくにフッキングしにくい低活性時の打率1割が2割、3割、4割にアップする程度……といったところ。それでも、電気ウキ釣りの平均打率3割超えがなかなか難しいという現実を踏まえれば御の字といったところだろうか。

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目指せ首位打者! アワセのベストタイミングを身体で覚えよう!

※次回は磯のグレ。フカセ釣りのウキ下設定に関するツボをお届けする予定です