INDEX
鋭い歯を持ち下アゴのほうが出ていてちょっとすきっ歯のイケメン「タチウオ」。銀色に輝くのはグアニン質の層で覆われているからで(ちなみにこのグアニンはマニキュアのラメに使用される)、ウロコがないタチウオは、このキラキラと輝くグアニンという物質で体の表面を保護しています。“cutlass fish(湾曲した刃をもつ剣・短剣のような魚)”と呼ばれるにふさわしい魚です。獲物をねらうときに垂直に立って泳ぐから「立ち魚」と呼ばれたともいわれるタチウオについて、今回は良型が楽しめる錦江湾のナイトゲームと、タチウオの雌雄の疑問について紹介したいと思います。
夜に会いたいナイトタチウオ
私は錦江湾内オフショアでタチウオ釣りをしますが、ショア・堤防などからもねらえるので気軽に楽しめますね。釣り方はウキ釣りやテンヤ釣り、ルアー(ジグ)釣り、天秤エサ釣りなどいろいろありますが、私はいつも(船からの)テンヤ釣りを楽しんでいます。
私のナイトタチウオは遊漁船に乗って、18時半出船の半夜便でお世話になります。
なぜ夜なのかというと、暗い海上で集魚灯に集まる魚たちをエサにタチウオが浅場へやってくるからです。そしてドラゴンと呼ばれる体長が120cm以上のものは、錦江湾では夜の釣りで釣果が多いような気がしています。夜は水深80m~100mくらいで釣れることが多いです。
幽霊魚と呼ばれるタチウオは群れで移動するらしく、釣れるときは入れ食い状態で2桁釣果はすぐということもあれば、なかなか釣れないときもあり「神出鬼没」です。だからこそ楽しくてやめられませんね。
先日のナイトタチウオはドラゴンこそ出ませんでしたが、指3本~5本がアベレージで1m以上の良型のものばかりでした。
ナイトタチウオはデイタチウオよりも随分と水深が浅いところで釣れるので、手返しよく楽しめます。集魚灯にいろんなゲストがきてくれるのも楽しみの一つで、ハガツオ・サワラ・サメなどラインをスパーンと切られることもありますが面白いシチュエーションです。錦江湾でのナイトタチウオは期間限定(遊漁船によって異なります)で、だいたい夏から秋にかけて楽しめますよ。
タチウオのオスとメスの見分け方は?
ところで魚を釣ったとき、オスかメスか気になりませんか? 私は気になる派です(笑)。
季節を通して旬の魚を釣りに行く私なのですが、たとえば春のノッコミ(産卵期)マダイはとくに分かりやすいと思います。オスはおでこが出っ張っていて顔つきがごつい感じ。何より婚姻色がでて黒い! 一方メスは綺麗なピンク色で優しい顔をしてますよね。下の写真はノッコミ時期に同船の方と私が同時に釣った写真ですが、オスメスの違いがハッキリとわかりますね。
秋になるとティップランでアオリイカを釣るのですがこちらもひじょうに分かりやすい!!
オスは背中の模様が横線のシマシマになっており、メスは背中の模様が点々(ドット柄)になっています。私的にはドットは可愛いから女の子と覚えています(笑)。
じゃあタチウオのオスとメスは? 風のうわさで聞いたことがあるのは黒目の大きさの違いだとか…。ならば調べてみよう!! 早速釣ってきたタチウオを並べて検証してみることにしました。
ふむふむ、確かに瞳(黒目)の大きさが違う気がします(体長と太さはほぼ同じくらいのサイズを6尾ならべました)。よし!! オス、メス当ててみよう! 黒目の大きいほうがオスだと聞いたことがあったので6尾の黒目をよーく見て、私的には6尾中3尾がオスだと断定しました。しかし、さばいてみると6尾中なんと5尾がメスだったのです(たくさんの卵が入っていました)。私の予想は見事にハズレてしまいました…。これは何故だろう? そんなワケで、タチウオの雌雄についてとても興味が湧いてきました。
タチウオの瞳(黒目)が気になる
もう最近の私はドラゴンを釣りたいという気持ちよりも、オスとメスを見分けるためにタチウオの黒目がきになって仕方ありません(笑)。SNSなどでみなさんの釣果写真を見るときも黒目ばかり見ています。そして、自分で釣った先ほど検証したタチウオの写真を見比べてみると…。
みんな顔も違うけどやはり瞳(黒目)の大きさが違いますよね。あきらかに「黒目が大きい=オス」と思われる個体の方が多かったはずなのですが不思議です。
う~ん、タチウオの黒目、気になるう~(笑)。
雄性先熟型の性転換する魚?
いろいろと書籍などで調べていくうちに見つけたのですが、タチウオは「雄性先熟型」(ゆうせいせんじゅくがた)の性転換する魚だという話がありました(諸説あります)。私の経験上ドラゴン(120cm以上)とよばれるタチウオは確かにメスが多かったのは事実です。「雄性先熟型」説によると、オスは70cmくらいにしか成長せず良型はメスのみらしいのです。オスとして成熟し繁殖に参加したあとメスに性転換するとのこと。ひじょうに興味深い話です。
ともあれ、私が気になる黒目の大きさによる雄雌の見分け方は、あくまで噂かも…? 本当のところは分かりません(笑)。でも、お魚によって目の大きさも含めて顔つきが異なるので、いかにもフィッシュイーターといった獰猛で大きな口と牙、バランスの取れた大きな瞳、そんなタチウオの精悍(せいかん)な顔つきにはなんだか釘付けになってしまいます。私の好みなんです!
さて、私はタチウオ釣りをはじめて5年になりますが超ドラゴン(シェンロン)と呼ばれる170cm、なんと8本指サイズのタチウオを1度だけ釣ったことがあります。後にも先にもこの1尾だけですけどね…。そしてやはりメスでした(笑)。先日は同じフィールドで195cmのタチウオが釣れたそうです。ロマンがありますね~。そして、鹿児島錦江湾のタチウオがイケメンに見えるのは私だけでしょうか(笑)?
また黒目を意識しながらドラゴンを求めて出かけていこうと思います。みなさんも「釣って楽しい食べて美味しい」キラキラ綺麗な幽霊魚タチウオ釣りに、ぜひチャレンジしてみてください。
※注意1
タチウオを釣り上げるときは、そのまま勢いよく引き上げるとテンヤのハリが周りの人に当たる恐れがあります。危険ですので片手でリーダーの部分をしっかり握ってゆっくり引き上げてくださいね。
※注意2
タチウオの歯はとても鋭いので、くれぐれも素手で触らないように気を付けましょう。