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秋から冬にかけて人気の釣りモノといえば、船から釣るヒラメ。そのなかでも小アジや小サバといった生きエサを使う泳がせ釣りは長年人気のカテゴリーで、ハヤブサでも「船極ヒラメ 固定式シングル/トリプル」といった泳がせ釣り専用仕掛けが、ロングセラー商品として高い人気を誇っている。
そんな「船極ヒラメ 固定式シングル/トリプル」のそれぞれに、この秋から追加サイズが登場。詳しい商品紹介と使い分け方を、ハヤブサ商品開発課に所属する担当の小南氏に話を聞いてみた。
本命のヒラメじゃなくても
青物ならば確実に獲りたいから大型バリ&太糸仕様
「船極ヒラメ 固定式シングル2本鈎2セット」には親鈎18号~20号の3サイズが、「船極ヒラメ 固定式トリプル2本鈎2セット」には親鈎20号の2サイズがそれぞれサイズ追加となったのだが、そもそもその理由とは?
「秋から冬にかけては海の表層水温は低く、深場の底層水温の方が安定して高いケースが多いです。そうなると魚たちは底層に集中して捕食活動を行うようになります。ヒラメはもともと“底物”なので、水深が浅かろうと深かろうと底付近に隠れて回遊してくるベイトフィッシュを待ち伏せしますが、この時期はヒラマサやカンパチといった大型青物も底層で過ごすことが多く、ヒラメねらいでも予想外の嬉しい“ゲスト”として掛かることがあるんです」。
「ただ、彼らはパワーファイターなだけにヒラメ用の仕掛けではラインの強度が持たず、ブチブチと切られてしまって獲れないことが多々あるんです。そこで、ハリの大型化、幹糸&ハリスの太径化で、大型青物にも耐えられるサイズアップ版を追加したというわけです」と、小南さんがサイズ追加の経緯を説明してくれた。
確かに、本命ではないが青物が獲れれば、何だかんだ言ってその日の釣りは大成功と言ってもよいだろう。逆に、切られてしまった場合はストレスMAXである、たとえソレが本命のヒラメではなくても。
異なる孫バリを使うことで
魚種や地形・地質の違いにアジャスト
では、今度は“シングル”と“トリプル”の使い分けを小南さんに解説してもらおう。基本的な仕掛の形は双方とも一緒だが、唯一違うのは孫バリがシングルフックなのか、トリプルフックなのかという部分だ。
「では、共通部分の特長から説明します。両方ともハリスは親バリのチモトに『枕結び』という方法で結び付けられています。こうすることでハリのタタキ(刃物のように平らな部分)がハリスから離れ、不意にハリスが切れてしまうことを防止できます。また、ハリ自体もテコの原理で起き上がる姿勢になるので、魚の口へのハリ掛かりが向上するという効果もあります。さらに、ハリのフトコロ中央付近にはソフトビーズ(発光玉)を装着することで生きエサの口や鼻に掛けてもズレにくく、ハリ穴を広げてしまうのも防げます」。なるほど、ハリの結び方ひとつでハリス切れを防げるとは知らなかった。生きエサも食われそうになるとけっこう暴れるので、そんなときにハリ穴が広がってエサが逃亡…なんてトラブルも防げるわけだ。
「そして、肝心のシングルとトリプルの使い分けについてですが、本命のヒラメをねらうならば、トリプルの方をおすすめします。実は、ヒラメを含めた歯が鋭い魚というのはエサを食うのが“ヘタ”なんです。というのも、歯でエサを攻撃して動きが鈍くなったところで初めてしっかり食おうとするので、アタリ→即ハリ掛かりとはなりにくい。ところが、孫バリがトリプルだと先述のエサを食う過程で、3つのハリ先が魚体のどこかに絡み付いて掛かりやすくなるんです」と、小南さん。トリプルフックは親バリに対してアシスト的な役割を果たすということだ。
「その一方で、シングルは“ゲスト”である大型青物を釣るのに向いています。ヒラマサやカンパチはヒラメのような歯がないので、エサを食べるときには一気に吸い込んで丸飲みです。だからハリはエサごと口の中に入るので、シングルでも掛かりやすいんです。
さらに、底付近を探る釣りなので、当然根掛かる確率も高まります。とくに岩礁帯や海藻が多い底質ならば、シングルのほうが根掛かりにくいでしょう。逆にトリプルはヒラメが潜んでいやすい、砂地で使うほうが根掛かりにくくスムーズな釣りができますね」。
シングルとトリプル、上手に使い分けてヒラメも大型青物もゲットだ!!
メーカーがわざわざ“似て非なるもの”を発売するということは、やはりそれなりの理由があるということなのだ。ケース・バイ・ケースで使い分ければ、ヒラメはもちろん青物のキャッチ率もこれまで以上にアップするはず。この冬、ぜひとも「船極ヒラメ 固定式シングル/トリプル」で、脂が乗った大物をキャッチしてほしい!