「チニング」ってどんな釣り?
暑さを避けて夜のアーバンフィッシング!

釣りをする人なら馴染みのある魚「チヌ」。関西でチヌと呼ばれる魚は標準和名「クロダイ」のことを指し、場合によっては「キビレ」と呼ばれる標準和名「キチヌ」のことを含んだりもします。そんなチヌをルアーでねらう、いわゆる「チニング」が最近関東で人気沸騰中とのこと…。そこで今回、私も大好きなチニングの魅力についてお伝えしたいと思います。

まずチニングは、「夏でも釣りがしたいけど、日中は暑くてしんどい…」という方にぴったりです。なぜなら涼しい夜にねらいやすい(=釣りやすい)から。なおかつ、仕事終わりにサクッと近所の河川に行けば出会える魚なので、とてもお手軽です。
魚からのコンタクトが多く引き味も強くて、魚を掛けてからも楽しい! チニングはそんな魅力がいっぱいなんです!!

チヌってどんな魚?

チヌ(クロダイ)の生態から見ていきましょう。
体長は20㎝~50㎝ほどのサイズが比較的多く、50㎝と超えると「年無し」と呼ばれる、ルアーフィッシングでいうランカークラスになります。生息域は北海道以南、琉球列島をのぞく日本各地に生息する魚です。比較的、深場よりも浅場や汽水域を好み、そして汚れている水質でも平気なので、大阪湾や東京湾といった都市部の港湾でよく見かける魚です。

01_ 港湾部

実はこのチヌ、日中は警戒心が強く、水面に人影が映ったりルアーの着水音だけでも逃げてしまう魚ですが、一転夜になると好奇心旺盛でさまざまなエサを食べます。たとえば、エビ、カニなどの甲殻類、貝類、ときにはマイワシなどの小魚を捕食対象としています。といったワケで、基本は捕食対象を模したワーム(ソフトルアー)を使った夜の釣りがメインですが、日中ルアーで釣れないかというとそうでもありません。好奇心旺盛な魚ですので、季節によってはトップウォータールアーなどでも釣れるのです。

そんな(やや)あべこべな性格をしているチヌですが、なぜ、とくに夏の夜がいいのかというと、チヌが活動しやすい(捕食しやすい)最適な水温は10℃台後半から20℃台前半だからです。そのくらいの水温が最適ということは、春秋の日中や夏の夜が最適ということになります。しかも、夜は光量が少ないため釣り人の存在が気づかれにくく、、警戒心の強いチヌをねらいやすいというメリットがあります。

02_ チヌ(クロダイ)

アーバンチニングって?

03_ 夜景(橋)

「アーバンチニング」とは、アーバン(都市)のチニングということなので都市型の釣りです(当たり前??)。
都市型のよいところは、仕事終わりや学校帰り、朝ちょっとだけ、という感じに隙間時間を見つけてできるところです。自宅の近所であれば徒歩や自転車、電車などを利用してサクッと気軽にできるところがメリットですね。チヌという魚は先述したように比較的汚れている水質でも平気ですので、都市圏を流れている河川や港湾部のどこででもねらうことができます。

身近な場所に生息している魚。しかも、引き味が強くゲームフィッシングとして楽しいチヌ。ブラックバスを池や湖に釣りに行くように、また、スズキを河口でねらうように、そんな感覚で気軽に楽しめるのが「アーバンチニング」なのです。

チニングをやってみよう!

