春夏秋冬!釣果アップの勘所 No.4 寒グレ釣りのツボ教えます!
「フカセ仕掛のウキ下設定」

「釣果アップの勘所」第4回は磯からフカセ釣りでねらう「寒グレ」のウキ下設定について。たとえば魚探をにらんだ船長がねらうべきタナを随時指示してくれる船釣りなどとは違い、磯のフカセ釣りはねらう方向、距離、そして深さ(タナすなわちウキ下)という立体的なファクターすべてを釣り人自身が推理、推察しながら釣りを組み立てていく。それだけに難しい釣りではあるのだが、それがグレのフカセ釣りの魅力でもあるのだ。そのなかでも今回は水温が低い冬場にグレをねらう際のウキ下の決め方、調整方法に限って基本を紹介しよう。

エサ取りが少ない寒期で
ハリス2ヒロの遊動ウキ仕掛を想定

たとえば紀伊半島の三重県、和歌山県や四国の徳島県、高知県、愛媛県など太平洋に面した磯では年が明けるころになると海水温が20℃を切って17~18℃にまで下がり寒グレ釣りの本番を迎える。梅雨時期など水温が20℃以上と高くハリに刺したオキアミのエサを瞬時にかすめ取るエサ取りの小魚が多い時期のグレ釣りはウキ下1ヒロ(約1.5m)、矢引き(約1m)といったひじょうに浅いウキ下が基本で、水面下の浅いタナにグレの姿を肉眼で確認できることも多い。しかし、冬場の釣りはグレはおろかエサ取りの姿もまったく見えないということもよくある。いったいどれほどの深さにウキ下を決めればよいのか初心者がもっとも悩む部分だろう。

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年が明ければ本格的な寒グレシーズン突入! エサ取りが少なく釣りやすいがウキ下設定が釣果のカギを握る

近年「ウキフカセ釣り」とも呼ばれる「フカセ釣り」はウキ釣りの一種である。フカセ釣りの「フカセ」とは、仕掛をふわふわと「フカセる(漂わせる)」という言葉に由来している。したがってグレのフカセ釣りはオモリなしからオモリを使うにしてもできるだけ軽いもの(重くて1号ぐらいまでのことがほとんど)というのが基本。

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グレのフカセ釣りはウキ釣りの一種。条件に合わせ浮力、大きさ、形状の違うさまざまなウキを使用する

またウキ(浮き)釣りとはいうものの、浮かないウキを使い、ゆっくり沈めながらねらうことも多い現在のフカセ釣りだが、ここでは最も基本的な「浮くウキ」と必要最低限のオモリを使った遊動ウキ仕掛での釣りに限定してウキ下の決め方を解説しよう。ちなみにウキ下とはハリからウキ止めまでの長さのことである。

※ハリスの長さは2ヒロ、オモリ負荷Bのウキにガン玉(オモリ)Bを道糸とハリスの結び目部分付近に1個の仕掛を想定

適正なウキ下は
ハリにオキアミが少し残るタナ!

磯に出てポイントに立ったら足下にシャク1杯、2杯のマキエを入れてみる。その瞬間にワッと小魚が集まってくるようならウキ下は浅め。ハリス2ヒロの仕掛なのでウキ止めの位置は道糸との接続部分からすぐ上(20~30cmぐらい)でよい。ほとんどハリスの長さだけのウキ下で釣る格好だ。逆にエサ取りの姿がまったく確認できないようならウキ止めの位置を直結部分から上へ1ヒロ、すなわちウキ下3ヒロで釣りを開始しよう。

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まずは磯際にマキエを打って足下に群がる小魚の動きを観察しよう

これでアタリがありグレが釣れれば、そのウキ下は適正なので、しばらくそのまま釣り続けよう。しかし数回仕掛を流してもエサを取られないようなら少し(数10cmぐらい)ずつウキ下を深くしていく。逆にすぐにエサがなくなるようなら少しずつウキ下を浅くしていく。サーチするのはエサが完全にハリからなくなるウキ下より少し浅くしたタナ。数10秒ほどして仕掛を上げてみてエサのオキアミの頭だけがなくなっていたり、ハリにオキアミの一部だけが残っている状態が確認できれば、それが適正のウキ下だ。

フカセ釣りはマキエをする釣りなので時間とともにグレは浅く浮いてくる、ウキ下は浅くなる……というのが理想で釣りやすいパターンだが、潮の流れや水温のちょっとした変化でもグレが食うタナは変化するので、常時エサの取られ方を観察し、まめにウキ下調整するのが好釣果を得るコツだ。

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グレが食ってくるタナがめまぐるしく変化することも。まめなウキ下調整を心がけよう

一気に大胆に!
遠投深ダナねらいもときにはアリ

ここまではあくまで基本。比較的グレの食い気がある場合の話で、このセオリーがまったく通用しない場合もある。急激な水温低下や潮の流れが悪い場合、いくらウキ下を微調整しても結果が出ない場合が当然ある。そんなときは一気にウキ下を深くして遠くのポイントに仕掛を遠投して入れてみるのもひとつの方法。

オモリ負荷の大きいウキにチェンジ、オモリも重く(たとえば5B、1号など)し、ウキ下を一気に深くして探ってみよう。ウキ下2ヒロからウキ下5~6ヒロまで落としたらアタリが出た……ということもよくある話だ。ただし根掛かりしないウキ下ということをお忘れなく。

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磯の近くでアタリがない場合は、思い切って深いウキ下で遠投も有効

もしくはウキ止めなしの全遊動「スルスル釣り」とも呼ばれている方法だ。この場合はオモリは可能な限り軽くする。風がなく潮流も緩ければオモリ負荷ゼロのウキでオモリなしでもよい。ゆっくり深いタナまで仕掛を落としていき「どこかでグレが食ってくれれば儲けもの」的な釣りではあるが、ノーマルな釣りでまったくアタリがない場合は起死回生の一発が期待できる。

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ノーマルな釣りでアタリがなければウキ止めなしの全遊動も試してみよう

とにかく状況がころころ変化するのが磯釣りの常。細かいウキ下調整を心がけつつも、ときには大胆に変化をつけ臨機応変にねらってほしい。ここではスルーしたが実際には細かい仕掛の設定やウキの流し方、マキエの打ち方などが複雑に絡みあう釣りなのでかんたんではないが、それがグレのフカセ釣りの魅力でもあるのだ。

※次回は波止釣りで生きエビを効率よくマキエする方法をお届けする予定です