INDEX
長年釣りをしていると当たり前のことでも、釣りを始めて間もない人にとっては「目から鱗!」「そうだったのか!」という、ちょっとしたノウハウをお届けするのがこのコーナー。釣果に直接かかわることではないけれど、アナタの釣りが快適になるかもしれない!? ほんのちょっとの工夫とアイデア。
今回からは防波堤などで誰にでもかんたんにアジやイワシがねらえるサビキ釣りがテーマ。もっとも手軽なのは足下、つまり竿の真下をねらう方法だが、ほんのちょっとステップアップ! 広範囲をねらえる「飛ばしサビキ」を覚えると釣りの幅が広がり釣果アップ間違いなし! ということで今回の【前編】は、飛ばしサビキに欠かせない「遊動ウキ仕掛」のセット方法あれこれ。
釣果アップに直結する
飛ばしサビキの利点
「飛ばしサビキ釣り」というのはオーソドクスなサビキ釣りが竿の真下だけしかねらえないのに対し、遊動ウキを利用し仕掛を沖に向かって投げることで、より広い範囲をねらえるサビキ釣りのことだ。遊動ウキとは道糸に取り付けた「ウキ止め」を使い仕掛を沈める深さ(ウキ下)を設定できる便利なシステムだ。そのウキ止めを移動させることで海面直下の浅いタナから海底近くの深いタナまで自由自在に仕掛を入れることができる。
早朝や夕方などマズメ時と呼ばれる時間帯、とくにアジは防波堤からすぐの浅い場所にまで寄ってくるが、日中は沖の深い場所に移動してしまうので、竿下ねらいのサビキ釣りでは、なかなか釣果を稼ぐことができない。そんなときに有効なのが飛ばしサビキ釣りというわけだ。
たとえば「小アジ専科 下カゴ飛ばしサビキセット リアルアミエビ」や「コンパクトロッド カンタン飛ばしサビキセット 4本鈎1セット」といった、マキエカゴ、ウキ、ウキ止めまで付いたオールインワン仕掛を使えばかんたんに飛ばしサビキ釣りができる。
サビキ仕掛部分だけは消耗品なので次回釣行での再使用はおすすめできないが、ウキやカゴは再利用が可能。ところが一旦仕掛を外してしまうと「飛ばしウキのセット方法が分からない」という人も多いのではないだろうか。
遊動仕掛に必要不可欠!
ウキ止めを作ろう
ということで飛ばしウキ仕掛のセット方法。使用するタックルはリール竿にスピニングリールの組み合わせが大前提で、竿は3~5mくらいの磯竿(1.5~2号程度)がベストだが、なければバスロッド、シーバスロッドなどルアー用でもかまわない。ただバスロッドもシーバスロッドも磯竿にくらべ全長が短いので、その場合はショートロッド対応の短めのサビキ仕掛(ハヤブサなら『かんたんサビキ釣り仕掛ピンク&ケイムラ 3本鈎2セット』など)を使うこと。もしくは長いサビキ仕掛を半分にカットして使用してもよい。リールは2000~3000番ぐらいのスピニングリール。道糸はナイロン2.5~3号が、そこそこ丈夫で使いやすいだろう。あまり太い糸を使うと、その抵抗で仕掛が飛びにくくなる。これを100mも巻いてあれば充分だ。
このようなタックルを使い遊動ウキ仕掛をセットするには道糸に「ウキ止め」が欠かせない。オールインワンタイプ飛ばしサビキセットの使用後、ウキ止めがしっかり残っていれば、そのまま使って問題ないが、もし緩んでいたり道糸ごと切ってウキ止めがなくなっている場合は、新たにウキ止めをセットし直そう。
道糸に通して引き抜いて締めるだけでウキ止めができる市販品を利用するのがもっともかんたんだが、なければウキ止め専用糸(ソフトなウーリータイプが道糸を傷めずおすすめ)を利用する。それもなければリールのナイロン道糸の端を切ってウキ止めを作ってもかまわない。ウキ止めの作り方は意外とかんたん! サルカン結びのユニノットの応用(図参照)だ。
遊動システムの基本①
環付きタイプウキのセッティング
ウキ止めがセットできたら遊動ウキ仕掛の完成目前。重要なのはウキがウキ止めの位置で、それ以上移動しないようにすることだ。以前使用したオールインワン仕掛のウキ(環付きタイプ)が残っていれば、最下部の「遊動ウキツール」の小さい穴に道糸を通すだけでよい。通し終えたら道糸の端に小型サルカンを結ぶ。このサルカンにサビキ仕掛側のスナップを掛ければ釣りが開始できる。
遊動ウキツールがない場合は以下のようにシモリ玉などを利用しウキをセットしよう。
●環付きタイプのセット方法①
ウキ本体の下部の穴に直接道糸を通す場合は上下のシモリ玉でウキを挟み込むようにする。
●環付きタイプのセット方法②
スナップサルカンをウキ下部に取り付け、同様にシモリ玉で上下を挟み込む。もしくは下部(仕掛に近い方)だけウキゴムなどのゴム管にしてもOK(これは釣り中にサルカンの結び目が傷まないようにするため)。
●環付きタイプのセット方法③
ウキ下部にセットしたスナップサルカンのサルカン部の穴をペンチなどで半つぶし(ウキ止めが通らない程度)の状態にする。こうすれば上部のシモリ玉不要。下部はゴム管などを通しておく。
遊動システムの基本②
中通しタイプウキのセッティング
さて、ここまでは環付きタイプのウキの話だったが、飛ばしサビキ用として発泡素材などの丸い中通し(道糸がウキ内部を通る)ウキも市販されている。中通しウキを使う場合も遊動システムの基本的な理屈は変わらない。要はウキ止めでしっかりウキが止まり、サルカンの結び目が傷まないようにするだけだ。方法はウキ上下をシモリ玉で挟み込む、もしくは上にシモリ玉、下部にゴム管を通すだけと実にシンプル。
ただ飛ばしサビキ用の中通しウキの穴は道糸の抵抗を小さくするために、かなり大きめにできているので、シモリ玉やゴム管はウキの穴の径よりも大きいもの選ぶことが肝心。シモリ玉が小さいとウキの内部を通り抜けてしまうので注意。ゴム管も小さいとウキ下部の穴に入り込み、ウキが動きにくくなってしまう。
マキエカゴの重量よりも
ウキのオモリ負荷はややオーバー気味に!
さあ、これで遊動ウキ仕掛のシステムがご理解いただけたと思う。気を付けなければいけないのはウキを新調する際に、そのウキのオモリ負荷を確認すること。
サビキ仕掛に使用するマキエカゴにはオモリ(6号前後が多いが、もっと重い金属製のカゴもある)が内蔵されているので、その重量とウキの浮力を合わせるのが基本だ。カゴの重量に対してウキの浮力が足りないと、魚が掛かっていないのにウキはどんどん沈んでしまう。これでは釣りにならない。カゴの重量よりウキの浮力がやや勝つぐらいがアタリも分かりやすく釣りやすいだろう。たとえばカゴが6号ならウキの浮力(オモリ負荷)は8号ぐらいが適正だ。
ということで今回はここまで。次回【後編】ではウキのタイプ別(環付き、中通し)の長短、ウキ下の決め方など実際の釣りについて説明したい。こうご期待!