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オカッパリから多種多様な魚が釣れるルアーとして人気を博している、ハヤブサの「ジャックアイ」シリーズ。優れた遠投性能&アピール力でオールマイティに使える“エース”、緩やかなフォールで見せつけて食わせる“スロー”、余計な操作がいらない、ただ巻くだけでOKというビギナーに最適な“マキマキ”など、魚と同様にそのタイプも多種多様だ。
そのなかでも今回注目したいのが、今夏に発売になったばかりの最新モデル「ジャックアイ フリフリシャッド」。これまでジャックアイシリーズとは一線を画す、メタルヘッド&ワームという構成要素だけに、その開発過程にはこれまでとは違ったアプローチがあったのだろうか?
その辺りを根掘り葉掘り、開発を担当した田中氏に聞いてみた。
ハヤブサとしては初の試みとなる
「ジグヘッド&ワーム」の激戦区に敢えて挑戦!
2022年7月、ハヤブサのショアジギング対応メタルジグ「ジャックアイ」シリーズに加わったNEWアイテムが「ジャックアイ フリフリシャッド」。その名前から想像するに、シャッドテールを振りまくってフィッシュイーターにライブリーなアピールができる…という感じかもしれないが、それ以上にハヤブサがワーム素材を使うということ自体が、何だかピンとこない。コレは新たなチャレンジ、ということだろうか?
田中さん曰く、「確かに、これまでのジャックアイシリーズはメタルジグをメインとした“カタい”ものがほとんどでしたが、新しい市場に食い込むという意味でも、すでに激戦区ともいえるヒラメ&マゴチをメインターゲットに据えた“ジグヘッド&ワーム”というカテゴリーに敢えて参戦することにしました。
フリフリ=シャッドテールを振りまくって…というご指摘は、まさにその通りなんですが(笑)、より水流を受けやすくするようにシャッドテールの角度をほぼ直角にして、面積を大きめにすることでワイドなフリフリを追求しています。そこにリップヘッドが作り出すローリングが加わるので、ヤンキーが肩振って闊歩するような動きになりますね(笑)」とのこと。
ヤンキー歩きは魚が釣れる動きなんですね…。まあ、ソレは置いておいて、リップヘッドがローリングアクションを作り出すということだが、その仕組みはどうなっているのだろう? さらに田中さんに聞いてみた。
「リップヘッド」が水流を受けて激しくローリング
同時に揚力を発生してレンジキープをアシスト
「斜め下に切れ込むような面に水を受けると、その水を後方に逃がす過程で左右に傾いては戻るという動きを繰り返すのです。それが後方に装着されたワームにも伝わってローリングアクションとなります。同時に、水を受けることで浮き上がろうとする揚力も発生するので、中速~低速リトリーブでもレンジキープをしやすくなっています。
そのリップは20g→30g→40gと重くなるに従って水を受ける面積を大きくして、より大きな揚力を発生しやすくしています。これによりウェイトが変わっても、等しくレンジキープできるように調節しているんです」
確かに、オカッパリゆえに飛距離を考えれば20g、30g、40gというラインナップは理解できるが、そのぶん沈みやすくなるためレンジキープという意味では決してかんたんではなくなる。とくにヒラメやマゴチといったシャローのサーフエリアにいるような魚をねらうのなら、ターゲットの頭上をしっかりとレンジキープできるルアーは必要不可欠だろう。ただ、40gともなればボートゲームでのディープエリアにも使えるのでは?
20m台のディープエリアならば
ボートからのキャスティングゲームも面白い!
「20mディープくらいまでのキャスティングゲームなら、スイミングで誘うこのルアーの利点を活かせる使い方ができます。ただ、それ以上に深いとキャスティングしたとしても、ラインの角度が限りなくバーチカルに近い状態でルアーを操作する形になるので、このルアーの利点が活かせなくなります。深すぎるレンジには、残念ながらオススメはできませんね~」とは田中さんの弁。
ただ、このフリフリシャッドは、ただ巻きだけでなくストップ&ゴーでボトムバンプさせ、ベイトがボトムでエサをついばんでいる姿を演出することもできるという。しかし…2本のトレブルフックがあるだけに、根掛かり必至なのでは……?
ボトムで立つので根掛かり激減!
ロックフィッシュ&グルーパーにも使えそう!?
「実はこのフリフリシャッド、ボトムで“立つ”んです。重いヘッドに対してワームには一定の浮力があるので、リップの平面部分が着底して斜めに立ち上がります。トレブルフックはワームに刺して固定しておけばボトムに触れる確率はひじょうに少ないので、かんたんに根掛かることはないと思います」
ならばロックフィッシュやグルーパーといった、ボトムに潜んでいる魚たちをねらうこともできそうか!?
「オオモンハタやスジアラ、ベッコウゾイなど、大型に成長する魚たちなら、現在発売されている4in(インチ)サイズでちょうどよいかもしれません。ただ、ガシラ(カサゴ)やキジハタといった中~小型の魚たちに対してはルアーサイズが少々大きいので、実はダウンサイジングモデルも検討しているところです。私個人としては……欲しいですね!」
おぉ! まさかの追加サイズ案がすでにあるとは!! ただ、あくまでも「検討中」とのことなので、しばしの様子見というところか…。
カラーラインナップは絞り込んだ6色
各色にギミックを盛り込んでアピール力を強化
シャッドテールワームのカラーに関しては、とくにヒラメには“ド定番”ともいえるカラーラインナップの6色を用意。絞り込んだ…といえば聞こえはイイ。しかし、今どきのカラーラインナップとしては…少なめ?
「確かに…もう少し増やしたいところではありますが、ハヤブサとしてはワームというカテゴリーにまだまだ強くないので、今後に期待していただければ(汗)。ただ、ひとつのカラーに対してさまざまな要素を盛り込んでいます。
たとえば、ベイトフィッシュがキスのときに効果的といわれるパール系カラーにはグロー発光する染料を、渋いときでもバイトを得やすいクリア系にはケイムラ発光の染料をそれぞれ加えたりしています。また、ラメに関してはすべてのカラーでワームが形成できる限界まで練り込んで、フラッシング効果を高めているのも注目していただきたいポイントです」と、少ないながらも1色に対して可能な限りの強化を盛り込んでいるという田中さん。
だだっ広いサーフなどで遠くに散らばる魚からの注目を集めるカラーとしては、必要十分といったところか。
歯が鋭い魚たちを相手にしてもかんたんには壊れない!
硬めのワーム素材を採用
ちなみに、パッケージ内にはスペアワームが1本同梱されているが、スペアワーム3本だけの交換用ワームセットも発売されている。ただ、比較的ハリのある硬めのワーム素材なので、かんたんには壊れない(≒千切れない)という。
「ヒラメやタチウオといった歯が鋭い魚を釣ることが前提なので、少しでも長持ちするように硬めのワーム素材を採用しました。1パッケージあれば相当持つとは思いますが、リップヘッドはそのままにワームの部分だけカラーローテーションをする前提ならば、カラー違いの交換用ワームセットをいくつか携帯しておくのはアリだと思います。ただ、僕はA型なので、個人的にはヘッドとワームのカラーが違うのはガマンできませんけど(笑)」
こんな几帳面な(?)田中さんが開発した「ジャックアイ フリフリシャッド」。これまでのジャックアイシリーズにはない、ソフトでライブリーなアピール力を前面に押し出して、ヒラメ&マゴチのフラットフィッシュはもちろん、より多彩なターゲットをねらうことができるはずだ。
この秋、ぜひともトライして欲しい!