04_ チニングタックル

一口にチニングといってもいろいろなリグ(仕掛)があります。季節やねらうシチュエーションは異なりますが、主にこれらを使用してチヌをねらいます。

  • ●ワーム
  • ●トップウォーター
  • ●バイブレーション
  • ●ミノー

使用するタックルは以下の通りです。

  • ●ロッド:  6ft~9ftまでのML~Mクラスのスピニングロッド /チニング専用ロッド
  • ●リール:  スピニング2500番~3000番
  • ●ライン:  PE0.6号~0.8号
  • ●リーダー: フロロカーボン12lb(3号)前後

リーダーは水中に障害物(岩や牡蠣殻など)がある場合は太め、そこまで底が荒くないのであれば細めという感じで使い分けましょう。

05_ チヌとワーム

なかでも、最もおすすめで比較的釣れやすいのが「ワーム」を使った釣り方です。
テキサスリグやフリーリグといった釣り方で甲殻類の形をしたワームを使用し、ボトム(底)のズル引きや、跳ね上げるアクションを加えてカニやエビが逃げる様を演出します。最初はボトムの岩か魚のアタリか分からないと思いますが、魚のアタリは明らかに生命感のある反応ですので、ゆっくりやって慣れていけば大丈夫です。

ルアーの釣りで大切なことは、水の中でルアーがどうなっているかをイメージすることです。
チヌが夜に主食としているものはエビやカニです。さぁどんな所にいると思いますか? そうです、ボトムですね。ただ、「まだ釣りを始めたばっかりで分からないよ!」という方もいると思います。まずはボトムをズルズル引いてくるところから始めましょう。
ゴンゴンゴンっとアタリがあってチヌがルアーをグッと持っていこうとしたら、糸フケを取ってアワセを入れて巻きます。一度のアワセだけではチヌの口は硬く、ハリがしっかりと貫通せず外れてしまうかもしれません。ラインのテンションを緩めてしまうとバレてしまう恐れがありますので、しっかりと巻きながら、どんどんハリを刺していく感覚を身につけましょう。

06_ チヌ(クロダイ)釣果

チヌが釣れた!
持っておきたいチニングおすすめグッズ!

アワセを入れてチヌを掛けました! とっても引きますよね。チニングに限らず大きな魚をルアーで釣り上げる際に必要なものがあります。慌てないように、できれば準備し携帯しておきましょう!

07_ チヌをフィッシュグリップで
フィッシュグリップでチヌの口をつかみ、フックリムーバーでハリを外せば安全!

まずは「タモ」です。魚は大きいサイズになるととても重いので、なかなか抜き上げることができません。タモでしっかりとすくってあげるようにしましょう。タモを使わずにそのまま陸に上げようとするとラインが切れたり、ロッドが折れたりします。
そして、タモですくったあとに必要なのが「フィッシュグリップ」です。チヌの噛む力はすさまじく、甲殻類などを殻ごとバキバキ食べるほどの力があります。指を嚙まれたり…なんて考えると、とてもじゃないですが恐ろしいですよね。フィッシュグリップでチヌの口元を安全につかみ、素手で持たないようにしましょう。
最後にこれは私のおすすめになるのですが、「フックリムーバー」があるととても便利、かつ安全にハリを魚の口から外すことができます。なければ、プライヤーでも構わないでしょう。

 

08_ 都会の夜景

チヌは身近でスリリングなファイトを楽しめる魚の一つです。そして、よいポイントであれば飽きのこない程度にアタリがあり、仕事終わりにサクッと釣れる。なんとも手軽なルアーフィッシングの対象魚です。個人的にも、警戒心が強いわりに好奇心旺盛というあべこべな可愛い一面に、すっかりチヌの虜になってしまいました(笑)。

といったワケで、都市型の身近なゲームフィッシュ「チヌ」をねらって、ぜひ夜のアーバンチニングを楽しんでみてください。ただし夜がメインとなるので、くれぐれも無理をせず安全に気を付けて釣りをしましょう!

 

レポーターREPORTER

荒川 皓平
プロフィール:荒川 皓平
小さいころ祖父とサビキ釣りをして釣りが好きになる。20歳のときにタチウオが爆釣したことがきっかけで、本格的に釣りにのめり込む。淡路島でのルアーフィッシングを軸に、和歌山や四国に旬の魚を求め遠征する生粋の陸っぱりアングラー。ちなみにヒラスズキが一番好き。
平日は釣具メーカー・ハヤブサの技術開発課メンバーとして日々勤務し、釣り以外の休日はのんびりドライブが趣味。